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8.愛情表現
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「たっだいまぁあああああ!」
「ただいまぁ……ってほら、脱いだ靴ちゃんと揃えなさい」
「はぁい!」
散歩から帰宅……テンションたけぇなぁ、こいつは。はぁ、色々と疲れた。が、
「だぁりんっ! 楽しかったねっ!」
「うん、そうだな」
この笑顔にはさすがにやられるっ! ……でもやっぱ疲れたぁ。
「手洗いと、うがいしてきなさい」
「はぁい!」
これといって記憶喪失の手がかりや、回復の糸口なども見当たらなかったが、ふと思い返してみれば、会話のやり取りが以前よりも上達したような?(といってもせめて小学高学年程度ではあると思うが)気もする。
二つ。まずは何かに対して疑問を抱き、自身が納得のゆく形で答えを欲しがること。そして、その答えを自分なりに解釈して、心にしかと受け入れること。……まぁ、変な誤解を与えずにそうなるよう言葉を選んで発言しているのだが。
とにかく、無意識のうちに彼女自身は何かを取り戻しつつあるのかもしれない。となれば次は……
「なぁハナ」
「なぁにぃ?」
「散歩の休憩がてら、またアニメ観るか?」
「おぉおおおおおおっ! 観る観るっ!」
「うむ、んじゃあ、どんなのがいい?」
「うぅ~ん、ぺろぺろするやつかな」
ぐはぁっ!
「……ど、どういう意味だ?」
「ん? ああ、あれはね、朝観たやつね。わぁ、父と子、群れの頭とその子のぺろぺろだったのね。だから、雄と雌でもぺろぺろするのが観たい」
「う~ん……」
「んっ?」
要するにだ、親子の愛情表現としてのぺろぺろは解った。でもその行為自体、男女間で行われた場合、親子ではないのだから、所謂(いわゆる)番(つがい)としての愛情表現としてどういった形になるのだろうか。またその時に起こり得る感情とは親子の愛情表現とはどう異なるものなのか。それを教えてほしい、と。そういうことなのだな?
……なぁんて、深く考えすぎか。
「……なんで、雄と雌のぺろぺろ観たいの?」
「うん、親子で大好きぃってあれやるならぁ、ほかの雄と雌、要は伴侶だよねぇ。それらでも大好きぃってやるのかなぁ、って。で、そういうときはぁ、どんなぺろぺろでぇ、どんな気持ちになるのかなぁって」
図星じゃぁああああああんっ!
「まぁきっと……う~ん、えっとぉ、あっ、あれだ! うん、つまり子作りのぉ……」
「すとーーーっぷ! ストップ、ハナ、いいか、おあずけ、ストップ」
「ん? ……なんかさっきから変だよ? だぁりん」
こ、こいつぁへヴぃぃだぜっ! ぐれいとっ……って言えないところがさらに歯がゆいぜ。……っていかんいかんっ!
きっとこのままアニメを見せてある程度説明して納得したらそのままそういった行為に及びかねない。というか、絶対に「伴侶なんだからぁ」とか言って僕の方が襲われるっ!
そして情けないがハナの膂力には太刀打ち出来るはずもなく……ああああああああっ!
ご馳走様っ! ……じゃないっ! 絶対にダメだっ!
「ハナ」
「もぉう、なぁにぃ? 早くアニメ観たいぃいいいいいい!」
「お父ちゃまとくりくりのぺろぺろはね、親子における所謂(いわゆる)愛情表現だ」
「あいじょぉーひょーげん?」
「そうだ。で、愛情表現ってのは、大好き~のもっとさらに好きぃ~、という気持ちを相手に伝えることなんだ」
「おっ、おぉおおおおおおおおっ!」
「そして、それは決してぺろぺろだけじゃないんだ」
「えぇええええっ! そぉなのぉ?」
「ああ、そうだ」
「ふぅ~ん」
「ぺろぺろ以外のことはまず置いといて、そもそも親子以外でぺろぺろする前にどういうことをしていかなければならないのか。相手に自分の気持ちを伝えなければいけないのか」
「……う~ん、なんだか難しいでござるなぁ」
「うん、そうだ。感情とか、特に好き、嫌いってのは難しいものなんだ」
「ふ~ん」
「でな、ハナ」
「はい」
「今からぺろぺろの前に何をすべきなのか、それを観て貰おうじゃないか」
「えぇえええええっ? だぁりん、そんな難しいこと考えないで、すぐにでもわっちとぺろぺろしたいでありんしょ?」
「だぁああああああああああああ! だぁっとれ!」
「……はぁい」
「よし、いい子だ」
「ああっ! うん、あたしいい子!」
ぺろぺろぺろぺろ、何て卑猥で低俗な会話なんだっ!
……てか、マジでこいつは単純っつーかなんつーか、僕以外の男のところに行ってたらどうなってたんだろうなぁ。
……変に騙されていい様に扱われるか、そもそもこいつにバラバラにされるか。どっちにしても心配だし、放っておけないし、まだしばらく僕の方で様子を見るべきなのかな。
「う~ん、っと、これかなぁ」
「わくわくっ」
「そんじゃあ観るぞぉ」
「はぁい!」
僕が選んだアニメ恋愛ラブコメ。それも、くっつきそうでくっつかない、あのもどかしい感じが特に強めの学園青春恋愛ラブコメだっ!
……ん、待てよ。ハナのやつ、今朝のアニメ視聴で、あの親子愛のそれに対して心地よくなったことは理解出来る。親が子を想う気持ちは僕もグッとくるし、大切なものだ。しかし、なぜダーリンインザを観て、あいつは泣いたんだ?
……まぁ、それも後で聞けばいいか、と、僕も彼女の隣で一緒にアニメを観始めた。
どうか何も起きませんように。と、敢えてフラグを立てる僕であった。
「ただいまぁ……ってほら、脱いだ靴ちゃんと揃えなさい」
「はぁい!」
散歩から帰宅……テンションたけぇなぁ、こいつは。はぁ、色々と疲れた。が、
「だぁりんっ! 楽しかったねっ!」
「うん、そうだな」
この笑顔にはさすがにやられるっ! ……でもやっぱ疲れたぁ。
「手洗いと、うがいしてきなさい」
「はぁい!」
これといって記憶喪失の手がかりや、回復の糸口なども見当たらなかったが、ふと思い返してみれば、会話のやり取りが以前よりも上達したような?(といってもせめて小学高学年程度ではあると思うが)気もする。
二つ。まずは何かに対して疑問を抱き、自身が納得のゆく形で答えを欲しがること。そして、その答えを自分なりに解釈して、心にしかと受け入れること。……まぁ、変な誤解を与えずにそうなるよう言葉を選んで発言しているのだが。
とにかく、無意識のうちに彼女自身は何かを取り戻しつつあるのかもしれない。となれば次は……
「なぁハナ」
「なぁにぃ?」
「散歩の休憩がてら、またアニメ観るか?」
「おぉおおおおおおっ! 観る観るっ!」
「うむ、んじゃあ、どんなのがいい?」
「うぅ~ん、ぺろぺろするやつかな」
ぐはぁっ!
「……ど、どういう意味だ?」
「ん? ああ、あれはね、朝観たやつね。わぁ、父と子、群れの頭とその子のぺろぺろだったのね。だから、雄と雌でもぺろぺろするのが観たい」
「う~ん……」
「んっ?」
要するにだ、親子の愛情表現としてのぺろぺろは解った。でもその行為自体、男女間で行われた場合、親子ではないのだから、所謂(いわゆる)番(つがい)としての愛情表現としてどういった形になるのだろうか。またその時に起こり得る感情とは親子の愛情表現とはどう異なるものなのか。それを教えてほしい、と。そういうことなのだな?
