52 / 151
第一部
052 悪戯
しおりを挟む
その夜は春くんが貸してくれた、とても面白いミステリーを読んでいた。面白過ぎて読む手が止まらずに、丁度キリの良いところが見つからなかった私は、結局その日の内に読み切ってしまった。
時計を見ると、もう深夜の二時。
ああ……やっちゃったなあって、思った。また明日の朝ご飯は、春くん任せになるかな。
高度なミステリーのオチに興奮し過ぎて、寝る前にキッチンにお茶でも飲みに行こうかなと思って扉から出た。
シーンとして音のない深夜の空気の中、左隣から小さな物音が聞こえて来た。
理人さんの部屋だ。もしかしたら、多忙な彼は今帰って来たところなのかもしれない。
最近忙し過ぎて彼とは顔を合わせてないし、あまり話せてない。夜遅いけどちょっとだけでも話せるかもしれないと思った私は、彼の部屋の扉をコンコンとノックをした。
しんとしたままで、応対はない。
けど……絶対に、物音はしたはず? 思い切って扉を開けてみるとやっぱり灯りはついているし、部屋の奥にあるテレビも付いたままだった。
テレビに映っているのは、外国のニュースだろうか。日本語ではない言語を早口のキャスターが、何か話しているのが聞こえた。
「あの……理人さん? 透子です」
そっと扉を閉めて部屋の中に入ると、ベッドの上で濡れた髪のまま寝ている理人さんが居た。
シャワーを浴びてそのまま横になり、眠ってしまったのか。
上半身は裸で下着だけをつけたまま、あどけない顔で眠ってしまっていた。可愛い。このところ、激務だったみたいだし。疲れて、寝ちゃったのかな。
私は彼が肩にかけていたタオル取り、出来るだけ濡れている髪を乾かすと、また追加で二枚ほどシャワールームから乾いた大きなタオルを持って来て水分を取った。
斜めの体勢で床に放りっぱなしだった足を何とか動かして、ベッドの中心へと運ぶ。
何とか、そのまま寝られる格好になった理人さんを見下ろして、私は頬にキスをした。何だかそれだけでは物足りなくて、唇にもそっとキスをする。
それでは身体の上に毛布を掛けてしまおうと理人さんの足元をぱっと見ると、私の見間違いでなければ黒い下着が盛り上がっている。
こくん、と喉が鳴ったのが自分でもわかった。
この前彼とそういうことをした時でも、私はされるがままだった。だから、理人さん自身を見ることは出来ていない。
もう、ただただ気持ちよくされて、絶頂へと導かれた。
どうしても、いけない好奇心が首をもたげてくる。
理人さんだって、私のあの部分をめちゃくちゃに舐めて、じっくりと見ているはずだし。私達、もう夫婦なんだから見ても、問題ないんじゃない?
私は理人さんの彫刻みたいな綺麗な身体から続く、割れた腹筋に人差し指をそっと這わせた。筋肉質なその身体は硬くて弾力があって、触れていてとても気持ち良い。
下着のゴムに、手をかける。そっと下にずらすと……大きくて何だか、びっくりするものが隠れていた。
私はそっとそれにも、指を這わせる。気のせいでなければ、むくむくとより大きくなってる? 根元に瘤のようなものを探すけど、今はないみたいだった。もしかしたら、人狼は射精した時にしか出来ないのかもしれない。
それをじっくりと見て、注意深く触っている私に、いきなり枕元から声がした。
「透子さん」
私は慌てて彼の黒い下着を上げて、何もしていなかったような顔を作った。もう、手遅れだって……もちろんちゃんとわかってはいるけど。
「……理人さん……ごめんなさい。起こしました?」
「……すみません。興味津々で可愛い貴方を見ていたかったんですけど……このまま出てしまうと、色々と僕も不都合があるので」
「不都合、ですか?」
「ええ。一度出してしまうと、しばらくは透子さんの中に挿れられなくなるので」
私は彼の言葉を聞いて、かあっと顔を熱くした。
理人さんは上半身を起こして、両手を私に差し出した。私は彼の動きに誘われるがままに、抱き寄せられた。
「透子さん。したいです。良いですか?」
「……はい」
耳元で理人さんに囁かれて、顔を熱くしながら私は一度頷いた。ぺろっと、熱い舌で頬を舐められた。まるで、今仕留めたばかりの獲物の味を確かめるように。
「僕の世話をして……何度もキスしてくれるのが嬉しくて、つい声をかけるタイミングを逸してしましました」
「ちょっと待ってください……いつから、起きていたんですか?」
もしかしたら、ずっと起きていたんじゃないかとむっとして上目遣いになる私に、彼はもう一回キスをした。
「……内緒です」
時計を見ると、もう深夜の二時。
ああ……やっちゃったなあって、思った。また明日の朝ご飯は、春くん任せになるかな。
高度なミステリーのオチに興奮し過ぎて、寝る前にキッチンにお茶でも飲みに行こうかなと思って扉から出た。
シーンとして音のない深夜の空気の中、左隣から小さな物音が聞こえて来た。
理人さんの部屋だ。もしかしたら、多忙な彼は今帰って来たところなのかもしれない。
最近忙し過ぎて彼とは顔を合わせてないし、あまり話せてない。夜遅いけどちょっとだけでも話せるかもしれないと思った私は、彼の部屋の扉をコンコンとノックをした。
しんとしたままで、応対はない。
けど……絶対に、物音はしたはず? 思い切って扉を開けてみるとやっぱり灯りはついているし、部屋の奥にあるテレビも付いたままだった。
