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03 様子がおかしいクラスメイト①
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私はパッと目を覚ましたら、白い天井。周囲を確認したら白いカーテンに囲まれて、そこは学校の保健室のようだった。
健康優良児の私は保健室にあまり来ることはないけど、体調の悪い子を連れて来たことはある。
あの時階段から落ちた私は、ここに運び込まれたんだろう。
幸い怪我したような箇所はないし、あちこちにぶく痛いけど我慢出来ないほどでもない。
足を滑らせて階段から落ちて、私はどんな着地したんだろう……スカートは大丈夫だったかな。
……それにしても、やけに現実感のある不思議な夢だった。
お姫様が私なのはわかる。それって、お姫様願望は大方の女子の夢である。その婚約者が藤崎くんなのもわかる。だって、今現在私の好きな人だもん。
良くわからない脇役が黒木くんに似ていたのも、百歩譲ってわかる。まあ、知っている人が無意識のうちに夢に出てくることもあるよね。
……けど、あんなにも悲劇的な結末が、本当にわからない。バッドエンド好きな女子って、あんまり居なくない? 絶対にハッピーエンドが良いよね。
っていうか、現れた裏切った婚約者の背後から矢が放たれたってことは、お姫様は婚約者に裏切られたってことだよね。
夢の中のお姫様……裏切られて、可哀想。婚約者のことを信じていたし、愛していたのにね。
けどまあ、夢は夢であって、現実ではないし……裏切られて殺されて可哀想だなって思うけど、それって私の身に起こった訳でもないし……。
いきなり白いカーテンが開かれて、そこには保健室の先生が顔を覗かせていた。
「あ。猫塚さん。起きていたの? 大丈夫?」
「はいっ……今って、何時間目ですか?」
今日は体育の授業で昼から潰れてしまう予定だったけど、参加出来るならするべきなのかもしれない。
「ああ……五時間目終わったところだけど……猫塚さんは階段から落ちて、頭も打ったみたいなの。今は何もないかもしれないけど、学校の決まりで脳の検査に行かないといけないから立てる?」
学校の決まりでそうしなければならないと言われているのなら、拒否出来るものでもないと思う。私は頷いて鞄を纏め先生の車に乗って大きな病院へと行くことになった。
◇◆◇
念のためにとMRIを取って全く問題ないと医師から太鼓判を押された私は、次の日学校にいつも通り登校した。
「美波ちゃん! おはよう。大丈夫だった?」
私が階段を落ちた時に一緒に居たはずの絵里香ちゃんは、自分の席からすぐに駆けつけ確認してくれた。
「うん。ごめんね。足滑らせて階段から落ちるなんて、恥ずかしい……あの時、私スカート大丈夫だった?」
私は周囲を確認して、小声で絵里香ちゃんに聞いた。
身体には目立った異常がないし、乙女心として気になるところはそこだった。他の誰かからは違うかもしれないけど、スカートめくれてパンツが見えていたのかいなかったのか、私本人としてはすっごく大問題だし。
「大丈夫! 美波ちゃんのスカートは、階段から落ちた時も全然問題なかったよ。私もびっくりして何も出来なかったんだけど、近くに居た黒木くんが助けてくれて……」
「黒木くん?」
……あれ? 黒木くんが夢の中でも出てきたのは、そのせいもあるのかもしれない。
正直に言ってしまうと、黒木くんはあまり接点のないクラスメイトだ。すっきりとした狐顔というか、和風でさっぱりした目が細くて特徴的な顔をしている。
話したことなんて、数えるくらいだと思う。
「そうそう! 黒木くん……美波ちゃんが階段から落ちた時に、慌てて駆けつけてくれて……倒れた美波ちゃんを抱き上げようとしたんだけど、動かさない方が良いって誰かに注意されて、保健室に担架を取りに行ってくれたんだよね」
「そうなんだ。お礼言わないといけないね……」
