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chapter3:Travel Emotions Bergamo
封印都市 エルコラーロ その6
しおりを挟むセルジオはディビッド達が封印部屋に入る時の結界の交代要員の1人として自室で準備していた。
身近にディビッドが封印式を組み上げる姿を見る事が出来るなんて幸運だなと思いながら。
大掛かりな封印式をほぼ一日中休み無しで組み上げるらしい...
「あの綺麗な人がどんな風に組み上げるのだろう...」
別に恋だのの気持ちでは無い筈だ、美しいものを見たいと言う気持ちだとセルジオは思いながら専用のグリーンのローブを身に纏う。
「よし!」
『その綺麗な人とやラ...貴方を見つめてくれるならって思いませン?セルジオ ジーナ』
「!」
振り向くとそこには燕尾服をキッチリ着た男が立っていた。
その男はシルクハットを被っており、美しいプラチナブロンドの長い髪に深いサファイアブルーの瞳の美しい男ではあるが何とも慇懃無礼な雰囲気だ。
「誰だ!」
『ハハっ!私は貴方のその憧れる気持ちヲ応援したいだけですヨ!』
「憧れって...僕はただ!」
『男に片想いすル事が悪いのですカ?』
燕尾服の男はセルジオを誘惑する。
「そんな気持ちでは無い!」
そうだ...あの綺麗な人は別の女性と契り印を結んでいるのだ!
『でモその気持ちハ?貴方の気持ちハ??』
「それは...諦めるのが...」
『諦めル?あの綺麗な人ハずっとここには居ないですヨ?あの美しイ深い紫色の瞳が貴方のみヲずっと写して欲しいト願うのニ?』
「それは...」
『この件が終われバ、綺麗な人は女の元へ戻ルのデス...女を獣の様に抱く為ニ』
「!」
そんな風に思った事すらなかったセルジオは真っ赤になる。
『あの綺麗な人ハそのままの姿でずっと綺麗なママで居て欲しイと思いませんカ?』
「綺麗なまま?」
『封印式で本人を封じテしまうとかネ』
「!」
『貴方なラ出来まス!アンドラスの力も借りれバ!』
「だ...駄目に決まっているじゃ無いか!」
『スペルソードだけで無ク、封印式を解ク事を可能とする貴方なラ扱えますヨ?』
「何故知ってる!」
『アハハ!私はナーンでも知ってるンですヨ!』
そう言ってセルジオの目の前に立つ。
『サァ!望みヲ叶えましょウ!』
そのサファイアの様な瞳は深淵を感じる深さと不気味さを併せ持つ...人を惑わし邪な欲望を増長させる瞳。
「僕は...」
セルジオは微かな気持ちだったその憧れを、悪魔の誘惑により邪なるものに変えていった。
「あの綺麗な人を綺麗なまま姿にしておきたい」
そうボソボソと呟く姿を燕尾服の男...最初の悪魔、誘惑者である『明けの明星 リュシフェル』は邪悪な笑みを浮かべながら見つめる。
『ハイラントに繋がル青年...アンドラスとの因果は更に深まルでしょうネ!アハハハハ!』
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