テレビに映っているのは、外国のニュースだろうか。日本語ではない言語を早口のキャスターが、何か話しているのが聞こえた。
「あの……理人さん? 透子です」
そっと扉を閉めて部屋の中に入ると、ベッドの上で濡れた髪のまま寝ている理人さんが居た。
シャワーを浴びてそのまま横になり、眠ってしまったのか。
上半身は裸で下着だけをつけたまま、あどけない顔で眠ってしまっていた。可愛い。このところ、激務だったみたいだし。疲れて、寝ちゃったのかな。
私は彼が肩にかけていたタオル取り、出来るだけ濡れている髪を乾かすと、また追加で二枚ほどシャワールームから乾いた大きなタオルを持って来て水分を取った。
斜めの体勢で床に放りっぱなしだった足を何とか動かして、ベッドの中心へと運ぶ。
何とか、そのまま寝られる格好になった理人さんを見下ろして、私は頬にキスをした。何だかそれだけでは物足りなくて、唇にもそっとキスをする。
それでは身体の上に毛布を掛けてしまおうと理人さんの足元をぱっと見ると、私の見間違いでなければ黒い下着が盛り上がっている。
こくん、と喉が鳴ったのが自分でもわかった。
この前彼とそういうことをした時でも、私はされるがままだった。だから、理人さん自身を見ることは出来ていない。
もう、ただただ気持ちよくされて、絶頂へと導かれた。
どうしても、いけない好奇心が首をもたげてくる。
理人さんだって、私のあの部分をめちゃくちゃに舐めて、じっくりと見ているはずだし。私達、もう夫婦なんだから見ても、問題ないんじゃない?
私は理人さんの彫刻みたいな綺麗な身体から続く、割れた腹筋に人差し指をそっと這わせた。筋肉質なその身体は硬くて弾力があって、触れていてとても気持ち良い。
下着のゴムに、手をかける。そっと下にずらすと……大きくて何だか、びっくりするものが隠れていた。
私はそっとそれにも、指を這わせる。気のせいでなければ、むくむくとより大きくなってる? 根元に瘤のようなものを探すけど、今はないみたいだった。もしかしたら、人狼は射精した時にしか出来ないのかもしれない。
それをじっくりと見て、注意深く触っている私に、いきなり枕元から声がした。
「透子さん」
私は慌てて彼の黒い下着を上げて、何もしていなかったような顔を作った。もう、手遅れだって……もちろんちゃんとわかってはいるけど。
「……理人さん……ごめんなさい。起こしました?」
「……すみません。興味津々で可愛い貴方を見ていたかったんですけど……このまま出てしまうと、色々と僕も不都合があるので」
「不都合、ですか?」
「ええ。一度出してしまうと、しばらくは透子さんの中に挿れられなくなるので」
私は彼の言葉を聞いて、かあっと顔を熱くした。
理人さんは上半身を起こして、両手を私に差し出した。私は彼の動きに誘われるがままに、抱き寄せられた。
「透子さん。したいです。良いですか?」
「……はい」
耳元で理人さんに囁かれて、顔を熱くしながら私は一度頷いた。ぺろっと、熱い舌で頬を舐められた。まるで、今仕留めたばかりの獲物の味を確かめるように。
「僕の世話をして……何度もキスしてくれるのが嬉しくて、つい声をかけるタイミングを逸してしましました」
「ちょっと待ってください……いつから、起きていたんですか?」
もしかしたら、ずっと起きていたんじゃないかとむっとして上目遣いになる私に、彼はもう一回キスをした。
「……内緒です」
40
お気に入りに追加
1,903
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

目が覚めたら男女比がおかしくなっていた
いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。
一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!?
「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」
#####
r15は保険です。
2024年12月12日
私生活に余裕が出たため、投稿再開します。
それにあたって一部を再編集します。
設定や話の流れに変更はありません。
囚われの姫〜異世界でヴァンパイアたちに溺愛されて〜
月嶋ゆのん
恋愛
志木 茉莉愛(しき まりあ)は図書館で司書として働いている二十七歳。
ある日の帰り道、見慣れない建物を見かけた茉莉愛は導かれるように店内へ。
そこは雑貨屋のようで、様々な雑貨が所狭しと並んでいる中、見つけた小さいオルゴールが気になり、音色を聞こうとゼンマイを回し音を鳴らすと、突然強い揺れが起き、驚いた茉莉愛は手にしていたオルゴールを落としてしまう。
すると、辺り一面白い光に包まれ、眩しさで目を瞑った茉莉愛はそのまま意識を失った。
茉莉愛が目覚めると森の中で、酷く困惑する。
そこへ現れたのは三人の青年だった。
行くあてのない茉莉愛は彼らに促されるまま森を抜け彼らの住む屋敷へやって来て詳しい話を聞くと、ここは自分が住んでいた世界とは別世界だという事を知る事になる。
そして、暫く屋敷で世話になる事になった茉莉愛だが、そこでさらなる事実を知る事になる。
――助けてくれた青年たちは皆、人間ではなくヴァンパイアだったのだ。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる