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雨の国(ウノクニ)
しおりを挟むどこかで星が流れた。
それは砂漠の真ん中に落ちて、朝方光を失った。
地平線の向こうから朝日がやってくる頃、グウはその星が落ちたであろう場所へ駆けつけた。砂漠の砂に足を取られながら、吹き飛ばされてあちらこちらに飛び散る瓦礫を避けて進んだ。
枯れたオアシスの側で、辛うじて壁の一辺を残した場所にそれは落ちていた。
朝日を浴びて銀色に輝く繭は、硬い鋼を伸ばして編んだ様な冷たさを放っている。
グウは恐る恐る近寄って、その輝く繭に触れようと手を伸ばした。その手が触れる間際、ピシリと繭が軋む音を確かに聞いた。
触れるのを止めてよくよく見てみれば、繭に亀裂が入っている。亀裂は徐々に広がっていき、甲高い音を上げて繭は崩れた。
産声もなく、それは産まれた。
大きく伸びをして、ゆっくりと瞬きをする。
そして辺りを見渡した後、グウを見た。
「やあ、おはよう」
まるで昔馴染みにする様に片手を上げて挨拶する。
グウはそれを呆然と見ていたが、ハッと正気になって眉を顰めた。
「人間…?」
「いいや、僕は唯の人形。考えて動くことはできるけれど、生きてはいないんだ」
嘘か真かそんなことを言って、彼はグウを困惑させた。グウは考えて動く人形なんて見たことがなかったからだ。
揶揄われている気がして、グウは露骨に怪訝な顔をした。
明らかに面倒な相手だ。グウはクルリと踵を返して歩き出す。
「あ!待って!待ってよ、行かないで…っ…」
後ろから焦った様な声と、続いてドタリと硬いものが落ちる音がして、グウは反射的に振り返った。
その先で不格好に転がる姿にグウは少し躊躇って、しかし結局駆け寄った。
グウが手を差し出せば、ぎこちない動作で握られる。
「ありがとう、助かるよ」
「しっかりしろよ、もう…ほら、しっかり踏ん張って」
「おっとと、こう…かな?んん、難しい」
両の手にグッとかかった重さに、グウは声もなく驚いた。人間って、こんなに重かったかしら?と混乱する。
そんなグウを余所にヨタヨタと立ち上がった彼は、恐々と両足で踏ん張ってみせた。
「一人で歩けそう?」
「無理!無理だよ、離さないで!僕、まだ産まれたてなんだ。歩き方なんて分からないよ」
必死の形相で縋られて、グウはその勢いについ気圧された。
確かに、コイツ繭から出てきたばかりだものな。
少し気の毒な気持ちになって、グウはよく回らない頭で甲斐甲斐しく得体の知れない何某を支えた。
「…ほら、片方ずつ足を動かして。いち、に、いち、に…」
「い、ち…に、いち…に」
このままでは日が暮れそうな歩みだった。
グウは汗をかきながらフウフウ息を荒げたが、何某は顔こそ強張っていたが息ひとつ乱さない。
グウはグッタリして、とうとう何某共々砂の上に崩れ落ちた。
「ハアハア…ところで、アンタ、いったい誰なのさ」
「僕?僕はベンヌ。星が産み落とした人形さ。ところで、君、すごく疲れているみたい…水分を摂って休むことをおすすめするよ」
「あのねえ…」
誰のせいだと言いかけて、その体力もなくグウは黙ってため息を吐いた。
肩から下げた水筒を煽って、それからベンヌに残りを差し出す。チャポリと中身が音を立てる。
「アンタも飲んどきなよ」
「いや、いいよ。僕は生命活動はしてないんだ。だから、水も、勿論食べ物だって必要ないの」
ベンヌは少しも草臥れていない顔でニコッと笑った。
グウは黙ってもう一度水筒を煽って、人間じゃないって、と考える。
ベンヌは人間ではなく人形らしい。こうしてグウと会話し、不格好ながらも歩いておいて。
グウは奇妙な心地でベンヌを眺めた。
触れたベンヌの手は温かく、人肌の如く弾力があるように感じられた。しかし、その体を支えた時感じた、ズシリとした重さに命はないと言う。
汗もかかず、乾燥もせず、疲労もしない体は、確かに人ならざるものと言えるだろうが、ベンヌの表情を見れば見る程人形とは思えなかった。
