32 / 151
第一部
032 練習そのさん
しおりを挟む
「えっと……その、まだ終わってなくて……」
「知ってます」
「え? 知ってる?」
「……すみません。不躾でした。僕は血の匂いが、わかるもので」
「あ、そ……そうですよね。そういう意味ですよね。鼻が良いから……ビックリしました」
恥ずかしくて顔を俯けた私を、何気なく横抱きに抱き上げるとベッドへと向かって歩いた。ぽふっと私を柔らかなベッドに落とすと、理人さんはジャケットを脱いでネクタイを外した。
シャツのボタンを二番目まで外すと、彼は私の隣に腰掛けた。
「どっちにします?」
「……どっち?」
「僕と透子さんがどっちが、上半身の服を脱ぐかです」
私は選びにくい二択を前に、思わず喉を鳴らした。
「……どっちか、なんですね」
「どっちもにします? でもそうすると……そういうことに慣れていない僕が途中で止まれるかが、自分でもわからないので。あんまりお勧めはしませんが」
理人さんは無表情のまま、とんでもないことをさらっと口にした。
「……選べません」
「じゃあ、僕が選んで良いですか?」
「……良いですよ」
「透子さんが、脱いでみてください。今度は僕が、気持ちよくしてあげたいです」
私は彼の真っ直ぐな視線と彫像のような綺麗な顔を見ていられなくて、目を伏せて頷いた。
今着ているラベンダー色の緩いニットを、ゆっくりと脱いだ。女性が大事にされるこっちの世界の下着は、高級なものが多いみたいでやたらとレースがついている。
別に期待してこれを着た訳じゃないけど、なんだか恥ずかしく思えて、胸の前で手を当てた。
「……綺麗だ」
「ありがとう……ございます?」
「触っても良いですか?」
「う、はい」
ゆっくりとして、理人さんの大きな白い手が近づく。左胸を掬い上げるように触れると、彼は溜め息をついた。
「癖になりそうな、柔らかさですね。下着も……外しても良いですか?」
私は彼の甘えるような声音に負けて、自ら下着を外した。ふるっと冷たい空気に触れて、少し震える。
「その、いちいち聞かれてしまうと、恥ずかしいので……理人さんの好きにして貰って、大丈夫です」
彼の顔をやっぱり見れずに、顔を俯けて言うと耳元で囁かれた。
「そんなこと言ったら、危険ですね。止まらなくなる」
理人さんは、丁寧に胸の先を触った。さわさわとして擦ったり、興味深そうに弄ったりする。私はその間、変な声が出そうでぐっと我慢しながら耐えてた。
「ここって……気持ち良いですか?」
「はい」
「舐めても?」
「も、理人さん……聞かないで」
ふわっと後ろに優しく押し倒されて、大きくて熱い舌が乳首を舐めた。ペロペロと舌を動かしてじゅっと吸ったり、初めての快感に大きな声が出そうになるのを、慌てて口を手で抑える。
「声を我慢しないで」
彼は興奮しているのか、少し掠れた声で言った。その間も、胸を舐めたり指で摘んで弄ったり軽く噛み付いたりしてる。
「ん……理人さん、気持ちい……」
「もう聞かないんで。自分で何をして欲しいか、教えてくださいね」
私は一瞬止まった後、薄いグレーの瞳を見つめて言った。
「キスして欲しいです……」
間髪入れずに、言われた通りにキスをしてくれる。ちゅ、ちゅっと軽くキスをすると、少し開いていた私の唇を割るようにして舌を差し込んできた。くちゅくちゅと舌を吸ったり、歯列をなぞったり、口蓋を舐めたり……とにかく私の口の中を蹂躙された。
「可愛いですね……」
ぺろっと私の頬を舐めて、目を細めた。まるでご馳走を目の前にした、野生の狼みたいに。
「ん、ああっ」
頬から耳へと、濡れた舌がスライドして私は未知の快感に声を上げた。あんまりにも、気持ち良かったからだ。心得たように理人さんはそのまま、耳を執拗に何度も舐めた。
気持ち良くて、目が回りそうになる。両側の耳をたっぷり舐め終わる頃には私は息も絶え絶えになって、満足そうに見下ろす理人さんを涙目で少し睨んだ。
「そろそろ食事の時間だから、シャワーを浴びてから降りましょうか」
「ん、はあっ……はあっ。もうっ。やりすぎです」
時計を見て時間を確認して軽く頬にキスをしてから、理人さんは笑った。
「本番は、もっともっと気持ち良くなりますからね。楽しみにしてください」
「知ってます」
「え? 知ってる?」
「……すみません。不躾でした。僕は血の匂いが、わかるもので」
「あ、そ……そうですよね。そういう意味ですよね。鼻が良いから……ビックリしました」
恥ずかしくて顔を俯けた私を、何気なく横抱きに抱き上げるとベッドへと向かって歩いた。ぽふっと私を柔らかなベッドに落とすと、理人さんはジャケットを脱いでネクタイを外した。
シャツのボタンを二番目まで外すと、彼は私の隣に腰掛けた。
「どっちにします?」
「……どっち?」
「僕と透子さんがどっちが、上半身の服を脱ぐかです」
私は選びにくい二択を前に、思わず喉を鳴らした。
「……どっちか、なんですね」
「どっちもにします? でもそうすると……そういうことに慣れていない僕が途中で止まれるかが、自分でもわからないので。あんまりお勧めはしませんが」
理人さんは無表情のまま、とんでもないことをさらっと口にした。
