上 下
5 / 10

05 イベント

しおりを挟む
「いやあ……じゃあ、お姉さん。ここまで尋ねて来たってことは、シリルに好意を抱いてるってことで良い?」

 敢えて私の意向を確認するような質問する、意味がわからない。

 冒険者ギルドの前で何時間も待ってまで会いたかったのだから、それはそうだろうとわかっているはずなのに?

「……? 私。グウェンって、言います。そうです。もう一度シリルさんに、会えないかなって思ってここで待ってました……」

 そうなのだ。私は、シリルさんに会いたかった。

 良くわからないラッキースケベ何回かとて、彼相手とだったら、私にとってもラッキーな事件だったのだ。というか、シリルさん以外は本当に無理なので、そこは勘違いしないで欲しい。

「あいつ……あの年齢的には信じられないくらい、奥手なんだよね。だから、ツアー案内役として女の子と対面して話すの。かなり、頑張ってたと思う。そうじゃなかった?」

「えっ? 確かに、おかしいくらい顔は赤くなってた……けど、最初は普通で……」

 シリルさんは事務的に洞窟を案内してくれていたけど、最初は至って普通だった。

 けど、洞窟ダンジョンは人工的に作られた訳ではないから、暗いし狭い部分だって存在する。

 ここは危険だからと段差のある場所で手を握ってくれてから、洞窟の中なのに強風を感じてスカートがいきなり捲れたりと、色々とエロなイベントが起こり始めたのだ。

「そうそう! あれはね……女の子と一緒で照れているけど、必死で隠していたんだよ。きっと、心臓が飛び出しそうなくらいに、緊張していたと思うよ……」

「えっ……なに、それ。可愛い」

 私は思わず、ポロッとそう言ってしまった。

 シリルさん。毎食のついでに女食ってますみたいな、あんな顔しているのに……実際のところめちゃくちゃ、可愛いじゃん……。

 思ってもみなかったシリルさんの真実に、私の胸がときめきキュンキュンと高鳴り始めた。

 けど、そうだとすると、シリルさん本人が私との恥ずかしいラッキースケベの数々を自分で仕掛けた訳でもなさそうだった。

「そういうの可愛いって思える子、少ないんだよ……男には、良くわからない余裕を求める子が多いからさー」

 うんうんと頷くお兄さんは、シリルさんのことを良く知っているみたいだ。そして……もしかしたら、私と彼との仲を取り持ってくれるかも!

 ここからは、なんとか彼と会わせてくれる方向性になるように、上手いこと話を運ばなければ……だって、ここまで来て、シリルさんに会えないとか。絶対に、嫌だもん。

「あのっ……シリルさんって、あんなにイケメンでモテそうなのに、女性に免疫ないんですか?」

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【本編完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:8,903pt お気に入り:3,892

女幹部ジャスミンバニーの大迷惑な毎日

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:26

美幼女の女神様を幸せにしたいだけなのに執着されていました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:42

選んでください、聖女様!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:52

あの……殿下。私って、確か女避けのための婚約者でしたよね?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:298pt お気に入り:665

処理中です...