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48 初めてのキス②
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「駄目です。キスは、出来ません!」
まさかここで拒否されると思っていなかったのか、アーロンは驚いた顔をしていた。
「……え? 何故だ。キスくらい良いだろう? 一年も我慢したんだ。せっかく、こうして要らぬ誤解も解けたのに」
アーロンはキスを拒まれて、面白くなさそうだった。けれど、私は恥ずかしいだけではない、ちゃんとした理由があるのだ。
「いけません。アーロン。キスをすると、風邪がうつってしまうかもしれないので……」
現在の私は咳も出ているし、寒気だって少し感じている。そんな状態だというのに、アーロンとキスをして彼に風邪をうつしてしまわないか、不安になってしまった。
「別にうつっても良い。ブランシュが、治るのなら……」
アーロンの顔がより近付いて、私は自然と目を瞑った。唇には柔らかくて熱い唇が触れて、産まれて初めてのキスをした。
閉じていた唇を割って熱い舌が口内に入り込み、気がつけばお互いに舌を絡ませていた。
キスというと私は触れるだけのキスを想像していたので、唾液を交換し合うような深いキスになって、少なからず動揺していた。気持ち良くて止めたくないけれど、アーロンに風邪がうつってしまう。
余計なことを気にしていると彼に気がついてしまったのか、アーロンはふと顔を上げて私の顔を見た。
「顔が真っ赤だ」
そう言って嬉しそうに微笑んだので、私は何も言えなくなってしまった。
本当に恥ずかしいく思ったし息も上手く出来なかったので、顔が真っ赤になってしまうことは仕方ないと思うのに。
「……アーロン」
「こんなにも純情なブランシュが、あんな扇情的な赤いドレスで夜会に出席していたとは……誰に言っても信じないだろうな」
しみじみとした口調でそう言ったので、私は毛布を再度顔の見えぬように引き上げた。
「もう、忘れてください! 私だって、あれは……忘れたいです」
再婚相手を見つけるのだと、そう決心して会場に足を踏み入れたというのに、すぐに回れ右をして帰りたくなってしまった。
立ち上がったアーロンは私の髪を撫でると、真面目な表情になった。
「俺は幼い頃……自分のことが、嫌いだった。怒りを抑えられず、いつも失敗した。だが、ブランシュに好かれるならば、どうだろうと考えて、それを実践していた。今将軍になれたのも、すべてあの時に会ったブランシュのおかげなんだ」
「アーロン?」
「俺に爵位を継がせたかった祖父にけしかけられたと言えば、それはそうなのだろうが……ブランシュ。君と結婚したくて、ここまで頑張れたんだ。それほどまでに、君を愛している。もう……絶対に離れない」
髪にキスをして去って行ったアーロンは、一度会っただけの私と結婚したかったと話したし、そのために将軍になったのだと言った。
だとしたら……あの結婚式があった、あの日。
やっと会えることになった私と離れて……自分は亡くなった事にしてでも、この国を守ろうと決断したアーロンの気持ちを考えると、私はその夜、なかなか眠りに落ちることが出来なかった。
まさかここで拒否されると思っていなかったのか、アーロンは驚いた顔をしていた。
「……え? 何故だ。キスくらい良いだろう? 一年も我慢したんだ。せっかく、こうして要らぬ誤解も解けたのに」
アーロンはキスを拒まれて、面白くなさそうだった。けれど、私は恥ずかしいだけではない、ちゃんとした理由があるのだ。
「いけません。アーロン。キスをすると、風邪がうつってしまうかもしれないので……」
現在の私は咳も出ているし、寒気だって少し感じている。そんな状態だというのに、アーロンとキスをして彼に風邪をうつしてしまわないか、不安になってしまった。
「別にうつっても良い。ブランシュが、治るのなら……」
アーロンの顔がより近付いて、私は自然と目を瞑った。唇には柔らかくて熱い唇が触れて、産まれて初めてのキスをした。
閉じていた唇を割って熱い舌が口内に入り込み、気がつけばお互いに舌を絡ませていた。
キスというと私は触れるだけのキスを想像していたので、唾液を交換し合うような深いキスになって、少なからず動揺していた。気持ち良くて止めたくないけれど、アーロンに風邪がうつってしまう。
余計なことを気にしていると彼に気がついてしまったのか、アーロンはふと顔を上げて私の顔を見た。
「顔が真っ赤だ」
そう言って嬉しそうに微笑んだので、私は何も言えなくなってしまった。
本当に恥ずかしいく思ったし息も上手く出来なかったので、顔が真っ赤になってしまうことは仕方ないと思うのに。
「……アーロン」
「こんなにも純情なブランシュが、あんな扇情的な赤いドレスで夜会に出席していたとは……誰に言っても信じないだろうな」
しみじみとした口調でそう言ったので、私は毛布を再度顔の見えぬように引き上げた。
「もう、忘れてください! 私だって、あれは……忘れたいです」
再婚相手を見つけるのだと、そう決心して会場に足を踏み入れたというのに、すぐに回れ右をして帰りたくなってしまった。
立ち上がったアーロンは私の髪を撫でると、真面目な表情になった。
「俺は幼い頃……自分のことが、嫌いだった。怒りを抑えられず、いつも失敗した。だが、ブランシュに好かれるならば、どうだろうと考えて、それを実践していた。今将軍になれたのも、すべてあの時に会ったブランシュのおかげなんだ」
「アーロン?」
「俺に爵位を継がせたかった祖父にけしかけられたと言えば、それはそうなのだろうが……ブランシュ。君と結婚したくて、ここまで頑張れたんだ。それほどまでに、君を愛している。もう……絶対に離れない」
髪にキスをして去って行ったアーロンは、一度会っただけの私と結婚したかったと話したし、そのために将軍になったのだと言った。
だとしたら……あの結婚式があった、あの日。
やっと会えることになった私と離れて……自分は亡くなった事にしてでも、この国を守ろうと決断したアーロンの気持ちを考えると、私はその夜、なかなか眠りに落ちることが出来なかった。
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