「……選べません」
「じゃあ、僕が選んで良いですか?」
「……良いですよ」
「透子さんが、脱いでみてください。今度は僕が、気持ちよくしてあげたいです」
私は彼の真っ直ぐな視線と彫像のような綺麗な顔を見ていられなくて、目を伏せて頷いた。
今着ているラベンダー色の緩いニットを、ゆっくりと脱いだ。女性が大事にされるこっちの世界の下着は、高級なものが多いみたいでやたらとレースがついている。
別に期待してこれを着た訳じゃないけど、なんだか恥ずかしく思えて、胸の前で手を当てた。
「……綺麗だ」
「ありがとう……ございます?」
「触っても良いですか?」
「う、はい」
ゆっくりとして、理人さんの大きな白い手が近づく。左胸を掬い上げるように触れると、彼は溜め息をついた。
「癖になりそうな、柔らかさですね。下着も……外しても良いですか?」
私は彼の甘えるような声音に負けて、自ら下着を外した。ふるっと冷たい空気に触れて、少し震える。
「その、いちいち聞かれてしまうと、恥ずかしいので……理人さんの好きにして貰って、大丈夫です」
彼の顔をやっぱり見れずに、顔を俯けて言うと耳元で囁かれた。
「そんなこと言ったら、危険ですね。止まらなくなる」
理人さんは、丁寧に胸の先を触った。さわさわとして擦ったり、興味深そうに弄ったりする。私はその間、変な声が出そうでぐっと我慢しながら耐えてた。
「ここって……気持ち良いですか?」
「はい」
「舐めても?」
「も、理人さん……聞かないで」
ふわっと後ろに優しく押し倒されて、大きくて熱い舌が乳首を舐めた。ペロペロと舌を動かしてじゅっと吸ったり、初めての快感に大きな声が出そうになるのを、慌てて口を手で抑える。
「声を我慢しないで」
彼は興奮しているのか、少し掠れた声で言った。その間も、胸を舐めたり指で摘んで弄ったり軽く噛み付いたりしてる。
「ん……理人さん、気持ちい……」
「もう聞かないんで。自分で何をして欲しいか、教えてくださいね」
私は一瞬止まった後、薄いグレーの瞳を見つめて言った。
「キスして欲しいです……」
間髪入れずに、言われた通りにキスをしてくれる。ちゅ、ちゅっと軽くキスをすると、少し開いていた私の唇を割るようにして舌を差し込んできた。くちゅくちゅと舌を吸ったり、歯列をなぞったり、口蓋を舐めたり……とにかく私の口の中を蹂躙された。
「可愛いですね……」
ぺろっと私の頬を舐めて、目を細めた。まるでご馳走を目の前にした、野生の狼みたいに。
「ん、ああっ」
頬から耳へと、濡れた舌がスライドして私は未知の快感に声を上げた。あんまりにも、気持ち良かったからだ。心得たように理人さんはそのまま、耳を執拗に何度も舐めた。
気持ち良くて、目が回りそうになる。両側の耳をたっぷり舐め終わる頃には私は息も絶え絶えになって、満足そうに見下ろす理人さんを涙目で少し睨んだ。
「そろそろ食事の時間だから、シャワーを浴びてから降りましょうか」
「ん、はあっ……はあっ。もうっ。やりすぎです」
時計を見て時間を確認して軽く頬にキスをしてから、理人さんは笑った。
「本番は、もっともっと気持ち良くなりますからね。楽しみにしてください」
40
お気に入りに追加
1,903
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

目が覚めたら男女比がおかしくなっていた
いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。
一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!?
「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」
#####
r15は保険です。
2024年12月12日
私生活に余裕が出たため、投稿再開します。
それにあたって一部を再編集します。
設定や話の流れに変更はありません。
囚われの姫〜異世界でヴァンパイアたちに溺愛されて〜
月嶋ゆのん
恋愛
志木 茉莉愛(しき まりあ)は図書館で司書として働いている二十七歳。
ある日の帰り道、見慣れない建物を見かけた茉莉愛は導かれるように店内へ。
そこは雑貨屋のようで、様々な雑貨が所狭しと並んでいる中、見つけた小さいオルゴールが気になり、音色を聞こうとゼンマイを回し音を鳴らすと、突然強い揺れが起き、驚いた茉莉愛は手にしていたオルゴールを落としてしまう。
すると、辺り一面白い光に包まれ、眩しさで目を瞑った茉莉愛はそのまま意識を失った。
茉莉愛が目覚めると森の中で、酷く困惑する。
そこへ現れたのは三人の青年だった。
行くあてのない茉莉愛は彼らに促されるまま森を抜け彼らの住む屋敷へやって来て詳しい話を聞くと、ここは自分が住んでいた世界とは別世界だという事を知る事になる。
そして、暫く屋敷で世話になる事になった茉莉愛だが、そこでさらなる事実を知る事になる。
――助けてくれた青年たちは皆、人間ではなくヴァンパイアだったのだ。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる