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11 妹ジーノの見解
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私はお姉ちゃんの隠れ住んでいる森の番人小屋の前で、仁王立ちしていた。中で何が行われているかは、わかっている。
フェリクス一筋で純粋培養のお姉ちゃんと違って、私はそれなりに恋愛経験がある。途切れ途切れ聞こえてくる声から、その行為はあからさま。
やがて扉から、出てきた男を睨みつけた。こいつは、村を挙げての歓迎をしている時にお姉ちゃんがいないと聞くなり、周囲の人を吹き飛ばして、勇者のみに使えるというよくわからない秘術みたいな方法でここまで辿り着いてしまった。
「フェリクス。お姉ちゃん大丈夫なの」
「ジーノ。なんか誤解してない? アリーチェの事を、俺が害するはずない。お前がよくわかってるだろ」
フェリクスはめんどくさそうに言った。こいつは、お姉ちゃんの前とそれ以外で人格を使い分けるとんでもな奴だ。お姉ちゃんの前では完璧な美男子を演じつつ、裏に回ればお姉ちゃんに手を出す奴らをボコボコにして暴言を吐きやばい男だと恐れられていた。
だから、こいつが勇者に選ばれて村を出て行った時には村の若い男たちは両手をあげて喜んだはず。本当に、お姉ちゃんに対する熱は気持ち悪いくらいだったから。
「あんた、聖女のお姫様はどうすんの」
まあ、わかってはいるけど。私としても、そこのところは確認はしときたいから。一応は、聞いといた。今までの傾向から言うと、冒険を終えた勇者と聖女は通例なら結婚するはず。だけど、お姉ちゃん命のフェリクスはお城に戻る気はさらさらなさそう。
「別にどうもしない。胸がデカい金髪美女だったなって、感想しかない。それより、ジーノも結婚おめでとう。大きい商会の息子だってな」
なんで昨日帰って来たばかりのこいつが、そんな事知ってるんだろとは思った。けど、この男は勇者で、精霊も使役できるらしいからお姉ちゃんの居場所を見つけたのも、そういうことかもしれない。
「……ありがとう。本来なら、お姉ちゃんが受けるはずの話だけどね。うちに来たらお姉ちゃんいなくて私に会った時に見初めてくれたらしいし?」
「そんなこと、絶対にさせる訳ないだろ。アリーチェは俺のものだよ」
フェリクスは容姿だけ見ると、完璧な男だ。けれどお姉ちゃんの事になると、本当にやばい男になる。
フェリクス一筋で純粋培養のお姉ちゃんと違って、私はそれなりに恋愛経験がある。途切れ途切れ聞こえてくる声から、その行為はあからさま。
やがて扉から、出てきた男を睨みつけた。こいつは、村を挙げての歓迎をしている時にお姉ちゃんがいないと聞くなり、周囲の人を吹き飛ばして、勇者のみに使えるというよくわからない秘術みたいな方法でここまで辿り着いてしまった。
「フェリクス。お姉ちゃん大丈夫なの」
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フェリクスはめんどくさそうに言った。こいつは、お姉ちゃんの前とそれ以外で人格を使い分けるとんでもな奴だ。お姉ちゃんの前では完璧な美男子を演じつつ、裏に回ればお姉ちゃんに手を出す奴らをボコボコにして暴言を吐きやばい男だと恐れられていた。
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まあ、わかってはいるけど。私としても、そこのところは確認はしときたいから。一応は、聞いといた。今までの傾向から言うと、冒険を終えた勇者と聖女は通例なら結婚するはず。だけど、お姉ちゃん命のフェリクスはお城に戻る気はさらさらなさそう。
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「そんなこと、絶対にさせる訳ないだろ。アリーチェは俺のものだよ」
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