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26 まさかの助け①
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嘘でしょう。
誰かに尾けられる可能性なんて、全く考えもしなかった私は、自分の迂闊さと間抜けさ加減が本当に嫌になった。
人気のない森の中とは言え、寮のように出入りが禁止された場所でもない。誰かは居るかもしれないよね。
そんなことも思いつかないくらいに、平和ボケしていて警戒心が低すぎてしまった。
「いや、可愛いお嬢ちゃんが、こんな夜中に何処に行くんだと思って、単に心配で着いて来たんだよ……そんなにも、警戒した顔はしないで……お宝は、目の前だ」
その猫なで声を、信じる人なんて居ないわよ。
「……大声、出すわよ。それに、ここで魔法警察を呼んでも良いから……」
私は空中から喚びだした杖を持って、空へと高く掲げた。
信号弾の魔法は緊急の場合、魔法警察に、すぐに通報するような信号弾を打ち上げることだって出来る。
この高原はアクィラ魔法学園の敷地内でもあるから、緊急事態の信号弾。
それを見れば先生たちだって、すぐに気がついて、18歳にならないと乗れない箒で空を飛びここまで来てくれるはずだ。
「……良いのか? もし、それをすれば双月草は、手に入らないぞ! それより、俺と山分けをしないか? お嬢ちゃんには……何もしないさ。双月草を、二人で分け合うだけで良い」
きっと、これは嘘だろうと思うのに、私の心はゆらゆらと揺れた。
確かに、双月草は手に入れたい……けど、ここで手に入らないと、また一年待つことになってしまうし……学園の敷地内のことだからと、助けに来てくれた先生たちに取られてしまわないとも限らない。
どうしようと思い悩んで顔を歪めた瞬間、彼の下半身が瞬く間に凍り付いて、私は驚いて目を瞬いた。
「……え」
今はもう氷柱の中に閉じ込められているような男性は、ぴくりとも動かない。
し……死んでないよね? 仮死状態なのかな?
「……おいおい。ロゼッタ・ディリンジャー。あんな下賤な男の世迷言を、そのまま信じようとするのか。世間知らずのお嬢様で、お育ちが良いのも考えものだ」
聞き覚えのある呆れた声を聞いて、私は驚きつつ声の主が居る方向を見た。
誰かに尾けられる可能性なんて、全く考えもしなかった私は、自分の迂闊さと間抜けさ加減が本当に嫌になった。
人気のない森の中とは言え、寮のように出入りが禁止された場所でもない。誰かは居るかもしれないよね。
そんなことも思いつかないくらいに、平和ボケしていて警戒心が低すぎてしまった。
「いや、可愛いお嬢ちゃんが、こんな夜中に何処に行くんだと思って、単に心配で着いて来たんだよ……そんなにも、警戒した顔はしないで……お宝は、目の前だ」
その猫なで声を、信じる人なんて居ないわよ。
「……大声、出すわよ。それに、ここで魔法警察を呼んでも良いから……」
私は空中から喚びだした杖を持って、空へと高く掲げた。
信号弾の魔法は緊急の場合、魔法警察に、すぐに通報するような信号弾を打ち上げることだって出来る。
この高原はアクィラ魔法学園の敷地内でもあるから、緊急事態の信号弾。
それを見れば先生たちだって、すぐに気がついて、18歳にならないと乗れない箒で空を飛びここまで来てくれるはずだ。
「……良いのか? もし、それをすれば双月草は、手に入らないぞ! それより、俺と山分けをしないか? お嬢ちゃんには……何もしないさ。双月草を、二人で分け合うだけで良い」
きっと、これは嘘だろうと思うのに、私の心はゆらゆらと揺れた。
確かに、双月草は手に入れたい……けど、ここで手に入らないと、また一年待つことになってしまうし……学園の敷地内のことだからと、助けに来てくれた先生たちに取られてしまわないとも限らない。
どうしようと思い悩んで顔を歪めた瞬間、彼の下半身が瞬く間に凍り付いて、私は驚いて目を瞬いた。
「……え」
今はもう氷柱の中に閉じ込められているような男性は、ぴくりとも動かない。
し……死んでないよね? 仮死状態なのかな?
「……おいおい。ロゼッタ・ディリンジャー。あんな下賤な男の世迷言を、そのまま信じようとするのか。世間知らずのお嬢様で、お育ちが良いのも考えものだ」
聞き覚えのある呆れた声を聞いて、私は驚きつつ声の主が居る方向を見た。
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