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14 前世の婚約者②
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……私たちが今日のお出かけを相談していたのは、教室だったから……黒木くんはクラスメイトなので、聞いていてもおかしくない。
おかしくはないけど……そんなはずないか。
私と絵里香ちゃんは文房具屋にて、自分の希望していた物を手に入れて、図書館に向かうことにした。
そして、入り口を出ようとしたところで、ある人とすれ違った。
「……猫塚さん!」
「黒木くん?」
さっき絵里香ちゃんが言って居た通りに、彼はこの総合商業施設に居たみたい。
「ぐっ……偶然だね」
私は目が泳いでいたと思う。黒木くんがここに居たのは、偶然だと思いたい。
偶然だと思いたいけど、あまりにも無理が過ぎるっていうか……うん……黒木くん、私のこと探していたっぽい気もするし……。
「猫塚さん。少し話したいことあるんだけど……」
和風顔狐目の黒木くんは私に対し、恋愛っぽい感情は持っていないと思う。けれど、この言葉は絵里香ちゃんの誤解を招いてしまうのに十分だったらしい。
「……あ! 私。大丈夫! 先に図書館に行ってるから、二人ともごゆっくり!」
え……何、大丈夫って!?
私が驚いている間に、絵里香ちゃんはサササっと入り口を出て、駆け足くらいの速さで去って行ってしまった。
完全に誤解してしまっていると思うけど……仕方ない。これは仕方ない。
「黒木くん……話って、あれだよね?」
あれってつまり前世の話だけど、黒木くんにはわかって貰えたようで頷いた。
「ああ。ここではなんだから……」
黒木くんはそう言って、周囲を見回した。確かにここは、大きな入り口前で人通りも多い。
前世の記憶がどうこう言ってる男女……白い目で見られそう。
私は黒木くんにみちびかれるがまま、彼に着いて行った。
総合商業施設のひと気のない駐輪場あたりに私たちはたどり付き、私は黒木くんがここに居た理由を聞いてみることにした。
「黒木くん……もしかして、私たちが今日ここに居ること、知っていた?」
じっと彼を見つめると、面白いくらいにしゅんとなってしまった。
「ああ……ごめんなさい。猫塚さん。僕もあまり、良くないとは思ったんですけど……」
ということは、そういう事だよね。私がここに来るってわかっていて、ここで待ち伏せしていたんだ。
昨日もされたことだけど、あまり気分は良くないかもしれない。
「黒木くんが早く何か伝えたかったって、そういうことはわかるんだけど……けど、私はあんまり気分が良くないから、こういうことはしないで欲しい」
私がはっきり彼に伝えると、黒木くんもこれは悪かったとは思って居るのか、ゆっくり頷いた。
「もうしません。けど、猫塚さんに言っておかないとって思って。あの、藤崎のことだけど……」
「藤崎くん……そうだ。昨日も居たよね? どうして、あんな事をしているか知っている? 私って、それほど嫌われてっていうか……憎まれていたってこと?」
私は昨日から感じていた疑問をここぞとばかりに、黒木くんにぶつけることにした。
だって、気になって眠れないくらいだったんだもん。
ここはせっかくのチャンスだから、聞いておくしかない。
おかしくはないけど……そんなはずないか。
私と絵里香ちゃんは文房具屋にて、自分の希望していた物を手に入れて、図書館に向かうことにした。
そして、入り口を出ようとしたところで、ある人とすれ違った。
「……猫塚さん!」
「黒木くん?」
さっき絵里香ちゃんが言って居た通りに、彼はこの総合商業施設に居たみたい。
「ぐっ……偶然だね」
私は目が泳いでいたと思う。黒木くんがここに居たのは、偶然だと思いたい。
偶然だと思いたいけど、あまりにも無理が過ぎるっていうか……うん……黒木くん、私のこと探していたっぽい気もするし……。
「猫塚さん。少し話したいことあるんだけど……」
和風顔狐目の黒木くんは私に対し、恋愛っぽい感情は持っていないと思う。けれど、この言葉は絵里香ちゃんの誤解を招いてしまうのに十分だったらしい。
「……あ! 私。大丈夫! 先に図書館に行ってるから、二人ともごゆっくり!」
え……何、大丈夫って!?
私が驚いている間に、絵里香ちゃんはサササっと入り口を出て、駆け足くらいの速さで去って行ってしまった。
完全に誤解してしまっていると思うけど……仕方ない。これは仕方ない。
「黒木くん……話って、あれだよね?」
あれってつまり前世の話だけど、黒木くんにはわかって貰えたようで頷いた。
「ああ。ここではなんだから……」
黒木くんはそう言って、周囲を見回した。確かにここは、大きな入り口前で人通りも多い。
前世の記憶がどうこう言ってる男女……白い目で見られそう。
私は黒木くんにみちびかれるがまま、彼に着いて行った。
総合商業施設のひと気のない駐輪場あたりに私たちはたどり付き、私は黒木くんがここに居た理由を聞いてみることにした。
「黒木くん……もしかして、私たちが今日ここに居ること、知っていた?」
じっと彼を見つめると、面白いくらいにしゅんとなってしまった。
「ああ……ごめんなさい。猫塚さん。僕もあまり、良くないとは思ったんですけど……」
ということは、そういう事だよね。私がここに来るってわかっていて、ここで待ち伏せしていたんだ。
昨日もされたことだけど、あまり気分は良くないかもしれない。
「黒木くんが早く何か伝えたかったって、そういうことはわかるんだけど……けど、私はあんまり気分が良くないから、こういうことはしないで欲しい」
私がはっきり彼に伝えると、黒木くんもこれは悪かったとは思って居るのか、ゆっくり頷いた。
「もうしません。けど、猫塚さんに言っておかないとって思って。あの、藤崎のことだけど……」
「藤崎くん……そうだ。昨日も居たよね? どうして、あんな事をしているか知っている? 私って、それほど嫌われてっていうか……憎まれていたってこと?」
私は昨日から感じていた疑問をここぞとばかりに、黒木くんにぶつけることにした。
だって、気になって眠れないくらいだったんだもん。
ここはせっかくのチャンスだから、聞いておくしかない。
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