(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

待鳥園子

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14 最後の希望①

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 とにかく、一度魔法界を救うと決めたからには、身近で出来ることから、始めてみるべきなのよね。

 ヒロインフローラに協力を仰ぐことについては、別に後回しで良いと思う。素直で優しくて、ヒロインらしい性格ののフローラは、私が困っていると相談すれば、きっと協力してくれると思うし。

 一番の懸念点というか……問題なのは、肝心な時に彼女を守ってくれる力を持つ攻略対象者たちだ。

 あの三人以外にも、闇魔法の宝石を浄化するフローラを守り切ることの出来る魔法使いは、もしかしたら存在して居るかもしれない。

 けれど、ゲーム内でフローラを守り抜いた実績がある(?)という点では、信頼のおける攻略対象者たちに助力を求める方が、世界を救う絶対に負けられない戦いにおいて失敗する確率は低いと思う。

 だから、エルネスト含めた彼ら三人と出来るだけ交流を深め、協力を得られるようにしておく必要があった。

 とは言え、悪役令嬢である私ロゼッタは攻略対象者の一人エルネストには、すっかり嫌われてしまっている。

 けど……彼の元に通わなくなって、少し時間を置いたから、もしかしたら態度が少しは軟化しているかもしれない。

「あっ……エルネスト殿下。おはようございます」

「……おはよう。だが、以前に俺に近づくなと言ったはずだ。ロゼッタ」

 久しぶりに話しかけた私の髪型が変わっていることに気がつかなかったのか、エルネストは驚いたように軽く目を見開いていた。

 けど、どんなに冷たい対応になったとしてもエルネストはロゼッタを居ないものとして無視しないし、挨拶だけは返してくれるんだよね。

 魔法界の第二王子という複雑な立場でもあるけど、エルネストはメインヒーローらしく、真面目で優しく良い人なのだ。

「ごめんなさい……」

 顔を俯かせ、素直に謝った私が意外だったのかもしれない。エルネストはまた驚いた様子で振り返ったけど、そこで声も掛ける事なく去ってしまった。

 はあっ……駄目。これだと、とりつく島もない。エルネストは可能性ゼロだし諦めよう。

 ……次!! 次はオスカーよ!!

 本来の私であれば、自分を嫌っている事を隠しもしないエルネストに話しかけることは、絶対に避けたかったと思う。

 けど、今の私なら、頑張れる。

 むしろ、女性には紳士的な性格のエルネストに、ロゼッタは良くここまで嫌われたものだと思う。

 男性の意向を完全無視して、自分勝手なドリーム妄想をたびたび披露していたら、こうなってしまでしょうという悪い見本として、恋愛の教科書に載っても良いと思う。

 別に今の私が望んでしたことでもないけど、周囲から見れば私っていうか、ロゼッタがやったことになっている訳で……やめてやめて。

 あんな……好きな人の意志を完全無視で自分勝手な行動をしてたなんて、本当に考えたくない。

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