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第一部
032 練習そのさん
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「えっと……その、まだ終わってなくて……」
「知ってます」
「え? 知ってる?」
「……すみません。不躾でした。僕は血の匂いが、わかるもので」
「あ、そ……そうですよね。そういう意味ですよね。鼻が良いから……ビックリしました」
恥ずかしくて顔を俯けた私を、何気なく横抱きに抱き上げるとベッドへと向かって歩いた。ぽふっと私を柔らかなベッドに落とすと、理人さんはジャケットを脱いでネクタイを外した。
シャツのボタンを二番目まで外すと、彼は私の隣に腰掛けた。
「どっちにします?」
「……どっち?」
「僕と透子さんがどっちが、上半身の服を脱ぐかです」
私は選びにくい二択を前に、思わず喉を鳴らした。
「……どっちか、なんですね」
「どっちもにします? でもそうすると……そういうことに慣れていない僕が途中で止まれるかが、自分でもわからないので。あんまりお勧めはしませんが」
理人さんは無表情のまま、とんでもないことをさらっと口にした。
「……選べません」
「じゃあ、僕が選んで良いですか?」
「……良いですよ」
「透子さんが、脱いでみてください。今度は僕が、気持ちよくしてあげたいです」
私は彼の真っ直ぐな視線と彫像のような綺麗な顔を見ていられなくて、目を伏せて頷いた。
今着ているラベンダー色の緩いニットを、ゆっくりと脱いだ。女性が大事にされるこっちの世界の下着は、高級なものが多いみたいでやたらとレースがついている。
別に期待してこれを着た訳じゃないけど、なんだか恥ずかしく思えて、胸の前で手を当てた。
「……綺麗だ」
「ありがとう……ございます?」
「触っても良いですか?」
「う、はい」
ゆっくりとして、理人さんの大きな白い手が近づく。左胸を掬い上げるように触れると、彼は溜め息をついた。
「癖になりそうな、柔らかさですね。下着も……外しても良いですか?」
私は彼の甘えるような声音に負けて、自ら下着を外した。ふるっと冷たい空気に触れて、少し震える。
「その、いちいち聞かれてしまうと、恥ずかしいので……理人さんの好きにして貰って、大丈夫です」
彼の顔をやっぱり見れずに、顔を俯けて言うと耳元で囁かれた。
「そんなこと言ったら、危険ですね。止まらなくなる」
理人さんは、丁寧に胸の先を触った。さわさわとして擦ったり、興味深そうに弄ったりする。私はその間、変な声が出そうでぐっと我慢しながら耐えてた。
「ここって……気持ち良いですか?」
「はい」
「舐めても?」
「も、理人さん……聞かないで」
ふわっと後ろに優しく押し倒されて、大きくて熱い舌が乳首を舐めた。ペロペロと舌を動かしてじゅっと吸ったり、初めての快感に大きな声が出そうになるのを、慌てて口を手で抑える。
「声を我慢しないで」
彼は興奮しているのか、少し掠れた声で言った。その間も、胸を舐めたり指で摘んで弄ったり軽く噛み付いたりしてる。
「ん……理人さん、気持ちい……」
「もう聞かないんで。自分で何をして欲しいか、教えてくださいね」
私は一瞬止まった後、薄いグレーの瞳を見つめて言った。
「キスして欲しいです……」
間髪入れずに、言われた通りにキスをしてくれる。ちゅ、ちゅっと軽くキスをすると、少し開いていた私の唇を割るようにして舌を差し込んできた。くちゅくちゅと舌を吸ったり、歯列をなぞったり、口蓋を舐めたり……とにかく私の口の中を蹂躙された。
「可愛いですね……」
ぺろっと私の頬を舐めて、目を細めた。まるでご馳走を目の前にした、野生の狼みたいに。
「ん、ああっ」
頬から耳へと、濡れた舌がスライドして私は未知の快感に声を上げた。あんまりにも、気持ち良かったからだ。心得たように理人さんはそのまま、耳を執拗に何度も舐めた。
気持ち良くて、目が回りそうになる。両側の耳をたっぷり舐め終わる頃には私は息も絶え絶えになって、満足そうに見下ろす理人さんを涙目で少し睨んだ。
「そろそろ食事の時間だから、シャワーを浴びてから降りましょうか」
「ん、はあっ……はあっ。もうっ。やりすぎです」
時計を見て時間を確認して軽く頬にキスをしてから、理人さんは笑った。
