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11 本当の気持ち②
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「んっ……ジュスト……」
「さっき、僕が編み上げたリボンなんですけど……なかなか、外せないものですね」
苦笑したジュストを見て私が首を傾げれば、さっき着たばかりのドレスは肩からするりと滑った。まろび出た私の胸を掬うように撫でて、ジュストは私に顔を近付けた。
「……何、企んでいるの?」
そういう悪い顔をしていた。ジュストは私が彼に何か隠し事をしていたりすると、良くこういう表情になった。それをネタに揶揄われることがわかっているのに、私は嫌な顔をしながらもそれを待ってしまうのだ。
そうされることが、嫌ではなかったから。
「こんなにも可愛らしいお嬢様を、これからどうやっていじめようかと考えています」
ジュストは肉欲を感じさせるような、いやらしさなんて見えない可愛らしい顔をしているというのに、私の纏っていたドレスを床に落として楽しそうな表情になっていた。
薄い下着姿では心許なく、私は後ろへと後退ろうと思った。
「私のこと、揶揄って遊ぶつもりなの? ……いつもみたいに」
これまではジュストは私が驚いたり、彼の言ったことにイライラしたり……そんな様子を見ては、楽しんでいた。
けど、今思い返すとそうしてもらっても、一緒に居れて話せれば、それだけでいつも嬉しかった。
そのくらい、私はいつも傍に居るジュストのことが好きだった。
「僕はお嬢様で遊んだことなんて、これまでに一度もありませんね。そんなに人聞きの悪いことを言わないでください」
「けど、私を虐めるってそういうことでしょう」
「いえ。僕が言っているのは、大人の意味でお嬢様をいじめるってことなんですけど……口で説明してもきっとわからないので、これから実践してお教えしますね」
ジュストはそう言い、傍にあった大きなベッドの上の埃避けの布を外した。その下にあるのは、ここで暮らしている時に彼が使っていただろうベッドだ。
私を抱き上げるとベッドの上へと寝かせ、自分の上着を脱いだ。
「……綺麗」
私は窓から差し込む光に、キラキラときらめく埃を見て言った。白いシャツ姿になったジュストは苦笑して、私の頭の横に両手を付いた。
「なんだか……とても、余裕がありますね。お嬢様。これからの未知の体験が怖くないですか?」
「……だって、ジュストは私の嫌がることを、絶対しないでしょう?」
ジュストは私が嫌がることを、今までにしたことがない。だからこそ信頼しているし、彼を疑ったことなんていない。
それを聞いたジュストは、苦笑して頷いた。
「そうですね。敢えてすることは、絶対にないとは言い切れますけど……そこまで純粋に信頼されていると、なんだか、それはそれで、複雑な気持ちになりますね」
私の着ていたアンダードレスの肩ひもをするりと落とすと、彼は首筋を舐めた。ぬるっとした質感の舌は、今までにない刺激を身体に与えた。
「ジュスト……くすぐったい……」
身体をよじらせ彼から逃げようとしても、無言のままで舐める彼は、何を言っても逃がしてくれる気はなさそうだ。ゆっくりゆっくりと下へと進み、下着を落として剥き出しになった乳房へと辿り着いた。
「ひゃっ……駄目……っ……ううんっ……やっ……」
硬くなっていた乳首を軽く噛み、ジュストは強い力でそれを吸い込んだ。身体は快感にしびれ、彼の与える刺激を過敏に感じていた。
むずむずとして、身体の奥から湧き上がる何か。もう片方の乳首を摘ままれ、私は反射的にジュストの髪を掴んだ。
巻いている茶色い癖毛は、私がこれまでにこうだろうと思っていたよりも、もっと柔らかかった。
「……お嬢様。どうして欲しいですか? 止めます?」
ジュストはいつも通りで、揶揄っている楽しそうな表情。そんなことを私が希望するはずもないのに、彼には何も言わずともわかっているのだ。
