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04 大丈夫です
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彼は観賞専用の美形眼鏡攻略対象者、確かに軽くてチャラいけど……正直、女性の大半は、さっきに台詞に何度も頷いてしまうことだろう。
たとえ、その直前まで好きではなかったとしても。
「……では、何故、僕を見ていた?」
クラウスは不思議そうな表情をして、私にそう聞いた。
そうだよね。不思議だよね。むしろ、なんで好きではないかって言う話? 好きではない訳ではないけど、彼とそういう仲になりたい訳ではなくて。
「すっ……素敵だなと、思っていただけです。見ているだけで大丈夫です。全然、付き合いたいとか思わないです。安心してください」
大丈夫です。好きだから良いでしょうとばかりにストーカー化して迷惑掛けたり、変なことしたりしません!
「……え? 安心? 僕が? 何を?」
クラウスは私の返答が彼の想像の範疇外だったのか、動揺したように言った。
「ええ。安心してください。私はクラウスが嫌がるようなことは、決してしません。見ていることが迷惑だと言うのなら、それも止めますし……」
「アドリアナの思う、僕の嫌がることって、一体何なの?」
「あの……そうですね。クラウスに付きまとったり、嫌がるようなことはしません。私は見ているだけで、大丈夫なので」
「へえ……そうなんだ。アドリアナになら、付きまとって欲しいんだけどね」
「またまた。大丈夫です。ファンには、ファンの美学がありますので」
「……本当に、大丈夫なんだけど」
微妙な笑顔になったクラウスは、若干困っている様子だった。私が彼の想像している行動を取らないので、驚いているのかもしれない。
……けど、そろそろ卒業式だというこの時期に、モブの私に声を掛けるなんて、ヒロインのルナはクラウスルートではなかったのね。
『ときエン』の難易度は、あまり難しくないし、普通にプレイしていればバッドエンドになることはない。卒業式間近なら、好感度はMAXに近いだろうし、私にこんな風に接することなんてあり得ない。
「……あの、クラウスは……ルナ様のこと、どう思っているんですか?」
正直、全然興味ないので、ヒロインルナの家名……覚えていない。興味ないものって、段々と忘れていく。
クラウス以外の攻略対象者も、名前以外はうろ覚えだし……私がどれだけこの二年半、必死に勉強しかしていなかったのかわかろうものである。
「ルナ……誰? ああ……生徒会に居るルナのことかな? 業務連絡以外、話していないよ。何、ヤキモチかな? ……やっぱり、アドリアナは、僕のことが好きなんだ?」
そう揶揄うように言って、私に近付いて来ようとしたので、私は両手をかざし、距離を取った。
「全く、好きではないです! クラウスは、鑑賞専用です!」
私の言葉を聞いて、彼は残念そうに肩を竦めた。
「そっか……ねえ。アドリアナ。良かったら、分からないところを、教えてあげよう。僕はここで本を読んでいるから、もしわからないとこをがあったら教えてくれる?」
唐突な親切な申し出に、私は表情を輝かせた。試験勉強に秀才クラウスは、鬼に金棒と同じ意味。
「ありがとうございます! ……ここの意味なんですけど……」
私がわからないとこをを聞く度に、クラウスは教師よりも上手い説明で教えてくれて、学年トップに近い成績優秀者は本当に違うと心の中で唸るしかなかった。
たとえ、その直前まで好きではなかったとしても。
「……では、何故、僕を見ていた?」
クラウスは不思議そうな表情をして、私にそう聞いた。
そうだよね。不思議だよね。むしろ、なんで好きではないかって言う話? 好きではない訳ではないけど、彼とそういう仲になりたい訳ではなくて。
「すっ……素敵だなと、思っていただけです。見ているだけで大丈夫です。全然、付き合いたいとか思わないです。安心してください」
大丈夫です。好きだから良いでしょうとばかりにストーカー化して迷惑掛けたり、変なことしたりしません!
「……え? 安心? 僕が? 何を?」
クラウスは私の返答が彼の想像の範疇外だったのか、動揺したように言った。
「ええ。安心してください。私はクラウスが嫌がるようなことは、決してしません。見ていることが迷惑だと言うのなら、それも止めますし……」
「アドリアナの思う、僕の嫌がることって、一体何なの?」
「あの……そうですね。クラウスに付きまとったり、嫌がるようなことはしません。私は見ているだけで、大丈夫なので」
「へえ……そうなんだ。アドリアナになら、付きまとって欲しいんだけどね」
「またまた。大丈夫です。ファンには、ファンの美学がありますので」
「……本当に、大丈夫なんだけど」
微妙な笑顔になったクラウスは、若干困っている様子だった。私が彼の想像している行動を取らないので、驚いているのかもしれない。
……けど、そろそろ卒業式だというこの時期に、モブの私に声を掛けるなんて、ヒロインのルナはクラウスルートではなかったのね。
『ときエン』の難易度は、あまり難しくないし、普通にプレイしていればバッドエンドになることはない。卒業式間近なら、好感度はMAXに近いだろうし、私にこんな風に接することなんてあり得ない。
「……あの、クラウスは……ルナ様のこと、どう思っているんですか?」
正直、全然興味ないので、ヒロインルナの家名……覚えていない。興味ないものって、段々と忘れていく。
クラウス以外の攻略対象者も、名前以外はうろ覚えだし……私がどれだけこの二年半、必死に勉強しかしていなかったのかわかろうものである。
「ルナ……誰? ああ……生徒会に居るルナのことかな? 業務連絡以外、話していないよ。何、ヤキモチかな? ……やっぱり、アドリアナは、僕のことが好きなんだ?」
そう揶揄うように言って、私に近付いて来ようとしたので、私は両手をかざし、距離を取った。
「全く、好きではないです! クラウスは、鑑賞専用です!」
私の言葉を聞いて、彼は残念そうに肩を竦めた。
「そっか……ねえ。アドリアナ。良かったら、分からないところを、教えてあげよう。僕はここで本を読んでいるから、もしわからないとこをがあったら教えてくれる?」
唐突な親切な申し出に、私は表情を輝かせた。試験勉強に秀才クラウスは、鬼に金棒と同じ意味。
「ありがとうございます! ……ここの意味なんですけど……」
私がわからないとこをを聞く度に、クラウスは教師よりも上手い説明で教えてくれて、学年トップに近い成績優秀者は本当に違うと心の中で唸るしかなかった。
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