黒木くんは何処だろうと思って、教室を見回してもまだ居ない。クラスメイトだしいつでも機会はあるかと思って、私は美波ちゃんに宿題でわからなかったところを聞こうとお願いした。
健康優良児の私は保健室にあまり来ることはないけど、体調の悪い子を連れて来たことはある。
あの時階段から落ちた私は、ここに運び込まれたんだろう。
幸い怪我したような箇所はないし、あちこちにぶく痛いけど我慢出来ないほどでもない。
足を滑らせて階段から落ちて、私はどんな着地したんだろう……スカートは大丈夫だったかな。
……それにしても、やけに現実感のある不思議な夢だった。
お姫様が私なのはわかる。それって、お姫様願望は大方の女子の夢である。その婚約者が藤崎くんなのもわかる。だって、今現在私の好きな人だもん。
良くわからない脇役が黒木くんに似ていたのも、百歩譲ってわかる。まあ、知っている人が無意識のうちに夢に出てくることもあるよね。
……けど、あんなにも悲劇的な結末が、本当にわからない。バッドエンド好きな女子って、あんまり居なくない? 絶対にハッピーエンドが良いよね。
っていうか、現れた裏切った婚約者の背後から矢が放たれたってことは、お姫様は婚約者に裏切られたってことだよね。
夢の中のお姫様……裏切られて、可哀想。婚約者のことを信じていたし、愛していたのにね。
けどまあ、夢は夢であって、現実ではないし……裏切られて殺されて可哀想だなって思うけど、それって私の身に起こった訳でもないし……。
いきなり白いカーテンが開かれて、そこには保健室の先生が顔を覗かせていた。
「あ。猫塚さん。起きていたの? 大丈夫?」
「はいっ……今って、何時間目ですか?」
今日は体育の授業で昼から潰れてしまう予定だったけど、参加出来るならするべきなのかもしれない。
「ああ……五時間目終わったところだけど……猫塚さんは階段から落ちて、頭も打ったみたいなの。今は何もないかもしれないけど、学校の決まりで脳の検査に行かないといけないから立てる?」
学校の決まりでそうしなければならないと言われているのなら、拒否出来るものでもないと思う。私は頷いて鞄を纏め先生の車に乗って大きな病院へと行くことになった。
◇◆◇
念のためにとMRIを取って全く問題ないと医師から太鼓判を押された私は、次の日学校にいつも通り登校した。
「美波ちゃん! おはよう。大丈夫だった?」
私が階段を落ちた時に一緒に居たはずの絵里香ちゃんは、自分の席からすぐに駆けつけ確認してくれた。
「うん。ごめんね。足滑らせて階段から落ちるなんて、恥ずかしい……あの時、私スカート大丈夫だった?」
私は周囲を確認して、小声で絵里香ちゃんに聞いた。
身体には目立った異常がないし、乙女心として気になるところはそこだった。他の誰かからは違うかもしれないけど、スカートめくれてパンツが見えていたのかいなかったのか、私本人としてはすっごく大問題だし。
「大丈夫! 美波ちゃんのスカートは、階段から落ちた時も全然問題なかったよ。私もびっくりして何も出来なかったんだけど、近くに居た黒木くんが助けてくれて……」
「黒木くん?」
……あれ? 黒木くんが夢の中でも出てきたのは、そのせいもあるのかもしれない。
正直に言ってしまうと、黒木くんはあまり接点のないクラスメイトだ。すっきりとした狐顔というか、和風でさっぱりした目が細くて特徴的な顔をしている。
話したことなんて、数えるくらいだと思う。
「そうそう! 黒木くん……美波ちゃんが階段から落ちた時に、慌てて駆けつけてくれて……倒れた美波ちゃんを抱き上げようとしたんだけど、動かさない方が良いって誰かに注意されて、保健室に担架を取りに行ってくれたんだよね」
「そうなんだ。お礼言わないといけないね……」
黒木くんは何処だろうと思って、教室を見回してもまだ居ない。クラスメイトだしいつでも機会はあるかと思って、私は美波ちゃんに宿題でわからなかったところを聞こうとお願いした。
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