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22 再会③

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「きっと、ジュストのことだから、何か考えがあるのよ。あの子は幼い頃からとっても頭が良くて要領も良かったから、私やミシェルが考えつかないような再会の仕方をすると思うわ」

「……お母様も、そう思います?」

 付き合いの長い私も、あのジュストのことだから、きっと何か作戦があって出て行ったとは思っていた。けれど、どうしても不安だったのだ。

 これまでずっと一緒に居た私から離れてしまうというのに、ジュストは何の抵抗もなさそうだったから。

「貴女と結婚するためだけに、学問一筋のお父様を叙爵されるように仕向け、義理の息子になる自分へ従属爵位をくれるような高位貴族の未亡人と結婚させたんでしょう。そんなジュストが何も考えずにここを出て行くなんて、考える方が難しいわ」

 お母様はなんだか、愛を誓ったはずの恋人に置いて行かれた娘の現状を聞いて楽しそうだった。

「お父様が功績を挙げられたことは、別にジュストが仕掛けた訳ではないでしょう?」

 私はお母様が誤解をしていそうだから正そうと思って言ったんだけど、お母様は呆れた顔をしていた。

「ミシェル……貴女ったら、何を言っているの。勉強一筋の学者が、叙爵されるための根回しなんて出来る訳ないでしょう。すべて息子のジュストが代わりにしたことに決まっているわ。陛下の耳にまで功績が届くように調整し、平民が貴族になれるのよ。そんな器用な人なら、そもそも一人息子と離れたりしないわ」

「そっ……それは、そうですけど」

 確かに学問しか能の無い生活不能者だと、ジュストは苦笑して言っていた。だから、彼は心配した親戚に連れられて、このサラクラン伯爵家にやって来たと。

「お母様。ジュストは本当に、私のために……そこまでしたんでしょうか?」

 結果的にそうなっている訳だけど、その事がどうしても信じがたい。

「状況を見れば、そうよ。私は本音を言えばジュストを応援したいけれど、ラザール様の件は色々と面倒だものね。あの子はどうやってそれを解決するのかしら。楽しみね」

 お母様はお父様と十何年も経った今でも語り継がれるくらいの大恋愛結婚をしたし、私だって二人を身近で見ていて愛し合う夫婦は素晴らしいと思っていた。

 自分だって、そんな人と結婚したいと。

「ラザール様が健康になったオレリーを好きになったのは、ただの偶然ですけど……」

「ねえ。ミシェル……世の中には、偶然に起こることなんて、実は少ないのよ……ジュストのお父様がどんな功績を認められて叙爵されたのか、調べてみれば良いと思うわ」

 お母様の意味ありげな微笑みを見て、私はその時にもしかしたらと思った。
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