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34 これがヒロイン②
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恋は早い物勝ちだから、ルークを好きになったフローラを決して否定はしない。
なんでも、入学してすぐに庭園で迷っていたフローラをルークが道案内して助けてくれたらしい。
……そういえば、フローラは方向音痴でドジっ子キャラだった……ゲーム内だったら、それを各攻略対象が助けてあげるはずなんだけど。
それに、フローラは親しい人には恋愛事情を明け透けに話す方らしくて、私を手を引いて連れて行き『あれが、ルークさんです!』と教えてくれるところからはじまり、ルークとの間に何があったかをやたらと話してくれるようになった。
フローラが恋をしている様子は可愛いし、私はそれについて何の文句もないけど……うん。すぐそこに居る攻略対象者たちは、攻略しないのね。
「そうなの……良かったわね。きっと、ルークもフローラのことを気に入ってくれていると思うわ」
それは絶対に間違いないと思う。私がもし男でルークだったとしたら、フローラに迫られたらデレッと顔がとろけて戻らないという自信しかない。
「そうですかね? そろそろ夏休みだし、このままルークさんに会えなくなるよりは……早々に告白した方が良いのかなと思うんです」
そろそろ期末テストで、それが終わったら長い夏休み。
けど、生徒会だけは、交流を深めるためにと、夏休みの特別合宿イベントもあるのよね。謎。ゲーム上の設定だから、仕方ないけど。
それに、好感度を上げるためにはかなり早い段階で好意があることを知らせるけれど、フローラ展開が早すぎだわ。
「ねえ。少し落ち着いて。フローラ……あまり、急がない方が良いわよ。ゆっくり二人の仲を深めることを考えた方が良いわ」
恋愛もしたことのない耳年増の私がそう忠告すると、フローラは何度か頷いて微笑んだ。
「そうですよね。いつもアドバイスしてくださって、ありがとうございます! ロゼッタ先輩、夏合宿の買い物ってもう済ませましたか?」
「ううん……まだだけど」
そろそろ買いに行かなきゃとは思っていた私は、フローラの問いかけに首を横に振った。
「私と今日の放課後に一緒に買いに行きましょうよ!」
「え? 別に構わないけど……」
期末テスト終わりに、すぐに南の島の合宿所に移動するので、それまでにあまり時間もない。
念のために他の男性三人に確認したけど、私たちと一緒に買い物行こうと思う人も居ないようだった。
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……そういえば、フローラは方向音痴でドジっ子キャラだった……ゲーム内だったら、それを各攻略対象が助けてあげるはずなんだけど。
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「そうなの……良かったわね。きっと、ルークもフローラのことを気に入ってくれていると思うわ」
それは絶対に間違いないと思う。私がもし男でルークだったとしたら、フローラに迫られたらデレッと顔がとろけて戻らないという自信しかない。
「そうですかね? そろそろ夏休みだし、このままルークさんに会えなくなるよりは……早々に告白した方が良いのかなと思うんです」
そろそろ期末テストで、それが終わったら長い夏休み。
けど、生徒会だけは、交流を深めるためにと、夏休みの特別合宿イベントもあるのよね。謎。ゲーム上の設定だから、仕方ないけど。
それに、好感度を上げるためにはかなり早い段階で好意があることを知らせるけれど、フローラ展開が早すぎだわ。
「ねえ。少し落ち着いて。フローラ……あまり、急がない方が良いわよ。ゆっくり二人の仲を深めることを考えた方が良いわ」
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「そうですよね。いつもアドバイスしてくださって、ありがとうございます! ロゼッタ先輩、夏合宿の買い物ってもう済ませましたか?」
「ううん……まだだけど」
そろそろ買いに行かなきゃとは思っていた私は、フローラの問いかけに首を横に振った。
「私と今日の放課後に一緒に買いに行きましょうよ!」
「え? 別に構わないけど……」
期末テスト終わりに、すぐに南の島の合宿所に移動するので、それまでにあまり時間もない。
念のために他の男性三人に確認したけど、私たちと一緒に買い物行こうと思う人も居ないようだった。
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