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本編

やきもち

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私は廊下を掃除しながらヴィンセントさんの言ったことを考えていた。確かに私は恋人が欲しいし、自分が素敵だなと思う人と結婚したい。
でも、ここでヴィンセントさん1人に決めてしまうのはあまりにも早急な気もした。
それに…

「ガードルート」
「フィース、イアン」
2人とも訓練終わりそのままなのか、見た目爽やかだけどすこし汗の匂いもする。相変わらず凛々しくて綺麗な顔をしてる。2人とも。
「もうすぐ終わる?」
「うん?もうここを掃いたら終わるよ。どうしたの?」
フィースはふふん、と微笑む。イアンはいつも通りの無表情だ。
「この前の遠征のお土産があるんだ」
「え、そうなの?ありがとう」
初陣を済ませた双子は新人なこともあり良く駆り出されることが多いみたいだ。
「終わったら2人の部屋に行ったら良い?」
うん、と2人は頷いた。双子は新人だからか2人部屋だ。


「わー、すごい」
私は感激してしまった。とっても可愛い猫の木彫りものだ。よほど腕が良いのか生きてるような躍動感がある。
「感動した?」
私はうんうん、と頷く。
「とっても!すごく嬉しいありがとう」
「良かった。絶対ガードルートが喜ぶってイアンが選んだんだ」
フィースはイアンは指差す。
「ありがとう、イアン」
イアンはちょっと嬉しそうに頷く。

「ガードルート、キスしたい」
綺麗な青い目のイアンが言った。私はその目を見てちょっと躊躇してしまった。
「…ガードルート、どうかした?」
フィースが不思議そうに聞いてくる。
「もしかしたらもうこういうこと出来なくなるかもしれない」

私が言うと2人は固まった。
「なんで…」
フィースが呻くように言った。
「ヴィンセントさんから交際を申し込まれた」
「…あの参謀の?ガードルートどうするの?」
「考えてる」
「どうして、ガードルート」
「私だって恋人欲しいもの、ヴィンセントさんは、その格好良いし」
「格好良いか、は置いておくとして、…僕達じゃダメなの?」
私はムカッとして言った。
「だって、2人は何も言ってくれない。気持ち良いことをするのは良いけど、私に何も約束してくれないじゃない」

「ガードルート、嫌だ」
イアンは深い青の目から涙をこぼした。
「イアン…」
「僕も嫌だ。僕らなんかから、何か言われたら嫌がるだろうと思ってたんだ。…本当ならもっと早くに付き合いたかった。ずっと我慢していたのに…」
フィースは悔しそうに言った。
「そうなの?」
イアンはポロポロと涙をこぼしながら言った。
「ガードルート、好きなんだ。僕らなんか嫌だと思うだろうけど、ずっと一緒に居たい。そばにいられないなんて、嫌だ」
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