グウは立ち上がると、無言でベンヌに手を差し伸べた。それを嬉しそうに握り返す手を、グウは確かめるように繋ぎ直した。
遠くから砂を巻き上げて走り来るそれに、ベンヌは勢い良く手を振った。何度も何度も振って、仕舞いには飛び跳ねてアピールする。
「おーい!ここだよー!ここ、ここー!」
その甲斐あってか、車はベンヌの側で砂埃を上げて止まった。
「やった!グウ!ねえ、グウったら!」
テントの中でグッタリと横になる体を揺すって呼びかける。薄ら目が開いたのを見て、ベンヌはよいしょとグウを抱き起こした。
「何だ、そいつ死んでるのか?」
「まだ生きてるよ!ギリギリね!」
「そうかい。死体を乗せる羽目にならなくて良かったよ」
運転席から覗く髭面の男はそう言って、親指で後部座席を指した。
お世辞にも丁寧とは言い難い運転で、車内は上に下に右に左によく揺れた。
「おじさん、乗せてくれてありがとう」
「良いってことよ。雨(う)の国までは乗せて行ってやれる」
「助かるよ。雨の国まではどれくらいで着きそう?」
「ざっと二時間ぐらいだな。そら、水だ。そっちの坊主に飲ませてやんな」
「ありがとう、そうするよ」
受け取ったプラスチックの容器はビッショリと汗をかいていた。その蓋を開けて、ベンヌは飲み口をグウの口元に持っていってやる。ゆっくり傾ければ、少ししてグウの喉がゴクリと動いた。
「…助かった」
何度かに分けて水を飲んだ後、グウは漸くはっきりとした声でそう言った。
「グウ、大丈夫?」
「だいぶ…まだ、ちょっと視界が揺れてるけど」
グッタリと肩に凭れ掛かるグウは、自身が揺れている理由が運転にあるとは思っていなさそうだった。
ベンヌは何も言わずにプラスチックの容器をグウに持たせた。
ノイズが酷いラジオから流れる曲に耳を傾ける。美しいソプラノであろう歌は、途切れ途切れで上手く聞き取ることが出来ない。それでも、ベンヌは熱心にラジオを聞いていた。
そうして、車が走る場所が砂漠から舗装された道になった頃、視界に大きなドーム状の建造物が見えた。
「あれは何?」
「昔の王の墓さ。直に雨の国に入るぞ」
男がベンヌに答えて直ぐ、バチバチと車に何かが打つかる音に包まれる。
湿った空気に気が付いたグウが窓から外を見ると、視界は白く煙って薄暗かった。
「丁度降ってきたな。流石は雨の国だ」
「雨…?」
「そうさ。雨の国だからな、頻繁に雨が降る。ザッと降って直ぐに止むから、国に入る頃には晴れるさ」
男の言う通り、雨は直ぐに止んだ。
濡れた地面に降り立って、カラッと晴れた空をベンヌは間抜けな顔で見上げた。
「こんなことって、よくあることなの?」
「いや、こんなによく降って直ぐ止むのはここだけだ」
ベンヌに男が答えると、バッと頭上で音が鳴った。何事かと見上げれば、建ち並ぶ建物の窓からシーツを持った手が出ている。
建物の間を張り巡らされたロープにシーツを掛けると、キュルッと滑車が回る。洗濯物を干しているのだ。
その様子をグウとベンヌがぼんやり見ていると、あちらこちらの窓から同じ様に洗濯物を干す手が伸びる。空はあっという間に洗濯物に埋め尽くされた。
「今干しても、また雨が降っちゃうんじゃない?」
「雨が降った後はえらく空気が乾くんだ。次の雨までの間には乾くさ」
風に揺れる洗濯物を見上げてベンヌが訊ねれば、男は荷物の整理をしながらそう答えた。
カラッと熱い風が吹き抜ける。
「俺は給水所に向かうが、お前さん達はどうする?」
「僕らは宿に行こうかな。グウを休ませなきゃ」
ベンヌがグウの体を支えながら言えば、男は深く頷いた。
「それがいい。お前さんもしっかり休めよ」
「うん。色々ありがとう」
ニコッと笑顔を作ってベンヌが手を振る。
それに答えるようにヒラリと振られた手を最後に、男を乗せた車は去って行った。
取り残されたベンヌの前髪を、乾いた風がサワリと揺らした。
足元のおぼつかないグウに肩を貸しながら、さてと歩き出したベンヌは道の向こうからこちらを見つめる存在に気が付いた。
傘を差し、赤い奇妙な仮面を被った何某が、ジッと二人を見ている。
