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71 覚悟
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「いいえ。彼女の弟に、それとなく情報を伝えただけ。そうしたら、弟か彼女か。どちらかが、私が司の写真をアップしているのを、見たでしょうね。だから、私たちが彼女へ直接連絡をしないという、約束は破ってないわ。弟から、彼女に伝わったのよ」
「……俺の写真を? ふざけんな……話をせずに勝手に掲載されたのなら、俺にも考えがある」
「ふふ。訴えて肖像権侵害の慰謝料でも、請求する? その程度、何回でもいくらでも。払ってあげるわよ」
「なんでだよ……雪華さん。もう、俺たちが別れてから三年も経っている。俺だって、あの時のような何も知らなかった高校生じゃないよ。別れる時も、ちゃんと話し合ってお互いに納得して別れたはずだ。俺は雪華さんとは、一緒に居られない。二人の根本の考えが全く違うから、もう無理だよ」
芹沢くんは、苦しそうな表情だ。そんな辛そうな彼を見て、雪華は満足そうにして艶やかに微笑んだ。
「嫌よ。だって、私は司と付き合っている時が、一番楽しかったもの。あれから、何人かの男性と付き合ったけど、やっぱり、私には司しかいないって思ったの。だから、私と一緒に居ましょう。そうよ。そこまで大事な彼女のために、自分が犠牲になるなんて、素晴らしいことだと思わない?」
芹沢くんは、雪華の言葉を聞いて黙ってしまった。もう彼女には何を言っても無駄だと……そう、判断したのかもしれない。
雪華は芹沢くんを、苦しめて楽しんでいるんだ。
もし、本当に彼のことが好きならそんなことはしないはずだ。だから、雪華は芹沢くんのことを絶対に好きじゃない。彼を思い通りの玩具にして、楽しむつもりでいるんだ。
私は大好きな芹沢くんには、幸せで居て欲しい。もし、彼の幸せの邪魔になるというのなら、喜んで身を引くだろう。
私のために芹沢くんが、犠牲になる? 冗談じゃない。私の世界で一番大事な人を守るためなら。
そういう覚悟なら……この私だって、とうの昔に決めているのだ。
「ちょ、ちょっと! みーちゃん!!」
「え! 待って、待って!」
私はすっくと立ち上がり、引き留めようとしたゆうくんと赤星くん二人の必死の手を振り払った。
そして、立ち尽くしていた私の世界で一番大事な人。芹沢くんの前へと出た。
「……俺の写真を? ふざけんな……話をせずに勝手に掲載されたのなら、俺にも考えがある」
「ふふ。訴えて肖像権侵害の慰謝料でも、請求する? その程度、何回でもいくらでも。払ってあげるわよ」
「なんでだよ……雪華さん。もう、俺たちが別れてから三年も経っている。俺だって、あの時のような何も知らなかった高校生じゃないよ。別れる時も、ちゃんと話し合ってお互いに納得して別れたはずだ。俺は雪華さんとは、一緒に居られない。二人の根本の考えが全く違うから、もう無理だよ」
芹沢くんは、苦しそうな表情だ。そんな辛そうな彼を見て、雪華は満足そうにして艶やかに微笑んだ。
「嫌よ。だって、私は司と付き合っている時が、一番楽しかったもの。あれから、何人かの男性と付き合ったけど、やっぱり、私には司しかいないって思ったの。だから、私と一緒に居ましょう。そうよ。そこまで大事な彼女のために、自分が犠牲になるなんて、素晴らしいことだと思わない?」
芹沢くんは、雪華の言葉を聞いて黙ってしまった。もう彼女には何を言っても無駄だと……そう、判断したのかもしれない。
雪華は芹沢くんを、苦しめて楽しんでいるんだ。
もし、本当に彼のことが好きならそんなことはしないはずだ。だから、雪華は芹沢くんのことを絶対に好きじゃない。彼を思い通りの玩具にして、楽しむつもりでいるんだ。
私は大好きな芹沢くんには、幸せで居て欲しい。もし、彼の幸せの邪魔になるというのなら、喜んで身を引くだろう。
私のために芹沢くんが、犠牲になる? 冗談じゃない。私の世界で一番大事な人を守るためなら。
そういう覚悟なら……この私だって、とうの昔に決めているのだ。
「ちょ、ちょっと! みーちゃん!!」
「え! 待って、待って!」
私はすっくと立ち上がり、引き留めようとしたゆうくんと赤星くん二人の必死の手を振り払った。
そして、立ち尽くしていた私の世界で一番大事な人。芹沢くんの前へと出た。
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