上 下
5 / 7

05 キスマーク★

しおりを挟む
 私は脱衣所で鏡を見て、驚いてしまった。けれど、これが原因なのだから、そうなってしまうことも仕方ないのだろうか……。

 見た事もない……首筋や胸元にかけて、異常な数の鬱血痕。私が眠っている間に、ギルがせっせと付けていたらしい。

 異常な熱量を感じさせてしまう執着……怖いくらいの、キスマークの数。

 これは何度でも言いたいんだけど、ギルでなかったら、これも絶対に嫌だったと思う。けど……別に彼なら良いかなと思ってしまった。

 監禁してこれをしてしまう程に、尋常ではない、私への強い執着。いつも涼しい顔をして大量の仕事をこなすギルが、私のことをこんなにも好きだったなんて。

「ローレン」

 私は服を脱いで浴室の硝子扉を開こうとして呼ばれ、背後を振り返った。

「……ギル……! 何?」

 そこに、ギルの姿が見えて驚いた。私は無防備な裸になっていたしここで彼が脱衣所に入ってくるなんて、思いもしなかったからだ。

「そういえば、忘れていたと思って……」

「え……」

 だんだんと彼が近付いて来る……それなのに、私は抵抗も何もせずに見ていた。

 本来ならばここで悲鳴をあげなければならないと思うのに……それを、せずにただ彼がやって来るのを見ていた。

「ローレン。首にキスマークがあっただろう? それを、塗り替えていない」

 その時、ようやく私はギルの事を怖いと思った。青い目が焦点が合っていない。私を見ているようで、見ていない。

 ……よほど、あの時のことが心の傷として心に残ってしまったのかもしれない。ほんの軽い冗談のつもりだったのに。

「あれはっ……あれは、冗談よ。ギル……私は誰ともそんな事……していないわ」

 ギルは私の近くまで来て、背後から抱きしめると首筋に吸い付いた。

「ああっ……ギルっ……あんっ」

 首筋は太い血管が走り、傷が付けば死んでしまうほどに重要な器官だ。それゆえに刺激に敏感なのか、吸い付いたギルの強い刺激に恐怖しているはずなのに、激しく感じる気持ちよさに私は喘ぎ声をあげた。

「ローレン……冗談なんて、嘘だよね? あんなにまで悩ませておいて?」

 ギルは私を背中から抱きしめて、片手は胸を掴み、もう片方は固く閉じた太ももを割ろうとしていた。これまでは全裸で抱かれているというのに、不思議と性的なものを感じなかった。

 けれど、今ではやたらといやらしい触り方になっていた。閉じた太ももに手が這わされては戻り、拒むように力を入れた私を楽しむようにして、ギルは傍にある耳を噛んだ。

「やっ……ごめんなさいっ……私っ……冗談だったの! あれは、私……ああっ……」

 ギルは私の身体を抱き上げると、浴室へと入り、水を出して身体全体にシャワーを掛けた。そして、抱きしめたままで足の付け根へと集中的に水を掛けた。

 抗えぬ快感に太ももを固く閉じていた力は緩み、力なく彼の長い指を受け入れた。既に濡れていたのか、掛けられた水に反応したのか、くちゅくちゅと立てる水音が響いて、私はギルの指で一度達した。

 くったりと力が抜けてされるがままな私を浴槽のふちに座らせると、彼はシャワーを秘部に当てたままで、胸はまるで揉みほぐすようにして揉まれ、軽く立った胸の先に彼は吸い付いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【R18】伯爵夫人の務めだと、甘い夜に堕とされています。

水樹風
恋愛
 とある事情から、近衛騎士団々長レイナート・ワーリン伯爵の後妻となったエルシャ。  十六歳年上の彼とは形だけの夫婦のはずだった。それでも『家族』として大切にしてもらい、伯爵家の女主人として役目を果たしていた彼女。  だが結婚三年目。ワーリン伯爵家を揺るがす事件が起こる。そして……。  白い結婚をしたはずのエルシャは、伯爵夫人として一番大事な役目を果たさなければならなくなったのだ。 「エルシャ、いいかい?」 「はい、レイ様……」  それは堪らなく、甘い夜──。 * 世界観はあくまで創作です。 * 全12話

クソつよ性欲隠して結婚したら草食系旦那が巨根で絶倫だった

山吹花月
恋愛
『穢れを知らぬ清廉な乙女』と『王子系聖人君子』 色欲とは無縁と思われている夫婦は互いに欲望を隠していた。 ◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

【R18】わたくしは殿下が本能のまま心ゆくまで、わたくしの胸を吸っている姿が見たいだけなのです

瀬月 ゆな
恋愛
王国でも屈指の魔草薬の調合師を多数輩出して来たハーヴリスト侯爵家に生まれたレティーナにはたった一つの、けれど強い願望があった。 多忙を極める若き美貌の王太子ルーファスを癒してあげたい。 そこで天啓のように閃いたのが、幼かった頃を思い出してもらうこと――母子の愛情に満ちた行為、授乳をされたらきっと癒されるのではないか。 そんな思いから学園を卒業する時に「胸を吸って欲しい」と懇願するも、すげなくあしらわれてしまう。 さらに失敗続きの結果、とっておきの魔草薬を栄養剤だと騙して飲ませたものの、ルーファスの様子が豹変して……!? 全7話で完結の、ゆるゆるふわふわラブコメです。 ムーンライトノベルズ様でも公開しています。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

【R18】無愛想な騎士団長様はとても可愛い

みちょこ
恋愛
侯爵令嬢であるエルヴィールの夫となったスコール・フォークナーは冷酷無情な人間と世間で囁かれていた。 結婚生活も始まってから数ヶ月にも満たなかったが、夫の態度は無愛想そのもの。普段は寝室すら別々で、月に一度の夜の営みも実に淡白なものだった。 愛情の欠片も感じられない夫の振る舞いに、エルヴィールは不満を抱いていたが、とある日の嵐の夜、一人で眠っていたエルヴィールのベッドにスコールが潜り込み── ※ムーンライトノベルズ様でも投稿中

【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。 *R18は告知無しです。 *複数プレイ有り。 *逆ハー *倫理感緩めです。 *作者の都合の良いように作っています。

処理中です...