仮面越しに確かに目が合っていることを感じながら、ベンヌはゆっくりとそれに近付いた。双方の距離が少し縮まると、何某はスタスタと歩き出す。
頭上をはためく洗濯物の音を聞きながら、ヨタヨタ歩くベンヌとグウの歩みは決して速くはない。だから何某との間には直ぐに数軒程の距離ができた。
その度何某は立ち止まって、ジッと二人が近寄るのを待っていた。何度か近付いては遠ざかりを繰り返した。
辿り着いた場所は一つの宿屋だった。
受け付けの老婆に案内された部屋は二階の一番端で、中では開かれた窓を背に何某が待っていた。
それに声を掛ける前に、ベンヌは一先ずグウをベッドに転がす。グウは僅かに呻いて、浅い呼吸の後に深く息を吐いた。
「…それで」
酷く掠れた声だった。
グウは薄らと開いた目で何某を見遣った。
「それで、アンタは何の用なのさ」
疲労していながらも警戒心の強い声だった。
グウは流浪の民である。長く旅をしてきた故に、これまでの経験から他人を端から信用する質ではない。
体調さえ万全であれば、こうして大人しく誘われたりなどしないのである。
「グウ、話は僕がしておくよ。だから…」
「ベンヌは黙ってな。こういう奴には、それなりに警戒しておくもんなんだ」
ベンヌの言葉はグウによってピシャリと遮られた。黙ったベンヌを余所に、グウは無理矢理に起き上がると真っ青な顔で何某と向き合う。
暫し睨み合いが続いた後、何某は徐にその面を外した。
鋭い射干玉の瞳が現れる。
「そちらこそ、この国に何用だ。見れば分かるぞ、それはドールだろう?」
象牙色の指がベンヌを真っ直ぐ指差した。
「ドール?それ、ベンヌのこと?」
「それ以外に何がある。というか、もしや、お前、ドールが何か知らないまま連れ歩いているのか?」
その信じられないとでも言いたげな眼差しに、グウはチラリとベンヌを見る。
「人間じゃないんだろう」
「そうだ。人間じゃない。だが、そうじゃない。おい、お前、本当に何の説明もしてないんだな」
非難がましい声に、ベンヌはグウをチラと見て誤魔化す様に笑った。
「信じられん…星落ちる時、王は立つ。王、国に成りて、星と共にそれを治める。亡国のおり、星は王と共に死す」
それは古い言い伝えであった。
グウも幼い頃、まだ共に旅をしていた祖母から伝え聞いたことがある。
この世界に存在する国は、星に選ばれた王に治められている。王と国は一心同体で、国が傾く時には王も病むという。
真偽はどうあれ、この世界の多くの者がただの寝物語として聞く話だった。
「その星がそいつだ。そいつは王を選び、国を治める為にある。それが、国も王も持たずフラフラと他国に踏み入るとは何事だ」
厳しい口調でそう言われて、グウは眉を顰めながらも何も言えずにいた。何せベンヌのことを何も知らない上に、話の半分もついて行けていなかった。
ふと、グウの脳裏にベンヌを見つけた日の空が過ぎる。
「ベンヌ…」
掠れた声で名前を呼べば、ベンヌは困った様な表情でグウを見た。
「分かっているとも。ちゃんと説明するよ…その前に、君の名前を聞いてもいいかな?」
ベンヌが訊ねると、何某は暫し沈黙した後深くため息を吐く。
「…オレはハラウェ。お察しの通り、この国のドールだ」
「よろしく、ハラウェ。僕はベンヌ。彼はグウだよ」
重々しく口を開いた後、ベンヌが差し出した手をハラウェは態と無視した。とても友好的とは言えない態度である。
ベンヌはやれやれと肩を持ち上げて、それからとりあえず自分とグウのことを話すことにした。
「…僕は確かに願われてこの地に降りたわけなんだけど、そこには国も民も無かった。瓦礫と砂だけの場所で、偶然にもグウが僕を見つけてくれたんだ。それでなし崩しに、共に旅をしているんだよ」
「国も民も無かっただって?そんな例は聞いたことがないな。では、そいつは王ではないんだな?まったく紛らわしい…」
ベンヌの説明に、ハラウェは呆れたように言うとグウに向き直る。
