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44 無責任②
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獅子獣人には他の獣人たちもそうだろうけど、彼ら固有のルールがあるようだ。
「俺たち獅子獣人は、結婚すれば女性が日々の生活は賄うことが多い。だから、食わせて貰う立場の男が、女性とした約束を違えるって。俺たちにとっては、とても良くないことで……あの時……あの女の子。つまり、姫から、必ず会いに来るって言われてたし。そっちの気持ちが変わらなければ考えるって、俺もあの時に答えちゃってたんで」
デュークは、なんとも例え難い難しい表情をしていた。
————-何かを悔いている? それとも、何かを怒ってる?
「え。嘘……あんな……なんでもない約束を、守ってくれてたの?」
私は彼の言葉を聞いて、驚きしかなかった。
人の常識からすれば、あんなちょっとした約束なんて破ってしまっても仕方ない。だって、私たち顔を合わせたのも、ほんの少しの時間だったし。あの時点では知り合いっていうのも、危うい範囲だ。
「だから、この前から姫に助けたって言われて、もしかしてって気がついた。俺が長い間待っていた女の子は、もう既に毎日俺に会いに来ていた。自分の間抜けさ具合に、本当にうんざりしてる……」
デュークはそのことを後悔しているようだと、私はほっと息をついた。色々と条件が重なって、お互いに誤解が会ったことは仕方ない。
だって、知らなかった事実が多過ぎる。
「まあ……そうだったの。けど、私がもっと早くデュークに言えば……誤解は、すぐに解けていたわね……」
デュークは逃さないと言わんばかりだった両手を私の肩から離すと、人差し指で頬をなぞるようにして言った。
「……俺の方も打ち明け話をすると、姫が俺をお気に入りだと示すことで、新入りなのに思わぬ抜擢された俺を、良く思わない上司の嫌がらせから助けようとしていたことは……もう、知ってる」
今日は色々と驚くことばかりで、心の整理が追いつかない。
「デュークは……もう知ってたの?」
「ほんとーっに間抜けだけど。つい最近、気が付いた。あんな風に、ただ好き好き言っているだけの、傍若無人なお姫様だと思ってたら。俺の事、姫が守ってくれてた。ありがとうございます。アリエル様」
片方の手は私の頬に触れ、もう片方は私の長い髪の上にあった。じゃれるように触る指がくすぐったくて、私は思わず目を細めた。
「ふふ。良いのよ。だって、私はデュークのことが好きで……私が勝手に、やったことだもの」
「そう……じゃあ、もう良い?」
デュークは、とても良い笑顔で私に尋ねた。
「え?」
「これは……もう流石に我慢は、出来ない」
何を言いたいのかと戸惑ったままの私は彼の唇が自分の唇に触れたのを、何秒か遅れて気がついた。
「俺たち獅子獣人は、結婚すれば女性が日々の生活は賄うことが多い。だから、食わせて貰う立場の男が、女性とした約束を違えるって。俺たちにとっては、とても良くないことで……あの時……あの女の子。つまり、姫から、必ず会いに来るって言われてたし。そっちの気持ちが変わらなければ考えるって、俺もあの時に答えちゃってたんで」
デュークは、なんとも例え難い難しい表情をしていた。
————-何かを悔いている? それとも、何かを怒ってる?
「え。嘘……あんな……なんでもない約束を、守ってくれてたの?」
私は彼の言葉を聞いて、驚きしかなかった。
人の常識からすれば、あんなちょっとした約束なんて破ってしまっても仕方ない。だって、私たち顔を合わせたのも、ほんの少しの時間だったし。あの時点では知り合いっていうのも、危うい範囲だ。
「だから、この前から姫に助けたって言われて、もしかしてって気がついた。俺が長い間待っていた女の子は、もう既に毎日俺に会いに来ていた。自分の間抜けさ具合に、本当にうんざりしてる……」
デュークはそのことを後悔しているようだと、私はほっと息をついた。色々と条件が重なって、お互いに誤解が会ったことは仕方ない。
だって、知らなかった事実が多過ぎる。
「まあ……そうだったの。けど、私がもっと早くデュークに言えば……誤解は、すぐに解けていたわね……」
デュークは逃さないと言わんばかりだった両手を私の肩から離すと、人差し指で頬をなぞるようにして言った。
「……俺の方も打ち明け話をすると、姫が俺をお気に入りだと示すことで、新入りなのに思わぬ抜擢された俺を、良く思わない上司の嫌がらせから助けようとしていたことは……もう、知ってる」
今日は色々と驚くことばかりで、心の整理が追いつかない。
「デュークは……もう知ってたの?」
「ほんとーっに間抜けだけど。つい最近、気が付いた。あんな風に、ただ好き好き言っているだけの、傍若無人なお姫様だと思ってたら。俺の事、姫が守ってくれてた。ありがとうございます。アリエル様」
片方の手は私の頬に触れ、もう片方は私の長い髪の上にあった。じゃれるように触る指がくすぐったくて、私は思わず目を細めた。
「ふふ。良いのよ。だって、私はデュークのことが好きで……私が勝手に、やったことだもの」
「そう……じゃあ、もう良い?」
デュークは、とても良い笑顔で私に尋ねた。
「え?」
「これは……もう流石に我慢は、出来ない」
何を言いたいのかと戸惑ったままの私は彼の唇が自分の唇に触れたのを、何秒か遅れて気がついた。
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