「本番は、もっともっと気持ち良くなりますからね。楽しみにしてください」
「知ってます」
「え? 知ってる?」
「……すみません。不躾でした。僕は血の匂いが、わかるもので」
「あ、そ……そうですよね。そういう意味ですよね。鼻が良いから……ビックリしました」
恥ずかしくて顔を俯けた私を、何気なく横抱きに抱き上げるとベッドへと向かって歩いた。ぽふっと私を柔らかなベッドに落とすと、理人さんはジャケットを脱いでネクタイを外した。
シャツのボタンを二番目まで外すと、彼は私の隣に腰掛けた。
「どっちにします?」
「……どっち?」
「僕と透子さんがどっちが、上半身の服を脱ぐかです」
私は選びにくい二択を前に、思わず喉を鳴らした。
「……どっちか、なんですね」
「どっちもにします? でもそうすると……そういうことに慣れていない僕が途中で止まれるかが、自分でもわからないので。あんまりお勧めはしませんが」
理人さんは無表情のまま、とんでもないことをさらっと口にした。
「……選べません」
「じゃあ、僕が選んで良いですか?」
「……良いですよ」
「透子さんが、脱いでみてください。今度は僕が、気持ちよくしてあげたいです」
私は彼の真っ直ぐな視線と彫像のような綺麗な顔を見ていられなくて、目を伏せて頷いた。
今着ているラベンダー色の緩いニットを、ゆっくりと脱いだ。女性が大事にされるこっちの世界の下着は、高級なものが多いみたいでやたらとレースがついている。
別に期待してこれを着た訳じゃないけど、なんだか恥ずかしく思えて、胸の前で手を当てた。
「……綺麗だ」
「ありがとう……ございます?」
「触っても良いですか?」
「う、はい」
ゆっくりとして、理人さんの大きな白い手が近づく。左胸を掬い上げるように触れると、彼は溜め息をついた。
「癖になりそうな、柔らかさですね。下着も……外しても良いですか?」
私は彼の甘えるような声音に負けて、自ら下着を外した。ふるっと冷たい空気に触れて、少し震える。
「その、いちいち聞かれてしまうと、恥ずかしいので……理人さんの好きにして貰って、大丈夫です」
彼の顔をやっぱり見れずに、顔を俯けて言うと耳元で囁かれた。
「そんなこと言ったら、危険ですね。止まらなくなる」
理人さんは、丁寧に胸の先を触った。さわさわとして擦ったり、興味深そうに弄ったりする。私はその間、変な声が出そうでぐっと我慢しながら耐えてた。
「ここって……気持ち良いですか?」
「はい」
「舐めても?」
「も、理人さん……聞かないで」
ふわっと後ろに優しく押し倒されて、大きくて熱い舌が乳首を舐めた。ペロペロと舌を動かしてじゅっと吸ったり、初めての快感に大きな声が出そうになるのを、慌てて口を手で抑える。
「声を我慢しないで」
彼は興奮しているのか、少し掠れた声で言った。その間も、胸を舐めたり指で摘んで弄ったり軽く噛み付いたりしてる。
「ん……理人さん、気持ちい……」
「もう聞かないんで。自分で何をして欲しいか、教えてくださいね」
私は一瞬止まった後、薄いグレーの瞳を見つめて言った。
「キスして欲しいです……」
間髪入れずに、言われた通りにキスをしてくれる。ちゅ、ちゅっと軽くキスをすると、少し開いていた私の唇を割るようにして舌を差し込んできた。くちゅくちゅと舌を吸ったり、歯列をなぞったり、口蓋を舐めたり……とにかく私の口の中を蹂躙された。
「可愛いですね……」
ぺろっと私の頬を舐めて、目を細めた。まるでご馳走を目の前にした、野生の狼みたいに。
「ん、ああっ」
頬から耳へと、濡れた舌がスライドして私は未知の快感に声を上げた。あんまりにも、気持ち良かったからだ。心得たように理人さんはそのまま、耳を執拗に何度も舐めた。
気持ち良くて、目が回りそうになる。両側の耳をたっぷり舐め終わる頃には私は息も絶え絶えになって、満足そうに見下ろす理人さんを涙目で少し睨んだ。
「そろそろ食事の時間だから、シャワーを浴びてから降りましょうか」
「ん、はあっ……はあっ。もうっ。やりすぎです」
時計を見て時間を確認して軽く頬にキスをしてから、理人さんは笑った。
「本番は、もっともっと気持ち良くなりますからね。楽しみにしてください」
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