103 / 841
Chapter2:Jealous lover
嫉妬深い恋人 その2
しおりを挟む
そんな中、憲兵達がやって来たのか辺りが騒がしいわ。
そう思っている間に何人かの軍人を引き連れてやって来たその姿に一同目を疑う。
年は40手前程で、銀髪をオールバックにし、アクアマリンのような瞳はその色に反してとても強く、放つ強いオーラは高貴な方を連想させる。
そして金の杖を持ち白の軍服を着る事のできる方はウルムではただ一人...
「サヴェリオ国王陛下...」
全員が跪き深く頭を下げる...ウルムの国の頂点に立つお方、エマヌエーレ・サヴェリオ=ウルム国王陛下がそこにおられる!
「陛下...何故この様な場所に」
「はは、お前が妹を攫われ暴れていると聞きつけ、余も助けてやろうとこの様に兵を連れてやって来たが、どうやら先を越されたようでな」
「なんと!」
「余とお前との仲ではないか...はて、そこの赤毛に染めた者...エアヴァルドのマキシマム殿下では?」
マキシムさんは顔を上げるわ。
「はい、サヴェリオ陛下...お久しゅう御座います」
「今日このような場所にいると言う事は例の件でか?」
「はい、『禁呪の書き板』が出回ると聞きつけまして」
「そうであろうな、ふふ...所で今日は例の者は居ないのか?」
「もうすぐ此方にやって来ると思います...何せ先程悪魔を討伐したばかりでして」
「ほう!そうか!と言う事は受肉の媒介になった者もいると言う訳か」
その言葉にダリオがぶるりと震える。
「陛下...申し訳ございません...陛下に忠誠を誓った兵士でありながら、悪魔の甘言に唆され...」
「ダリオ...お前」
ダリオが真っ青になりながらサヴェリオ陛下へ自身が悪魔グシオンの受肉の媒介になった事を伝えるわ。
「...ほう...その件詳しく...」
サヴェリオ陛下は怪訝な顔をしダリオを見ている...特に陛下は悪魔に関して深い憎しみをお持ちの方でらっしゃるから。
「陛下...ダリオ モルディードには避ける事の出来ない事態がございまして...」
「余はモルディード子爵に聴いておる」
「失礼致しました」
お兄様がダリオを庇い立てようとするけど、陛下がそれを許さないわ...
「受肉したという事は一時でも、その力に魅了され
手を出したと思って良いのだな?」
「サヴェリオ国王陛下、どうか私の話を聞いて下さい!ダリオはあの『明けの明星 リュシフェル』により無理矢理受肉させられたのです!」
「ん?シルヴィオの妹か...」
「はい...アルカンタル侯爵家のバレンティナでございます...兄とモルディード卿は私を助けにやって来た際、運悪くあのリュシフェルに遭遇し、最初兄に狙いを定めましたが兄はそれを跳ね除け、結果モルディード卿を選び無理矢理ねじ込んだのでございます、私は以前悪魔ゼパルと化した大犯罪人エスタバンに攫われた際、あのリュシフェルと対峙致しましたので間違いありません」
「明けの明星...忌々しい悪魔を解放する大罪人をか」
「はい」
そんな会話をしている間に後ろから足音が聞こえてくる。
「ティナ...貸しです...今夜は帰しませんからね」
後ろで耳打ちするその声...ディビッド!
「サヴェリオ国王陛下...お久しぶりです」
ディビッドは私の前に立つと、深々と陛下に頭を下げるわ。
「おお!『白の射手』ではないか!」
陛下の機嫌がとても良くなるわ。
「先程、悪魔グシオンの討伐に成功致しました...これが証拠となります」
ディビッドは禁呪の書き板のかけらを入れた皮袋を陛下に渡したわ!
「確かに...これで8体目か...流石あの英雄の盟約に書かれているマテウスの息子の血筋だけある!」
受け取った皮袋からかけらを取り出し、とても嬉しそうに陛下は見つめるわ!
「長年にわたり代々ウルムを治める王達の悲願...二度と悪魔が復活しない世界を願うのは、我らもトラウゴット教徒でもある貴公等も同じであろう?」
「ええ...そしてハイラント(救い主)誕生を持って『明けの明星 リュシフェル』の頭を砕き滅ぼす事...それが我々の悲願でもあります」
「ああ、聖典の一節の...そうだ『ハイラントは4人の騎士を引き連れて、リュシフェルの頭を砕き滅ぼす』だったか?」
「そうでございます」
「子供時代にマテウスの伝記と並んで良く聖典のその節を好んで読んだものよ」
「そのリュシフェルは人の醜い感情を好み、それらを悪魔の受肉の媒介として選びます...しかし今回はリュシフェルが当初望んだ相手ではなく、この男を『仕方なく』二番手として選んだのです」
「ふむ?」
「リュシフェルは『仕方なく』、『ダリオ モルディード』を選び『無理矢理』悪魔グシオンの受肉の媒介と選んだのです...そう...悪魔に魅了されたのではなく『仕方なく』です」
「つまり、モルディード子爵には一切の責は無いと申すか?『白の射手』よ」
「そうです...何せ『仕方なく』ですから」
ディビッドはニヤリと笑っているわ。
「はは、ならば仕方ない!モルディード子爵、貴公に責は無い、安らかに過ごせ」
「陛下...ありがとうございます...」
陛下の恩赦にダリオは深く頭を下げるわね。
「では我々はこれにて失礼致します」
そう言ってディビッドは私の腰に手をかけて、その場を去ろうとする。
「ディビッド!私はお兄様達を」
「次期アルカンタル侯にはこれから更に『仕事』があるので一緒には戻れませんよ」
「え?」
「それに言ったでしょ、今夜帰しませんから」
その瞳はいつにも増して赤が強く感じる...しかも声が怖いわ...怒ってるの?
