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15 過去★②
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「良い子だ……ルシア。このドレスも、良く似合う」
「……殿下、こちらもありがとうございます」
ルシアが今着用しているのは、青いデイドレスではあるものの、胸を押し上げる下着で丸い乳房の上半分がくっきりと形作られて見えていた。
そういうデザインだとついさっきまで納得出来ていたはずなのに、カミーユの顔が間近まで見えるこの態勢になり、急に恥ずかしくなってしまった。
強い羞恥を感じたためか、ルシアの白い肌が淡く染まった。
無言で剥き出しになった首元へカミーユは口を寄せると、滑らかな肌を味わうようにして首を何度も舐め上げた。
「あっ……カミーユ殿下」
敏感な急所を熱く濡れた舌が通り抜けるたびに、ルシアは今までにない未知の感覚を味わった。
無意識にそれから逃げようと後退り、喉を反らせたルシアを追いかけるようにして、カミーユは彼女を柔らかな座面に押し倒した。
体全体で覆うように上から見下ろされ、ルシアは彼から野生の獣のような灼熱の欲望を感じた。
「殿下は止めて欲しい……美味しいよ。ルシア。本当に君は何もかも想像以上だ」
ルシアの肩にある細い袖を落とし、胸元にある布に指を引っかけ無理に下げたカミーユは、まろびでた白い双丘から目が離せないようだった。
「殿下っ……か、カミーユ。あの、もしかして」
このまま最後の一線まで越えそうな気配を察したルシアは、慌てて露になった胸を隠した。
(女嫌いではないと……言っていた。けれど、今まで心を開けたのは、乳母パメラさんと私だけだって……けど、だと言うことは……)
「ああ……どうして隠す。こんなにも美しいと言うのに」
残念そうな声で呟いたカミーユに、ルシアは慌てて言った。
「あの……もしかしてとは思うんですが、カミーユでん……カミーユは、今まで女性経験などは……」
ルシアが遠慮がちに言えば、カミーユはなんだそんなことかと軽く肩を竦めた。
「大丈夫だ。これからすべきことは、ちゃんと理解している。王族は必須の閨教育をどうしても受けたくないと言えば、実践は勘弁して貰える代わりに見学だけで許してもらった」
「と言うことは、もしかして……あの」
こんなにも端正な美青年で第二王子だと言うのに、彼は女性経験がないのではないだろうか。
(しかも、性行為を実践はせずに見学ですって? それって、余計にしたくて堪らなくなるだけなのではないかしら)
性欲は誰しもあるのだろうが、カミーユはそれをこの年齢になるまで満足に解消出来ていなかったことになるではないか。
ルシアが驚いた理由を勘違いしたのか、カミーユは憮然とした表情で言った。
「これまでに、色々とあってな……あの時は触れることすらも、おぞましかったんだ。だが、言った通り俺は女嫌いという訳ではない。君以外は好きになれたことがなかったというだけで」
(……女嫌いではないけど、城の中で自分に近づく女性が嫌だったから、触れたくもなかった……?)
