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第一部
025 味付け
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舌を這わせようと首元を舐めると、ぴちゃっと生々しい音がして私は少し恥ずかしくなってしまって一回やめた。
口の中は薄い塩味がして、それを美味しいと思ってしまうのは、私が彼のことを好ましく思っているからだろうか。
「どうかしました?」
優しい声音で理人さんが、動きを止めた私に尋ねる。
「いえ。なんだか、無性に恥ずかしくなって」
また見上げたら、そのままぎゅっと強めに抱きしめられた。
「透子さんは、本当に可愛いですね」
理人さんの声が本当に愛おしそうだったので、そんなことが初めての私はちょっと鼻がむずむずしてしまった。
「からかわないでください」
「からかっているように、見えますか?」
「……やっぱり練習やめます」
彼から離れようとした私を、彼はもう一度抱きしめた。
「どうしてですか?」
「理人さんは、怪我してるし」
「痛みも引いてきたし、もう平気です」
「雨の中帰って来て、このままだと風邪を引くかもしれないし」
「……透子さんが温めてくれれば、平気です」
「もう……言い訳が、見つかりません」
拗ねた表情になった私に、理人さんはふふっと笑うとまた軽くキスをする。
「僕が、逆にしても良いですよ。透子さんの体中にキスをして、舐めて、気持ち良くしてあげたいです」
「うう……」
その光景を想像してしまって、私は思わず唸ってしまった。
「どうしたんですか?」
「ダメです。今日は……私がします」
私はその時多分、涙目になっていたんだと思う。理人さんが、瞼にまたキスをくれたから。
理人さんの体を彼の後ろの大きなクッションに押し当てるようにすると、私は前屈みになって首元からキスを繰り返した。
何よりも大切なものを愛でるように、この前に言ってくれた彼の気持ちに応えるように。
私たちの周りにあるのは、ちゅちゅというリップ音と、たまに身体をなぞるように舐めるちいさな水音。理人さんの少しの溜め息だけ。それを包むのは少し早いけど入れた、部屋を暖めるための空調の駆動音。
「……そこは、良いですよ」
私は彼のズボンに手をかけて止まった。スウェットはウエストがゴムなので、すぐにでも下ろせてしまえそう。
「ん、でも……」
ちらっと見ると既に大きく、なってる。
「これは、まだダメです。今回は練習だから使いません」
理人さんはくすっと笑いながら、私の腰を持って引き上げる。
「それよりシャワーを浴びてきてください。僕はここで待ってますね」
「あの……何か食べます? 春くんに言って、用意して来ますね」
そういえば途中になっていたあの豪華な夕食は、まだ食卓に並んでいるはずだ。
「いえ。僕はもう食べてきたので。透子さんは、お腹空いてませんか?」
「大丈夫です。少し待っててくださいね」
私は慌てて彼の部屋の奥にある、シャワールームへと向かった。鏡を見ると頬は真っ赤だし、目は恥ずかしいくらい潤んでいるし。
私が理人さんのこと好きになって来ているのなんて、彼には何も言わなくてもこれを見れば一目瞭然にわかっているんだろうな。
「お待たせしました」
私がシャワーと色々を終わらせてベッドに近づいた。聞こえてくるのは規則正しい寝息。そっと近づくと横たわって寝ているみたいだった。
目を開けていれば信じられないくらいに美形な理人さんだけど、寝てしまっているとちょっと幼くて、それがとっても可愛い。
今日は色々あって、疲れちゃったんだろうな。
シャワーしている間、練習の続きをって言われたらどうしようって悶えていたのが凄く恥ずかしい。
「おやすみなさい」
私はちゅっと頬に軽いキスをすると、灯りを消して彼の隣に潜り込んだ。
口の中は薄い塩味がして、それを美味しいと思ってしまうのは、私が彼のことを好ましく思っているからだろうか。
「どうかしました?」
優しい声音で理人さんが、動きを止めた私に尋ねる。
「いえ。なんだか、無性に恥ずかしくなって」
また見上げたら、そのままぎゅっと強めに抱きしめられた。
「透子さんは、本当に可愛いですね」
理人さんの声が本当に愛おしそうだったので、そんなことが初めての私はちょっと鼻がむずむずしてしまった。
「からかわないでください」
「からかっているように、見えますか?」
「……やっぱり練習やめます」
彼から離れようとした私を、彼はもう一度抱きしめた。
「どうしてですか?」
「理人さんは、怪我してるし」
「痛みも引いてきたし、もう平気です」
「雨の中帰って来て、このままだと風邪を引くかもしれないし」
「……透子さんが温めてくれれば、平気です」
「もう……言い訳が、見つかりません」
拗ねた表情になった私に、理人さんはふふっと笑うとまた軽くキスをする。
「僕が、逆にしても良いですよ。透子さんの体中にキスをして、舐めて、気持ち良くしてあげたいです」
「うう……」
その光景を想像してしまって、私は思わず唸ってしまった。
「どうしたんですか?」
「ダメです。今日は……私がします」
私はその時多分、涙目になっていたんだと思う。理人さんが、瞼にまたキスをくれたから。
理人さんの体を彼の後ろの大きなクッションに押し当てるようにすると、私は前屈みになって首元からキスを繰り返した。
何よりも大切なものを愛でるように、この前に言ってくれた彼の気持ちに応えるように。
私たちの周りにあるのは、ちゅちゅというリップ音と、たまに身体をなぞるように舐めるちいさな水音。理人さんの少しの溜め息だけ。それを包むのは少し早いけど入れた、部屋を暖めるための空調の駆動音。
「……そこは、良いですよ」
私は彼のズボンに手をかけて止まった。スウェットはウエストがゴムなので、すぐにでも下ろせてしまえそう。
「ん、でも……」
ちらっと見ると既に大きく、なってる。
「これは、まだダメです。今回は練習だから使いません」
理人さんはくすっと笑いながら、私の腰を持って引き上げる。
「それよりシャワーを浴びてきてください。僕はここで待ってますね」
「あの……何か食べます? 春くんに言って、用意して来ますね」
そういえば途中になっていたあの豪華な夕食は、まだ食卓に並んでいるはずだ。
「いえ。僕はもう食べてきたので。透子さんは、お腹空いてませんか?」
「大丈夫です。少し待っててくださいね」
私は慌てて彼の部屋の奥にある、シャワールームへと向かった。鏡を見ると頬は真っ赤だし、目は恥ずかしいくらい潤んでいるし。
私が理人さんのこと好きになって来ているのなんて、彼には何も言わなくてもこれを見れば一目瞭然にわかっているんだろうな。
「お待たせしました」
私がシャワーと色々を終わらせてベッドに近づいた。聞こえてくるのは規則正しい寝息。そっと近づくと横たわって寝ているみたいだった。
目を開けていれば信じられないくらいに美形な理人さんだけど、寝てしまっているとちょっと幼くて、それがとっても可愛い。
今日は色々あって、疲れちゃったんだろうな。
シャワーしている間、練習の続きをって言われたらどうしようって悶えていたのが凄く恥ずかしい。
「おやすみなさい」
私はちゅっと頬に軽いキスをすると、灯りを消して彼の隣に潜り込んだ。
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