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第一部
室内プール
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結構な長時間、高速を走ってやっと黄花の里へと辿り着いた。
途中、大きなショッピングモールなどに寄るか?って聞かれたけど、早く別荘を見てみたくて先を急いでもらった。辿り着いた時はもう昼過ぎになっていて、お昼ご飯は途中で寄ったSAで済ませたけど、久しぶりに食べたなんでもないおうどんも美味しかった。ただ雄吾さんも子竜さんも量が足りないみたいで、コンビニでおにぎりやサンドイッチを補給していたけど。
「……わー」
私は深青の里にある巣を見た時と同じ反応をした。見上げたまま、間抜けに口を開けてしまう。
「透子ちゃん、気に入ってくれた?」
「あ、はい、これって誰の持ち物なんですか?」
夫の誰かの物なんだろうけど、本当に素敵な建物なのだ。女の子の好みそうな白を基調としたデザイン。内装もきっとすごいんだろうな。
「ああ、これは俺のだよ。この前購入したところ。……どこに行くかの勝負で、じゃんけんで勝ったからね。今回の行先は俺の別荘になったって訳」
ニヤッと子竜さんは笑うと、指で鍵をくるくると回した。
「私のいないところでそんなことしてたんですね」
トランクを開けてくれた雄吾さんから荷物を受け取ろうとしたけどさっと持たれてそのまま行かれてしまう。
「行こう」
子竜さんは手持ち無沙汰の私の手を取ると大きな玄関に向かって歩き出した。何故かわからないけど、場所が変わると空気のにおいすらも違うように感じた。
「この別荘ってすっごい素敵ですね」
私の使う部屋へと案内してもらって、二人に興奮気味に言った。きっと顔も紅潮してると思う。内装は想像した通りに本当に素敵だった。女の子が好みそうな色合いとすっきりとしたデザインで、本当に本当に感動してしまった。
「良かったな。透子の好みにピッタリだったな」
「まあね、透子ちゃんが好きそうだなーと思って即決で購入したから、予想通りの反応ありがとうございます」
私は窓の外を見た。ここからも海が見えるし、敷地にはドーム型の建物もある。あれは……。
私は振り返って子竜さんに言った。
「もしかして、室内プールですか?」
「ふっ……そうやって目を輝かせるところ、本当に可愛いなあ、そうそう、ご指摘の通りあの建物は室内プールだよ。透子ちゃんは絶対に喜ぶと思った」
「……子竜さんありがとうございます!」
「早速泳いでみる?」
「良いんですか?」
私は言ってからハッと気がついた水着なんて持って来ていない。
「あ、でも、水着を持って来てないです」
「もちろん、ホテルで用意していた水着を持って来ているよ。俺は用意は良いもんで」
子竜さんはそう言うとウインクをしからかうように雄吾さんを肘で押した。
「雄吾の水着もあるよ? どうする?」
「遠慮しとく。仕事やるから」
憮然とした雄吾さんは部屋から出ていく。
「大丈夫でしょうか?」
「平気平気、夕食にはなんでもない顔して出てくるよ。じゃあ、水着持ってくるから待っててね」
と、言うと子竜さんは部屋を出て行ってしまう。
私はその間に手早くトランクの中を整理して、収納へと片付けた。
やがて帰って来た子竜さんは私に小さな紙袋を渡して、微笑んだ。
「透子ちゃん、じゃあ、行こうか」
途中、大きなショッピングモールなどに寄るか?って聞かれたけど、早く別荘を見てみたくて先を急いでもらった。辿り着いた時はもう昼過ぎになっていて、お昼ご飯は途中で寄ったSAで済ませたけど、久しぶりに食べたなんでもないおうどんも美味しかった。ただ雄吾さんも子竜さんも量が足りないみたいで、コンビニでおにぎりやサンドイッチを補給していたけど。
「……わー」
私は深青の里にある巣を見た時と同じ反応をした。見上げたまま、間抜けに口を開けてしまう。
「透子ちゃん、気に入ってくれた?」
「あ、はい、これって誰の持ち物なんですか?」
夫の誰かの物なんだろうけど、本当に素敵な建物なのだ。女の子の好みそうな白を基調としたデザイン。内装もきっとすごいんだろうな。
「ああ、これは俺のだよ。この前購入したところ。……どこに行くかの勝負で、じゃんけんで勝ったからね。今回の行先は俺の別荘になったって訳」
ニヤッと子竜さんは笑うと、指で鍵をくるくると回した。
「私のいないところでそんなことしてたんですね」
トランクを開けてくれた雄吾さんから荷物を受け取ろうとしたけどさっと持たれてそのまま行かれてしまう。
「行こう」
子竜さんは手持ち無沙汰の私の手を取ると大きな玄関に向かって歩き出した。何故かわからないけど、場所が変わると空気のにおいすらも違うように感じた。
「この別荘ってすっごい素敵ですね」
私の使う部屋へと案内してもらって、二人に興奮気味に言った。きっと顔も紅潮してると思う。内装は想像した通りに本当に素敵だった。女の子が好みそうな色合いとすっきりとしたデザインで、本当に本当に感動してしまった。
「良かったな。透子の好みにピッタリだったな」
「まあね、透子ちゃんが好きそうだなーと思って即決で購入したから、予想通りの反応ありがとうございます」
私は窓の外を見た。ここからも海が見えるし、敷地にはドーム型の建物もある。あれは……。
私は振り返って子竜さんに言った。
「もしかして、室内プールですか?」
「ふっ……そうやって目を輝かせるところ、本当に可愛いなあ、そうそう、ご指摘の通りあの建物は室内プールだよ。透子ちゃんは絶対に喜ぶと思った」
「……子竜さんありがとうございます!」
「早速泳いでみる?」
「良いんですか?」
私は言ってからハッと気がついた水着なんて持って来ていない。
「あ、でも、水着を持って来てないです」
「もちろん、ホテルで用意していた水着を持って来ているよ。俺は用意は良いもんで」
子竜さんはそう言うとウインクをしからかうように雄吾さんを肘で押した。
「雄吾の水着もあるよ? どうする?」
「遠慮しとく。仕事やるから」
憮然とした雄吾さんは部屋から出ていく。
「大丈夫でしょうか?」
「平気平気、夕食にはなんでもない顔して出てくるよ。じゃあ、水着持ってくるから待っててね」
と、言うと子竜さんは部屋を出て行ってしまう。
私はその間に手早くトランクの中を整理して、収納へと片付けた。
やがて帰って来た子竜さんは私に小さな紙袋を渡して、微笑んだ。
「透子ちゃん、じゃあ、行こうか」
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