上 下
139 / 155
本編

外泊

しおりを挟む
今日はミッキー君とのデートで外泊、というか逢引用の宿屋に来ている。何故かっていうと、彼好みの可愛いレースやフリルいっぱいの部屋があるからだ。自分で住むのは嫌だけど、私がそこに居るのが見たいらしい。そういう気持ちはよく分からないけど、喜んでくれるんだったらそれで良いかな。

「殿下はあれから何も…?」
いつ見ても可愛い顔のミッキー君は首を傾げた。私は頷きながら言う。
「うん。手も繋いでないよ。お話しするだけ」
こういう進捗は気持ちが複雑になるだろうから私はあまり口には出したりしないんだけど、レオンの場合は別だ。1人だけ加わるのが同時じゃなかった彼を皆気にしているのか聞いてくる。
「そうですか…」
「気になる?」
「そうですね。気にならないと言ったら嘘になりますけど」
言葉を切るようにすると茶色いどんぐり目を私に向けた。
「ガードルートさんはどう思っているんですか?」
「どういうこと?うーん。レオンは奥手なのかなとも思うかな。別に進展がないことは特に気にしてないよ」
「…仮にも付き合っている好きな女の子を前にして何もしないっていうことはかなり我慢しているんだと思いますよ」
ミッキー君は苦笑した。私はそれを見てちょっと意外に思う。
「…ミッキー君はレオンのことはどう思っているの?」
多分私を助けに来てくれたあの時だけしかミッキー君とレオンは会っていないはずだ。それとも、恋人達会議がまた私の知らないところで行われたのかな。なんか、麻痺してきているけど、ほんとびっくりする響きだよね。

「…殿下のことはなんとも。陛下には思うところもありますが」
「…ミッキー君はレオンを卑怯だと思う?」
「いいえ。…ガードルートさんがあの時、彼を見捨てられないと泣いていた時、僕はなんだか、昔の自分を見捨てられないと言っているように思いました。昔の僕はお金や外見のことに執着していた…哀れな男です。僕はガードルートさんを愛してるので貴方が大事にするものも守りたいと思っています。…彼もまた貴方の大事な恋人だ。だから、僕は今は納得しています」
「…ありがとう。ミッキー君。大好きよ」
「僕もです。ガードルートさん、いつも貴方を想っています」

「じゃあ、この兎の衣装脱いで良い?」
私はもこもこの衣装を着ている。この部屋にあった兎の可愛い衣装だ。情報誌に書いていたらしいけど、よく見つけてきたよね。ミッキー君。
可愛いんだけど、やっぱりちょっと恥ずかしい。大事な部分は透けてるし。
「ダメです。僕が良いって言うまでずっとそのままでいて下さいね」
「いつも想ってくれてるんでしょう?」
ちょっとむくれる。なんて言っても暑いのだ。もこもこだし。もう、夏も近いし。
「それはそうですけど、可愛いのでそのままでしましょうか?」
「…ほんとに?」
「ええ。ちょっと暑いですけど我慢してくださいね」
ミッキー君はにこっと良い笑顔で笑った。
しおりを挟む
感想 145

あなたにおすすめの小説

もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!

結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)  でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない! 何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ………… ……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ? え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い… え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back… ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子? 無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布! って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない! イヤー!!!!!助けてお兄ー様!

二度目の勇者の美醜逆転世界ハーレムルート

猫丸
恋愛
全人類の悲願である魔王討伐を果たした地球の勇者。 彼を待っていたのは富でも名誉でもなく、ただ使い捨てられたという現実と別の次元への強制転移だった。 地球でもなく、勇者として召喚された世界でもない世界。 そこは美醜の価値観が逆転した歪な世界だった。 そうして少年と少女は出会い―――物語は始まる。 他のサイトでも投稿しているものに手を加えたものになります。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

目が覚めたら男女比がおかしくなっていた

いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。 一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!? 「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」 ##### r15は保険です。 2024年12月12日 私生活に余裕が出たため、投稿再開します。 それにあたって一部を再編集します。 設定や話の流れに変更はありません。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

穏やかな日々の中で。

らむ音
恋愛
異世界転移した先で愛を見つけていく話。

転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです

狼蝶
恋愛
 転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?  学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...