そう思っている間に何人かの軍人を引き連れてやって来たその姿に一同目を疑う。
年は40手前程で、銀髪をオールバックにし、アクアマリンのような瞳はその色に反してとても強く、放つ強いオーラは高貴な方を連想させる。
そして金の杖を持ち白の軍服を着る事のできる方はウルムではただ一人...
「サヴェリオ国王陛下...」
全員が跪き深く頭を下げる...ウルムの国の頂点に立つお方、エマヌエーレ・サヴェリオ=ウルム国王陛下がそこにおられる!
「陛下...何故この様な場所に」
「はは、お前が妹を攫われ暴れていると聞きつけ、余も助けてやろうとこの様に兵を連れてやって来たが、どうやら先を越されたようでな」
「なんと!」
「余とお前との仲ではないか...はて、そこの赤毛に染めた者...エアヴァルドのマキシマム殿下では?」
マキシムさんは顔を上げるわ。
「はい、サヴェリオ陛下...お久しゅう御座います」
「今日このような場所にいると言う事は例の件でか?」
「はい、『禁呪の書き板』が出回ると聞きつけまして」
「そうであろうな、ふふ...所で今日は例の者は居ないのか?」
「もうすぐ此方にやって来ると思います...何せ先程悪魔を討伐したばかりでして」
「ほう!そうか!と言う事は受肉の媒介になった者もいると言う訳か」
その言葉にダリオがぶるりと震える。
「陛下...申し訳ございません...陛下に忠誠を誓った兵士でありながら、悪魔の甘言に唆され...」
「ダリオ...お前」
ダリオが真っ青になりながらサヴェリオ陛下へ自身が悪魔グシオンの受肉の媒介になった事を伝えるわ。
「...ほう...その件詳しく...」
サヴェリオ陛下は怪訝な顔をしダリオを見ている...特に陛下は悪魔に関して深い憎しみをお持ちの方でらっしゃるから。
「陛下...ダリオ モルディードには避ける事の出来ない事態がございまして...」
「余はモルディード子爵に聴いておる」
「失礼致しました」
お兄様がダリオを庇い立てようとするけど、陛下がそれを許さないわ...
「受肉したという事は一時でも、その力に魅了され
手を出したと思って良いのだな?」
「サヴェリオ国王陛下、どうか私の話を聞いて下さい!ダリオはあの『明けの明星 リュシフェル』により無理矢理受肉させられたのです!」
「ん?シルヴィオの妹か...」
「はい...アルカンタル侯爵家のバレンティナでございます...兄とモルディード卿は私を助けにやって来た際、運悪くあのリュシフェルに遭遇し、最初兄に狙いを定めましたが兄はそれを跳ね除け、結果モルディード卿を選び無理矢理ねじ込んだのでございます、私は以前悪魔ゼパルと化した大犯罪人エスタバンに攫われた際、あのリュシフェルと対峙致しましたので間違いありません」
「明けの明星...忌々しい悪魔を解放する大罪人をか」
「はい」
そんな会話をしている間に後ろから足音が聞こえてくる。
「ティナ...貸しです...今夜は帰しませんからね」
後ろで耳打ちするその声...ディビッド!
「サヴェリオ国王陛下...お久しぶりです」
ディビッドは私の前に立つと、深々と陛下に頭を下げるわ。
「おお!『白の射手』ではないか!」
陛下の機嫌がとても良くなるわ。
「先程、悪魔グシオンの討伐に成功致しました...これが証拠となります」
ディビッドは禁呪の書き板のかけらを入れた皮袋を陛下に渡したわ!
「確かに...これで8体目か...流石あの英雄の盟約に書かれているマテウスの息子の血筋だけある!」
受け取った皮袋からかけらを取り出し、とても嬉しそうに陛下は見つめるわ!
「長年にわたり代々ウルムを治める王達の悲願...二度と悪魔が復活しない世界を願うのは、我らもトラウゴット教徒でもある貴公等も同じであろう?」
「ええ...そしてハイラント(救い主)誕生を持って『明けの明星 リュシフェル』の頭を砕き滅ぼす事...それが我々の悲願でもあります」
「ああ、聖典の一節の...そうだ『ハイラントは4人の騎士を引き連れて、リュシフェルの頭を砕き滅ぼす』だったか?」
「そうでございます」
「子供時代にマテウスの伝記と並んで良く聖典のその節を好んで読んだものよ」
「そのリュシフェルは人の醜い感情を好み、それらを悪魔の受肉の媒介として選びます...しかし今回はリュシフェルが当初望んだ相手ではなく、この男を『仕方なく』二番手として選んだのです」
「ふむ?」
「リュシフェルは『仕方なく』、『ダリオ モルディード』を選び『無理矢理』悪魔グシオンの受肉の媒介と選んだのです...そう...悪魔に魅了されたのではなく『仕方なく』です」
「つまり、モルディード子爵には一切の責は無いと申すか?『白の射手』よ」
「そうです...何せ『仕方なく』ですから」
ディビッドはニヤリと笑っているわ。
「はは、ならば仕方ない!モルディード子爵、貴公に責は無い、安らかに過ごせ」
「陛下...ありがとうございます...」
陛下の恩赦にダリオは深く頭を下げるわね。
「では我々はこれにて失礼致します」
そう言ってディビッドは私の腰に手をかけて、その場を去ろうとする。
「ディビッド!私はお兄様達を」
「次期アルカンタル侯にはこれから更に『仕事』があるので一緒には戻れませんよ」
「え?」
「それに言ったでしょ、今夜帰しませんから」
その瞳はいつにも増して赤が強く感じる...しかも声が怖いわ...怒ってるの?
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる