転生するのが嫌で浮遊霊になりました

終わりからの始まり

あっけない終わり

勢い良く飛び込んで来た車が自分の体を直撃した。
車体に上半身がめり込んで、勢いよく体が宙に舞った。更にそのまま加速した車は自分を捉えるかのように頭部に打ち付けた。
それと同時に頭痛、全身に激しい痛みを感じ身体中の骨の軋む音がした。もう息苦しくて呼吸すら出来なかった。
そのまま意識が朦朧として真っ暗になった。

……………

????!!!

俺はどうなったか

そんな事を考えずとも分かる光景だった。

変な方向に畝りねじ曲がった体、潰れた頭部と顔。

腹部からは内臓も一部飛び出している。

破裂して辺りは血溜まりが出来ていた。

これは紛れも無い数分前の自分だ。

確実に死んでいる。

即死だったのだろう。

そんな自分を遠目で見ている。

突き飛ばした小学生が悲鳴をあげて泣いている。

小学生が見るには堪えるほどに無残で死体の損傷が酷い。

しかし、なぜ俺は自分が見えているんだろう。

死んでる自分を見ている自分。

やがて救急車が来たが、既に息がないただの死体となった俺の体にブルーシートを掛けてその後、警察が駆け付けた。

警察が泣いている小学生に話しかけるが、小学生は今はとても話せる状態ではなかった。
泣きじゃくる小学生を警官はパトカーに乗せてそのまま連れて行った。

残った数人の警察が現場検証を始めた。

俺を轢いた車は走り去った。

逃げたのだ、捕まるかは分からない。

ただ冷静に死んだ自分を見て、冷静に傍観している事が疑問だった。

幽霊なんて信じたことも無い否定的な考えを持っていた自分だったが、たった今理解した。

俺は死んで幽霊になったんだという事を。