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第一部
ナイトプール
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「うわあっ、すごい! きれーい!! 子竜さんこのお部屋すごいです!」
私はプライベートプール付の部屋の大きな窓から見える、大きな満月が浮かぶ星空と海の共演に感動した。
ランチを食べたレストランからホテルへと移動した私たちはプールで遊んで疲れた後、せっかくだからとホテル内にあるエステでくつろいで夕飯を食べてから子竜さんにとっておきの景色があると言われてこの部屋へとやって来た。
「お褒めに預かり光栄です。今夜この部屋が空いてて良かったよ。どうする? また泳ぐ?」
大仰な礼をしながら聞いて来た子竜さんに、私はプライベートプールの水面に浮かぶ満月を見て大きく頷いた。
今度用意された水着はすごく可愛いけどやっぱり面積が少ない。
じっとそれを見てからなんとなく、まあ良いか、と思った。子竜さんは雄吾さんと違って場慣れしてそうだし、私が水着姿になったからってなんとも思ってなさそう。お風呂の脱衣所で手早く水着に着替えて髪をまとめると、プールのある部屋を覗き込む。
「……子竜さん?」
子竜さんはプールの中にいた。器用に仰向けになりながら、月を見ているのか目が遠くを見ている。
「子竜さん、お待たせしました」
「……いえいえ、女の子を待つのは慣れているって言ったろ?」
私と目を合わせず、月を見ている。その時私は気がついた。ふわふわと浮いている中に鮮やかな赤い尻尾も浮いているのだ。
くすくすと笑い出してしまう。
「もしかして、興奮してます?」
「好きな女の子のビキニ姿を見られると知っていて興奮しない雄はいないかな」
苦笑した顔をしながらも私の方を向いた。
私は微笑んでプールに浸かると、満月の浮いている水面の水をすくった。当たり前なんだけど、それで空の上にあるお月さまが手に入るわけじゃない。
「ビキニ用意したのって子竜さんですよね?」
「……いや、秘書だよ。報告は聞いていたけど、本当に良い仕事するな。あいつ」
じっと私の黒地に白の水玉模様のビキニを見てくる。
「見る目がいやらしいです」
「いやらしくない雄なんか居る?」
本当に不思議そうな顔をして聞くから私は吹き出した。
「子竜さんてそう言うことにあまり興味がないのかと思っていました」
「……それはどうして?」
「なんとなく……です。大人だから?」
「残念でした、俺は大人じゃないよ。臆病なだけ。透子ちゃんには絶対に嫌われたくないからね」
ふっと笑って水に潜った。ざばっと音がして、浮き上がると一気に泳ぎ出した。子竜さんて本当に泳ぎが上手いんだよね。それにフォームがすごく綺麗。もしかしたら学生の頃、水泳の選手だったのかもしれない。
あっという間にプールの端と端になってしまった。
「それって、私が何かしないと、何もしないってことですか?」
顔を上げたままの平泳ぎで着いて行く。
やっと追いついた子竜さんは鮮やかな赤い髪から水滴をぽたぽたと落としながら首を傾げた。
「もしそうだとしたら……してくれるの?」
私はプライベートプール付の部屋の大きな窓から見える、大きな満月が浮かぶ星空と海の共演に感動した。
ランチを食べたレストランからホテルへと移動した私たちはプールで遊んで疲れた後、せっかくだからとホテル内にあるエステでくつろいで夕飯を食べてから子竜さんにとっておきの景色があると言われてこの部屋へとやって来た。
「お褒めに預かり光栄です。今夜この部屋が空いてて良かったよ。どうする? また泳ぐ?」
大仰な礼をしながら聞いて来た子竜さんに、私はプライベートプールの水面に浮かぶ満月を見て大きく頷いた。
今度用意された水着はすごく可愛いけどやっぱり面積が少ない。
じっとそれを見てからなんとなく、まあ良いか、と思った。子竜さんは雄吾さんと違って場慣れしてそうだし、私が水着姿になったからってなんとも思ってなさそう。お風呂の脱衣所で手早く水着に着替えて髪をまとめると、プールのある部屋を覗き込む。
「……子竜さん?」
子竜さんはプールの中にいた。器用に仰向けになりながら、月を見ているのか目が遠くを見ている。
「子竜さん、お待たせしました」
「……いえいえ、女の子を待つのは慣れているって言ったろ?」
私と目を合わせず、月を見ている。その時私は気がついた。ふわふわと浮いている中に鮮やかな赤い尻尾も浮いているのだ。
くすくすと笑い出してしまう。
「もしかして、興奮してます?」
「好きな女の子のビキニ姿を見られると知っていて興奮しない雄はいないかな」
苦笑した顔をしながらも私の方を向いた。
私は微笑んでプールに浸かると、満月の浮いている水面の水をすくった。当たり前なんだけど、それで空の上にあるお月さまが手に入るわけじゃない。
「ビキニ用意したのって子竜さんですよね?」
「……いや、秘書だよ。報告は聞いていたけど、本当に良い仕事するな。あいつ」
じっと私の黒地に白の水玉模様のビキニを見てくる。
「見る目がいやらしいです」
「いやらしくない雄なんか居る?」
本当に不思議そうな顔をして聞くから私は吹き出した。
「子竜さんてそう言うことにあまり興味がないのかと思っていました」
「……それはどうして?」
「なんとなく……です。大人だから?」
「残念でした、俺は大人じゃないよ。臆病なだけ。透子ちゃんには絶対に嫌われたくないからね」
ふっと笑って水に潜った。ざばっと音がして、浮き上がると一気に泳ぎ出した。子竜さんて本当に泳ぎが上手いんだよね。それにフォームがすごく綺麗。もしかしたら学生の頃、水泳の選手だったのかもしれない。
あっという間にプールの端と端になってしまった。
「それって、私が何かしないと、何もしないってことですか?」
顔を上げたままの平泳ぎで着いて行く。
やっと追いついた子竜さんは鮮やかな赤い髪から水滴をぽたぽたと落としながら首を傾げた。
「もしそうだとしたら……してくれるの?」
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