王族の閨教育の指南係は、経験豊富な貴族未亡人が選ばれると聞いている。下手に平民を教師として使えば、王家の血筋を市井に残してしまうかもしれない。
貴族女性に嫌悪感があり、これまでにカミーユが好きになれたのがルシア一人だけだった。
カミーユはだからと言って、王都にある娼館でことを済ませて来るような男性でもなさそうだ。
真面目なのだろう。だから、潔癖で過去に何か許せないこだわりがあって、女性に触れなかったというだけで。
「私……私、あの、こういうことは、ゆっくりと進めた方が良いって……そう思うんですけど……」
この先の展開に強い危機感を感じて、ルシアがそう言えば、カミーユは目を細めて自身の着ていた服を脱ぎながら酷薄な表情で微笑んだ。
「いいや。俺はすぐに、君を抱きたい。良いだろう?」
軍属にある彼の腹筋で割れた腹を見て、ルシアは思わず息を呑んでしまった。
「……殿下、こちらもありがとうございます」
ルシアが今着用しているのは、青いデイドレスではあるものの、胸を押し上げる下着で丸い乳房の上半分がくっきりと形作られて見えていた。
そういうデザインだとついさっきまで納得出来ていたはずなのに、カミーユの顔が間近まで見えるこの態勢になり、急に恥ずかしくなってしまった。
強い羞恥を感じたためか、ルシアの白い肌が淡く染まった。
無言で剥き出しになった首元へカミーユは口を寄せると、滑らかな肌を味わうようにして首を何度も舐め上げた。
「あっ……カミーユ殿下」
敏感な急所を熱く濡れた舌が通り抜けるたびに、ルシアは今までにない未知の感覚を味わった。
無意識にそれから逃げようと後退り、喉を反らせたルシアを追いかけるようにして、カミーユは彼女を柔らかな座面に押し倒した。
体全体で覆うように上から見下ろされ、ルシアは彼から野生の獣のような灼熱の欲望を感じた。
「殿下は止めて欲しい……美味しいよ。ルシア。本当に君は何もかも想像以上だ」
ルシアの肩にある細い袖を落とし、胸元にある布に指を引っかけ無理に下げたカミーユは、まろびでた白い双丘から目が離せないようだった。
「殿下っ……か、カミーユ。あの、もしかして」
このまま最後の一線まで越えそうな気配を察したルシアは、慌てて露になった胸を隠した。
(女嫌いではないと……言っていた。けれど、今まで心を開けたのは、乳母パメラさんと私だけだって……けど、だと言うことは……)
「ああ……どうして隠す。こんなにも美しいと言うのに」
残念そうな声で呟いたカミーユに、ルシアは慌てて言った。
「あの……もしかしてとは思うんですが、カミーユでん……カミーユは、今まで女性経験などは……」
ルシアが遠慮がちに言えば、カミーユはなんだそんなことかと軽く肩を竦めた。
「大丈夫だ。これからすべきことは、ちゃんと理解している。王族は必須の閨教育をどうしても受けたくないと言えば、実践は勘弁して貰える代わりに見学だけで許してもらった」
「と言うことは、もしかして……あの」
こんなにも端正な美青年で第二王子だと言うのに、彼は女性経験がないのではないだろうか。
(しかも、性行為を実践はせずに見学ですって? それって、余計にしたくて堪らなくなるだけなのではないかしら)
性欲は誰しもあるのだろうが、カミーユはそれをこの年齢になるまで満足に解消出来ていなかったことになるではないか。
ルシアが驚いた理由を勘違いしたのか、カミーユは憮然とした表情で言った。
「これまでに、色々とあってな……あの時は触れることすらも、おぞましかったんだ。だが、言った通り俺は女嫌いという訳ではない。君以外は好きになれたことがなかったというだけで」
(……女嫌いではないけど、城の中で自分に近づく女性が嫌だったから、触れたくもなかった……?)
王族の閨教育の指南係は、経験豊富な貴族未亡人が選ばれると聞いている。下手に平民を教師として使えば、王家の血筋を市井に残してしまうかもしれない。
貴族女性に嫌悪感があり、これまでにカミーユが好きになれたのがルシア一人だけだった。
カミーユはだからと言って、王都にある娼館でことを済ませて来るような男性でもなさそうだ。
真面目なのだろう。だから、潔癖で過去に何か許せないこだわりがあって、女性に触れなかったというだけで。
「私……私、あの、こういうことは、ゆっくりと進めた方が良いって……そう思うんですけど……」
この先の展開に強い危機感を感じて、ルシアがそう言えば、カミーユは目を細めて自身の着ていた服を脱ぎながら酷薄な表情で微笑んだ。
「いいや。俺はすぐに、君を抱きたい。良いだろう?」
軍属にある彼の腹筋で割れた腹を見て、ルシアは思わず息を呑んでしまった。
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