この先ももっとして欲しいと、そう思っていることを。
「さっき、僕が編み上げたリボンなんですけど……なかなか、外せないものですね」
苦笑したジュストを見て私が首を傾げれば、さっき着たばかりのドレスは肩からするりと滑った。まろび出た私の胸を掬うように撫でて、ジュストは私に顔を近付けた。
「……何、企んでいるの?」
そういう悪い顔をしていた。ジュストは私が彼に何か隠し事をしていたりすると、良くこういう表情になった。それをネタに揶揄われることがわかっているのに、私は嫌な顔をしながらもそれを待ってしまうのだ。
そうされることが、嫌ではなかったから。
「こんなにも可愛らしいお嬢様を、これからどうやっていじめようかと考えています」
ジュストは肉欲を感じさせるような、いやらしさなんて見えない可愛らしい顔をしているというのに、私の纏っていたドレスを床に落として楽しそうな表情になっていた。
薄い下着姿では心許なく、私は後ろへと後退ろうと思った。
「私のこと、揶揄って遊ぶつもりなの? ……いつもみたいに」
これまではジュストは私が驚いたり、彼の言ったことにイライラしたり……そんな様子を見ては、楽しんでいた。
けど、今思い返すとそうしてもらっても、一緒に居れて話せれば、それだけでいつも嬉しかった。
そのくらい、私はいつも傍に居るジュストのことが好きだった。
「僕はお嬢様で遊んだことなんて、これまでに一度もありませんね。そんなに人聞きの悪いことを言わないでください」
「けど、私を虐めるってそういうことでしょう」
「いえ。僕が言っているのは、大人の意味でお嬢様をいじめるってことなんですけど……口で説明してもきっとわからないので、これから実践してお教えしますね」
ジュストはそう言い、傍にあった大きなベッドの上の埃避けの布を外した。その下にあるのは、ここで暮らしている時に彼が使っていただろうベッドだ。
私を抱き上げるとベッドの上へと寝かせ、自分の上着を脱いだ。
「……綺麗」
私は窓から差し込む光に、キラキラときらめく埃を見て言った。白いシャツ姿になったジュストは苦笑して、私の頭の横に両手を付いた。
「なんだか……とても、余裕がありますね。お嬢様。これからの未知の体験が怖くないですか?」
「……だって、ジュストは私の嫌がることを、絶対しないでしょう?」
ジュストは私が嫌がることを、今までにしたことがない。だからこそ信頼しているし、彼を疑ったことなんていない。
それを聞いたジュストは、苦笑して頷いた。
「そうですね。敢えてすることは、絶対にないとは言い切れますけど……そこまで純粋に信頼されていると、なんだか、それはそれで、複雑な気持ちになりますね」
私の着ていたアンダードレスの肩ひもをするりと落とすと、彼は首筋を舐めた。ぬるっとした質感の舌は、今までにない刺激を身体に与えた。
「ジュスト……くすぐったい……」
身体をよじらせ彼から逃げようとしても、無言のままで舐める彼は、何を言っても逃がしてくれる気はなさそうだ。ゆっくりゆっくりと下へと進み、下着を落として剥き出しになった乳房へと辿り着いた。
「ひゃっ……駄目……っ……ううんっ……やっ……」
硬くなっていた乳首を軽く噛み、ジュストは強い力でそれを吸い込んだ。身体は快感にしびれ、彼の与える刺激を過敏に感じていた。
むずむずとして、身体の奥から湧き上がる何か。もう片方の乳首を摘ままれ、私は反射的にジュストの髪を掴んだ。
巻いている茶色い癖毛は、私がこれまでにこうだろうと思っていたよりも、もっと柔らかかった。
「……お嬢様。どうして欲しいですか? 止めます?」
ジュストはいつも通りで、揶揄っている楽しそうな表情。そんなことを私が希望するはずもないのに、彼には何も言わずともわかっているのだ。
この先ももっとして欲しいと、そう思っていることを。
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