……なぁんて、深く考えすぎか。
「……なんで、雄と雌のぺろぺろ観たいの?」
「うん、親子で大好きぃってあれやるならぁ、ほかの雄と雌、要は伴侶だよねぇ。それらでも大好きぃってやるのかなぁ、って。で、そういうときはぁ、どんなぺろぺろでぇ、どんな気持ちになるのかなぁって」
図星じゃぁああああああんっ!
「まぁきっと……う~ん、えっとぉ、あっ、あれだ! うん、つまり子作りのぉ……」
「すとーーーっぷ! ストップ、ハナ、いいか、おあずけ、ストップ」
「ん? ……なんかさっきから変だよ? だぁりん」
こ、こいつぁへヴぃぃだぜっ! ぐれいとっ……って言えないところがさらに歯がゆいぜ。……っていかんいかんっ!
きっとこのままアニメを見せてある程度説明して納得したらそのままそういった行為に及びかねない。というか、絶対に「伴侶なんだからぁ」とか言って僕の方が襲われるっ!
そして情けないがハナの膂力には太刀打ち出来るはずもなく……ああああああああっ!
ご馳走様っ! ……じゃないっ! 絶対にダメだっ!
「ハナ」
「もぉう、なぁにぃ? 早くアニメ観たいぃいいいいいい!」
「お父ちゃまとくりくりのぺろぺろはね、親子における所謂(いわゆる)愛情表現だ」
「あいじょぉーひょーげん?」
「そうだ。で、愛情表現ってのは、大好き~のもっとさらに好きぃ~、という気持ちを相手に伝えることなんだ」
「おっ、おぉおおおおおおおおっ!」
「そして、それは決してぺろぺろだけじゃないんだ」
「えぇええええっ! そぉなのぉ?」
「ああ、そうだ」
「ふぅ~ん」
「ぺろぺろ以外のことはまず置いといて、そもそも親子以外でぺろぺろする前にどういうことをしていかなければならないのか。相手に自分の気持ちを伝えなければいけないのか」
「……う~ん、なんだか難しいでござるなぁ」
「うん、そうだ。感情とか、特に好き、嫌いってのは難しいものなんだ」
「ふ~ん」
「でな、ハナ」
「はい」
「今からぺろぺろの前に何をすべきなのか、それを観て貰おうじゃないか」
「えぇえええええっ? だぁりん、そんな難しいこと考えないで、すぐにでもわっちとぺろぺろしたいでありんしょ?」
「だぁああああああああああああ! だぁっとれ!」
「……はぁい」
「よし、いい子だ」
「ああっ! うん、あたしいい子!」
ぺろぺろぺろぺろ、何て卑猥で低俗な会話なんだっ!
……てか、マジでこいつは単純っつーかなんつーか、僕以外の男のところに行ってたらどうなってたんだろうなぁ。
……変に騙されていい様に扱われるか、そもそもこいつにバラバラにされるか。どっちにしても心配だし、放っておけないし、まだしばらく僕の方で様子を見るべきなのかな。
「う~ん、っと、これかなぁ」
「わくわくっ」
「そんじゃあ観るぞぉ」
「はぁい!」
僕が選んだアニメ恋愛ラブコメ。それも、くっつきそうでくっつかない、あのもどかしい感じが特に強めの学園青春恋愛ラブコメだっ!
……ん、待てよ。ハナのやつ、今朝のアニメ視聴で、あの親子愛のそれに対して心地よくなったことは理解出来る。親が子を想う気持ちは僕もグッとくるし、大切なものだ。しかし、なぜダーリンインザを観て、あいつは泣いたんだ?
……まぁ、それも後で聞けばいいか、と、僕も彼女の隣で一緒にアニメを観始めた。
どうか何も起きませんように。と、敢えてフラグを立てる僕であった。
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