まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え~もふもふ人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

待鳥園子

文字の大きさ
上 下
54 / 151
第一部

054 からかう

しおりを挟む
「はいはい。透子。あーんして」

「春くん……もうっ、私。自分で食べられるってば」

 私はスプーンでスープを掬って、揶揄う春くんを軽く睨んだ。

 理人さんに抱き潰された翌朝、私は身体を綺麗にされて自分のベッドで寝かされていた。

 けど、理人さんの言った通りに、足ががくがくして立てなくて、腰が抜けてしまった状態になっていた。

 だから、こうして春くんに自分の部屋まで昼ご飯に近い朝ご飯を、持って来てもらっている。

「理人も……溜まっていたのかなー。透子が立てなくなるまで……こんなになるまで、しなくて良いのにね~?」

 ベッドから出たいと何度か言って、ようやく私は春くんに抱き上げられてソファに座らせて貰ってから、自分でパンをちぎって食べ出した。

「んっ……このパン。美味しい」

「そう? これ近くに出来たパン屋さんの、パンなんだよ。本当に珍しいんだけど、パンを焼く職人さんの中に、雌も混じっているらしいよ」

「……え?」

「なんか、聞くところによると、そのお店の跡取り娘らしいね。だからもう既に夫も何人か居るらしいけど、皆強くは言えないみたい。だから、自分で働いているみたいだよ」

 大きめのマグカップで、自分用に淹れてきたお茶を飲みながら春くんは私の質問に答えた。

「行ってみたい」

「ふふ。そうだよね。透子はこの話をすれば、興味を持つと思った。じゃあ、またパンが切れたタイミングで、俺と買いに行こうか」

「うん」

 少しだけ固めのパンだけど、噛めば噛むほど甘味が出てきて美味しい。サンドされているのはツナとトマトとレタスとバター? かな。

「……ねえねえ、透子。これからさ、凛太を揶揄ってみない?」

 私がひとしきり食べ終わって一息ついた私は、楽しそうにそう言った春くんを胡乱げに見た。

「え? 凛太さんを揶揄うの? もう、また何か企んでるでしょ」

「え~。そんなことないよ~」

「そういう顔する春くんは、信用できない」

「まあでも……透子は今、自分で立てないから、俺に抵抗出来ないもんね?」

 春くんは悪戯っぽく笑うと私を一気に抱き上げてそしてなぜか、私のスマホも持ち窓際にまで連れて来て、一気にカーテンを開いた。

「わー、良い天気だね」

「眩しい。もう、春くん何するの?」

「んー、実験実験。あいつは多分ずっと透子のこと見られるように、眷属をこの巣に貼り付けてるんだと思うんだよね~」

「え?」

「透子。はい。こっちに両手をついて」

「どういうこと?」

 春くんは私に大きな継ぎ目のない透明な窓に、手をつかせると自分は左手で腰を強く掴んだ。

「いっぱい声出しても、良いからね~」

 彼はそう言うと、私のパジャマの中に大きな右手を差し入れて来た。上は下着を付けていないから、二つのふくらみへと容易に手が届く。

「やぁっ。春くん」

「わあ、至福。想像なんかより、めちゃくちゃ触り心地良いや。すべすべで柔らかくて大きくて気持ちいー。これはずっと触ってても、飽きないなぁ」

「あっああっ。春くん……、いきなり、何」

 乳首を摘んで擦ったり、大きな手でぐちゃぐちゃに揉み込んだりとても忙しい。

「もうすぐ。もうすぐだと思うんだけどなー?」

 楽しそうな声を出しながら、私の胸を触って首筋に吸い付いたり熱い舌で舐めたりする。

 私はどうにかして逃れようとしてもがくけど、足が思うように動かないのもあって春くんの拘束からは逃れられない。

 その時、部屋に大きな電子音が響いた。

「透子、出て良いよ」

「んっ……でも、春くん」

「良いから良いから。面白いから」

 私は春くんから手渡されたスマホを受け取ると、そのまま名前も見ずに出た。

「はい」

『透子さん、そこのバカに代わってもらって良いですか』

「あ、え? 凛太さん? えっと、ちょっと、も、春くんだめ」

「ふふ、透子。声我慢出来ないくらいに、気持ち良いもんね? うんうん。スピーカーにしたら良いよ」

 私はがくがくした手を窓を押さえながら、スマホの画面でスピーカーに切り替えた。

『春、お前死にたいみたいだな』

「はは。やれるもんなら。凛太、覗きは犯罪だよ?」

「ちょっと……春くんやめてってば」

 どこまでも面白そうな春くんに、敏感な乳首を摘ままれて急に激しく刺激されて、私は身体をくねらせた。

『お前、覚えとけよ』

 凛太さんはどうにか湧き上がる怒りを抑えようとしているのか、いつもは響きの良い声がどんどん低くなっていく。

「俺の奥さんにどうこうするなんて、もう考えない方が良いよ~。まあ、俺一人だけならともかく、ね? ……透子、もっとベッドで楽しもう。もっと、気持ち良くしてあげる」

 甘やかすような声を出して、春くんは私の持っていたスマホの終話ボタンを押した。

 私を抱き上げてからベッドへと寝かせて、カーテンの隙間がないようにきっちり締めた。

「ね? 面白かったでしょ?」

 春くんは本当にすっごく楽しそうだったけど、私はその可愛い笑顔を怒るに怒れなくて口を尖らせた。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

目が覚めたら男女比がおかしくなっていた

いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。 一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!? 「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」 ##### r15は保険です。 2024年12月12日 私生活に余裕が出たため、投稿再開します。 それにあたって一部を再編集します。 設定や話の流れに変更はありません。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

囚われの姫〜異世界でヴァンパイアたちに溺愛されて〜

月嶋ゆのん
恋愛
志木 茉莉愛(しき まりあ)は図書館で司書として働いている二十七歳。 ある日の帰り道、見慣れない建物を見かけた茉莉愛は導かれるように店内へ。 そこは雑貨屋のようで、様々な雑貨が所狭しと並んでいる中、見つけた小さいオルゴールが気になり、音色を聞こうとゼンマイを回し音を鳴らすと、突然強い揺れが起き、驚いた茉莉愛は手にしていたオルゴールを落としてしまう。 すると、辺り一面白い光に包まれ、眩しさで目を瞑った茉莉愛はそのまま意識を失った。 茉莉愛が目覚めると森の中で、酷く困惑する。 そこへ現れたのは三人の青年だった。 行くあてのない茉莉愛は彼らに促されるまま森を抜け彼らの住む屋敷へやって来て詳しい話を聞くと、ここは自分が住んでいた世界とは別世界だという事を知る事になる。 そして、暫く屋敷で世話になる事になった茉莉愛だが、そこでさらなる事実を知る事になる。 ――助けてくれた青年たちは皆、人間ではなくヴァンパイアだったのだ。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...