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07 学び ★
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……え。そうして欲しいんでしょ? だから、受け入れたんだけど。
「えっ……ローレン。本当に、それで良いの?」
「うん。良いよ。私、今まで気がつかなかったけど、ギルの事が好きだったみたいなの。普通ならこんな風に情緒も何もなくされちゃったら嫌だと思うんだけど、全然嫌じゃない……だから、凄い好きなのかなって……」
信じられないことにギルと初体験をすることになった私は、大事な事に気がついた。
……自由がある程度利く監禁なら、好意ある同僚なら多分、大丈夫。けど、こんな風に奪われるようにして肉体関係になっても許せるには、相手をかなり好きでないと無理だと思う。
だから、私はギルの事が色々と許せてしまうほどに好きなのだわ。
ようやく、その事に気がついた。私はこのまま別に結婚しても良いのだと。ギル以外なら、絶対に嫌だけど。
「いや……ローレン? これをした俺も嫌われても仕方ないって、覚悟の上でしたことで……逆に心配になるんだけど、全然許せるって、本当?」
ギルは私の話が半信半疑なのか、とても不思議そうだった。
私だって、なんだか不思議な気持ちだ。ギルのしたことは通常ならば、決して許されることのない犯罪行為でもあるかもしれない。
「うん。私、ギルならこうされるのも、全然大丈夫。ギル以外の同僚で想像してみたけど、全然無理だったから、ギルの事が好きだったんだなって」
いつから好きになったかなんて、私にもわからない。多分、ずっと好きだっただからこそ、彼の事を意識しないようにしていたのかもしれない。
自分の恋愛対象者ではないから、何回も何回も繰り返される女性の話を聞いても傷つかないようにしようって……。
「あの、ローレン。落ち着くまで……監禁して良い?」
おそるおそるといった様子で呟いたギルに、私は躊躇なく頷いた。
「うん。良いよ。鎖で繋がれてあげるから、ご飯と掃除と洗濯を全部してくれる? あと、好きな物全部買ってくれるなら」
元々家でのんびり暮らしたい派だし、これまでの長い間の激務には疲れていた。ギルの気持ちが安定するまで、楽に暮らせるならお互いに利にある学びだった。
「……そんなことで良いのなら、もちろんだよ」
気がつかなかったけれど心から好きな人になら突然監禁されても、むしろ嬉しくなってしまう事を私は今後の学びとしたいと思う。
虫刺されをキスマークを勘違いしておかしくなったギルが、これで落ち着くのならまあ良いか……と、監禁生活を受け入れた私は、なんとそのまま退職し、実は由緒正しき貴族だった彼とそのまま悠々自適の生活を送ることになった。
Fin
「えっ……ローレン。本当に、それで良いの?」
「うん。良いよ。私、今まで気がつかなかったけど、ギルの事が好きだったみたいなの。普通ならこんな風に情緒も何もなくされちゃったら嫌だと思うんだけど、全然嫌じゃない……だから、凄い好きなのかなって……」
信じられないことにギルと初体験をすることになった私は、大事な事に気がついた。
……自由がある程度利く監禁なら、好意ある同僚なら多分、大丈夫。けど、こんな風に奪われるようにして肉体関係になっても許せるには、相手をかなり好きでないと無理だと思う。
だから、私はギルの事が色々と許せてしまうほどに好きなのだわ。
ようやく、その事に気がついた。私はこのまま別に結婚しても良いのだと。ギル以外なら、絶対に嫌だけど。
「いや……ローレン? これをした俺も嫌われても仕方ないって、覚悟の上でしたことで……逆に心配になるんだけど、全然許せるって、本当?」
ギルは私の話が半信半疑なのか、とても不思議そうだった。
私だって、なんだか不思議な気持ちだ。ギルのしたことは通常ならば、決して許されることのない犯罪行為でもあるかもしれない。
「うん。私、ギルならこうされるのも、全然大丈夫。ギル以外の同僚で想像してみたけど、全然無理だったから、ギルの事が好きだったんだなって」
いつから好きになったかなんて、私にもわからない。多分、ずっと好きだっただからこそ、彼の事を意識しないようにしていたのかもしれない。
自分の恋愛対象者ではないから、何回も何回も繰り返される女性の話を聞いても傷つかないようにしようって……。
「あの、ローレン。落ち着くまで……監禁して良い?」
おそるおそるといった様子で呟いたギルに、私は躊躇なく頷いた。
「うん。良いよ。鎖で繋がれてあげるから、ご飯と掃除と洗濯を全部してくれる? あと、好きな物全部買ってくれるなら」
元々家でのんびり暮らしたい派だし、これまでの長い間の激務には疲れていた。ギルの気持ちが安定するまで、楽に暮らせるならお互いに利にある学びだった。
「……そんなことで良いのなら、もちろんだよ」
気がつかなかったけれど心から好きな人になら突然監禁されても、むしろ嬉しくなってしまう事を私は今後の学びとしたいと思う。
虫刺されをキスマークを勘違いしておかしくなったギルが、これで落ち着くのならまあ良いか……と、監禁生活を受け入れた私は、なんとそのまま退職し、実は由緒正しき貴族だった彼とそのまま悠々自適の生活を送ることになった。
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