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08 離さない
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私たちは城からナザイレの邸へと移動し、数時間前まで地下牢に居たことが嘘のようだった。
流石は、権勢を誇るアレイスター公爵家で豪華で広い邸には、数えれない程の使用人たちが居た。
「彼には、何も……言えないままでしたね」
私はこくりと頷いた。操られていたチャールズが哀れに思えてしまって、同情しそうになったけれど、彼が私に婚約破棄を宣言したのは間違いないことだった。
それに、ミゼルに対する彼の姿を思い出せば、何もなかったかのように夫婦として愛せるかと言われればそれは出来ない。
だから、そういう意味では、何も言わないままで良かったんだわ。
これから使用する部屋にと用意してくれた部屋に入り、使用人を遠ざけるとナザイレは私のことを抱きしめた。
それを驚きはしたけれど、別に嫌ではなかった。
ナザイレは処刑される寸前の私を助けてくれたし、魅力的な男性で嫌がる要素はなかった。
きっとすぐに好きになって、幸せな結婚生活を過ごせるんだと確信してしまえるくらい。
「……ヴィクトリアと話せなくなって、ずっと寂しかったので、あの時に地下牢に行って良かった。あれを知らないままで、何も出来ずに終わるところだった」
「ナザイレ……」
美しい金色の目は間近で、私は反射的に目を閉じた。
「愛しています。ヴィクトリア……もう二度と君を、誰にも渡しません」
流石は、権勢を誇るアレイスター公爵家で豪華で広い邸には、数えれない程の使用人たちが居た。
「彼には、何も……言えないままでしたね」
私はこくりと頷いた。操られていたチャールズが哀れに思えてしまって、同情しそうになったけれど、彼が私に婚約破棄を宣言したのは間違いないことだった。
それに、ミゼルに対する彼の姿を思い出せば、何もなかったかのように夫婦として愛せるかと言われればそれは出来ない。
だから、そういう意味では、何も言わないままで良かったんだわ。
これから使用する部屋にと用意してくれた部屋に入り、使用人を遠ざけるとナザイレは私のことを抱きしめた。
それを驚きはしたけれど、別に嫌ではなかった。
ナザイレは処刑される寸前の私を助けてくれたし、魅力的な男性で嫌がる要素はなかった。
きっとすぐに好きになって、幸せな結婚生活を過ごせるんだと確信してしまえるくらい。
「……ヴィクトリアと話せなくなって、ずっと寂しかったので、あの時に地下牢に行って良かった。あれを知らないままで、何も出来ずに終わるところだった」
「ナザイレ……」
美しい金色の目は間近で、私は反射的に目を閉じた。
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