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06 宣言②
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ああ。愛する女性に逃げられた傷心直後の自分が、これから「結婚したとしても、僕は君を愛するつもりはない」と言わなければと、気が重かったところに、私側から言い出したのだから、驚くのも無理もないわ。
……けど、大丈夫。私は彼の想像するような、面倒なことを言い出す女ではないわ。
にっこりと余裕ある笑顔を見せ、胸に右手を置いて、私は全て心得ておりますと言うことを隣に座った彼へ示した。
「モーベット侯爵は、動かせない結婚式の日付に迫られて、仕方なく私と結婚をするのです。何もかも、すべて理解しておりますわ!」
神様からすべての美点を与えられ、なんなら王族の姫の降嫁先にも選ばれそうな男性なのに、不幸にも良くない地雷を踏んでしまっただけだ。
とはいえ、他の男性から婚約破棄されて社交界で悪い噂がある令嬢と、間に合わせだとしても結婚しなければならないなんて……これは他でもない自分のことだけど、なんだか可哀想。
「いえ。それは」
「そうだわ。まず先に、これを伝えなくては。モーベット侯爵。私は貴方に愛されなくても、全然平気です」
「全然……愛されなくても? あの、待ってください。僕は」
「あ! ごめんなさい。けど、愛せない妻などと、一生を過ごすなんて嫌ですよね。うーん……それでは、私たち……一年後に、離婚しませんか? それより前に、お互いに好きな人が出来たとしても、離婚しましょう」
そうしましょう? と言わんばかりに微笑みかけた私に、モーベット侯爵はぽかんとした表情になり、沈黙して間を置くと、彼の返事を待っていた私に疑問を返した。
「……それで、貴女は構わないと?」
「ええ! それで構いませんわ。私は以前婚約破棄されてから、夫に頼らずとも独身で生きるために、これまで着々と準備を進めてきました。モーベット侯爵も、抜けられないしがらみがあって、新婦を急遽変更しての結婚式だなんて……とてもお気の毒なことでしたが、ほとぼりが冷めてからは、お好きな人生を歩まれたら良いわ」
「しかし……これは、何と説明すれば良いのか……どうか、僕の話を聞いてください。レニエラ嬢」
「私と離婚することに対し、罪悪感などは要りません。それに、離婚後についてはお気になさらず。それなりに、勝算はありますので。モーベット侯爵は愛していた婚約者の方に、結婚式直前で去られて、本当に大変だったことと思います。私は一人でも、生きていけますから」
私がこれから展開しようと思っている事業の計画は、ほぼ出来ていて、あとは商品化してからのスタートを切るだけだ。もし、成功した事業家になれば、元貴族令嬢の肩書なんて、特に気にもされないだろう。
婚約破棄された過去も、すべてなかったことになる。
……けど、大丈夫。私は彼の想像するような、面倒なことを言い出す女ではないわ。
にっこりと余裕ある笑顔を見せ、胸に右手を置いて、私は全て心得ておりますと言うことを隣に座った彼へ示した。
「モーベット侯爵は、動かせない結婚式の日付に迫られて、仕方なく私と結婚をするのです。何もかも、すべて理解しておりますわ!」
神様からすべての美点を与えられ、なんなら王族の姫の降嫁先にも選ばれそうな男性なのに、不幸にも良くない地雷を踏んでしまっただけだ。
とはいえ、他の男性から婚約破棄されて社交界で悪い噂がある令嬢と、間に合わせだとしても結婚しなければならないなんて……これは他でもない自分のことだけど、なんだか可哀想。
「いえ。それは」
「そうだわ。まず先に、これを伝えなくては。モーベット侯爵。私は貴方に愛されなくても、全然平気です」
「全然……愛されなくても? あの、待ってください。僕は」
「あ! ごめんなさい。けど、愛せない妻などと、一生を過ごすなんて嫌ですよね。うーん……それでは、私たち……一年後に、離婚しませんか? それより前に、お互いに好きな人が出来たとしても、離婚しましょう」
そうしましょう? と言わんばかりに微笑みかけた私に、モーベット侯爵はぽかんとした表情になり、沈黙して間を置くと、彼の返事を待っていた私に疑問を返した。
「……それで、貴女は構わないと?」
「ええ! それで構いませんわ。私は以前婚約破棄されてから、夫に頼らずとも独身で生きるために、これまで着々と準備を進めてきました。モーベット侯爵も、抜けられないしがらみがあって、新婦を急遽変更しての結婚式だなんて……とてもお気の毒なことでしたが、ほとぼりが冷めてからは、お好きな人生を歩まれたら良いわ」
「しかし……これは、何と説明すれば良いのか……どうか、僕の話を聞いてください。レニエラ嬢」
「私と離婚することに対し、罪悪感などは要りません。それに、離婚後についてはお気になさらず。それなりに、勝算はありますので。モーベット侯爵は愛していた婚約者の方に、結婚式直前で去られて、本当に大変だったことと思います。私は一人でも、生きていけますから」
私がこれから展開しようと思っている事業の計画は、ほぼ出来ていて、あとは商品化してからのスタートを切るだけだ。もし、成功した事業家になれば、元貴族令嬢の肩書なんて、特に気にもされないだろう。
婚約破棄された過去も、すべてなかったことになる。
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