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本編

それでも

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やっぱりレオンは、一定の距離を保ったままだ。
私はいつものお茶会終わりに庭園への散歩を誘ってみたけど、仕事を理由に断られた。
本当に仕事かもしれないけどね。疑い出したらキリがないけど。

「ガードルート、おめかし可愛いね。今帰り?」
「フィース。うん。レオンと会ってきたところ」
騎士服姿のフィースとばったり会う。相変わらずの爽やかな風貌。疲れた心に涼風が吹くよう。
「あれ?イアンは?」
「今日はあいつ夜勤だから今寝てる」
「大変だね」
「なんだか元気ないな、ガードルート」
「う、ん…レオンがね、心を閉ざしているみたいで」
「なんだそんなことか」
さらっと返された言葉に目を見開く。
「なんだそんなことって…フィース」
「父親の介入で好きな子と恋人になるなんて僕だったら絶対御免だけど」
「やっぱりそこなのかな?」
「絶対そうだろ、良く叫び出さないで我慢していると思うよ」
「フィースだったら叫び出しちゃう?」
静かに真面目な顔をして頷く彼にぷっと吹き出してしまう。

「こんな状況にも自暴自棄にならず、よく我慢してる。…僕のガードルートの恋人の1人なのはさておきその忍耐力は尊敬に値する」
「恋人の1人って言えるのかな」
ぽつり、とこぼした問いにフィースは答えた。
「お互いがそう思えばそうだろう?僕達だってそうだ」
「…レオンは認めたがらないわ」

「ガードルートはどうしたいの?」
私は青空のような曇りのない青い目を見上げた。
「…私は、出来たら一緒にいるのならわかり合いたい。…それが出来ないのなら開放してあげたい。こんな関係、不自然だもの」
「…開放は無理だ。王命だからね。わかり合うしかない。…ガードルート、君は?」
「え?」
「君は彼に対して何かしたか?」
「庭園に誘ったりはしたけど…」
「バカだなぁ」
「何よその言い方」
ちょっとむくれた私にフィースは微笑んだ。
「僕達が君にしたようなアプローチをしたら良い」
「…フィース達と同じことしたら首斬られちゃう」
「そこじゃない。ガードルートがレオンを好きならそういえば良い。愛を示せば良い。それでもダメなら、もう諦めたら良い。そうしよう」
「1人納得しないでよ、フィース」
「いや、君にそこまでさせて何もしないなんて男の風上にも置けないから、やっぱり王命でも関係ない」
「…それはその時考えましょう?でも、確かにそうだと思う」
私はレオンに好きだともなんとも言えてない。曖昧に始まって、曖昧に続いている。
それを変えるのは。
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