(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

待鳥園子

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48 攻撃①

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 そして、私はエルネストから渡された、あの四角い小箱に入っていた指輪の事を思い出した。

 彼から渡されて咄嗟にポケットの入れたそれは、強い魔力を持つエルネスト曰く、守護の力を感じるという指輪。

 不思議なことに、アクィラ魔法学園を象徴するような鷲が刻まれていた。その時に閃いたのは、双月草を

「……何だろう。確かに、何か不思議な気配がする……」

 私がそれを薬指に嵌めると、何かが起こるような気はしていたけど……気がしただけだった。何も起こらない。なんとなくの期待感だけで、何もなかった。

 なんなの……私の予感って、当たらないの?

「ロゼッタ先輩……試合が、始まりますよ!」

 単に指輪を嵌めただけに終わった私は、フローラに声を掛けられて、いよいよ始まった魔法対抗戦に目を向けた。

 魔法学園対抗戦、アクィラ対ファルコの戦いは、初戦からだ。

 兄サザールは緑魔法の使い手なので、風を操る。こちらを見上げて、何か意味ありげに微笑んだ時から、嫌な予感がしていた。

 この予感こそ、当たらないでよ……!

 私たちは通常の客席ではなく、これから戦う彼らの近くにある関係者席に居たので、きっとあの兄はこう思ったのだろう。

 最近、生意気で気に入らない妹を脅かすには、これは絶好の機会だと。

 全員が揃い始まったと思った瞬間に、風が唸る音がした。空気を刃物で切り裂くような音がして、アクィラの面々も反応が難しかったと思う。

 だって、その攻撃は彼らではなく、関係者席に居た私たちに向けられていたからだ。

 私の身体は勝手に、隣に居たフローラを庇っていた。

 フローラはこの世界にとって必要な存在だし、リッチ先生の企みに対しても彼女さえ居れば何とかなる可能性はあった。

 私が使うことの出来る魔法は、赤魔法でほぼ攻撃魔法。

 誰かを守るような結界を張る能力はなくて、この子を守るには……この、身体を張るしか。

「……オスカー!」

 目を瞑って迫り来る攻撃を覚悟していた私の耳に届いたのは、エルネストがオスカーを呼んだ大きな声だった。
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