「ドールというのは、民に願われて王を選定する役目を持った、思考能力がある人型の無機物だ。王を選んだ後は、国が滅ぶまで王と共に国を治める。王は選ばれた時点で国と命運を共にするから、国が荒れれば王は病むし、国が滅ぶ時死ぬ。そして、王が死ねばドールもその機能を停止する。だからオレ達ドールは王を支えて管理して、少しでも国が長く続くように努めるのさ」
「な、なるほど」
「本来、ドールは予め降り立つ国が決められているもんだが、とんだイレギュラーだな。ベンヌは、王どころか国から見つけなきゃならない」
「そうなの?」
「そうだろ。だって、この国には既にオレと王がいる。そいつは必要ない」
非情な声だった。
グウは言葉もなくベンヌを見る。その目には当人より悲愴な色が滲んでいた。
「マ、そういうことだね。でも、僕は運が良かった。旅の友は直ぐ見つかったし、こうして他のドールとも出会えたしね」
「ま、前向き…」
あっけらかんとした様子でいうベンヌに、グウはガクリと肩の力を抜いた。
「あのな、普通は他所の国にドールが行く場合は書状がいるんだよ。余計な揉め事を避ける為にな。それも無しに国境を越えてきたお前らは信用に値しない、ただの侵入者ってわけ。入国した時点で捕らえられてもおかしくなかったんだぞ」
「そうなの?」
「王は自国のことならどんな異変も分かるからな、まあ今回は偶然近くに居たオレが様子見に寄越されたけどな。オレじゃなきゃ、事はもっと大きくなってたぞ」
ハラウェの言葉に、もし彼に出会えていなかった場合を考えてグウはゾッとした。
「でも、僕、国と王を探さなきゃ。その為には、グウと旅を続ける必要があるんだ」
「え、俺も行くの?」
「僕を拾ったのはグウでしょ?最後まで責任持って付き合ってよ」
「えー…」
共に旅を続けることが当然だと思っているベンヌに、グウは煮え切らない声を出した。
グウの旅に目的は無いが、これはとんだ誤算である。本人が知らない内に想定外にも、達成すべき目標が定まってしまった。
「…事情は分かった。仕方ない、どうにかならないか王と相談してみよう。方針が決まるまでは、この宿に滞在してもらって構わない」
「いいのかい?助かるよ」
少し黙って何やら考えていたハラウェの言葉に、ベンヌは明るい声を上げる。それに対して、ハラウェの射干玉の目が鋭く細められた。
「オレは一度城に戻るが、くれぐれも余計な事はしてくれるなよ」
「分かっているとも!心配いらないよ」
ニコッと笑うベンヌを、ハラウェは信用ならないと言いたげな目でジトリと見た。
グウは先の事を思って「自分がベンヌを御さねば」という責任感を抱いた。
「大人しくしてろよ、いいな!」
ハラウェは最後にそう念を押して去って行った。余程信用ならなかったのだろう。
それを見送って直ぐ、グウはバタリと倒れた。知らぬ間に張り詰めていた気が緩んで、今までの疲労がドッと押し寄せた結果だった。
そのまま半日寝通して目覚めた時、ベンヌが見知らぬ少女を連れていることに気が付いて、彼はもう一度気を失った。
それはグウ達が雨の国を訪れる数日前のことだった。
アーキという行商人が事故にあった。その場にいた人間を数人巻き込む、大きな事故だった。
市井を通る道の最中、アーキが御していたラクダのお尻を通りすがりの子供が叩いて、驚いたラクダは暴れて彼を落として踏ん付けてしまった。
牽いていた幌車が派手に倒れて積荷がドッと崩れた。それに巻き込まれた人間は、皆大なり小なり怪我をして、打ちどころが悪かった者は寝たきりになったりした。
アーキはそこで命を落とした。損傷した内臓が原因で、事故の責任も取れないまま死んだ。
彼には一人娘がいて、名をララーシャといった。六歳の彼女は他に身寄りもなく、守ってくれる大人もいなかった。だから、父親が起こした事故の責任も取れず、被害者の家族からの憐みと恨みがましさが混じった目にも一人で耐えねばならなかった。
世間の当たりは厳しく、寂しさと悲しさでララーシャは次第に外に出られなくなってしまった。
午後の暗い空からザッと雨が降ると、ララーシャは決まって声を上げて泣いた。それ以外どうしようもなかった。その雨も直ぐにカラリと止んで、人々が動き出す中で彼女は一人取り残されたような、爪弾きにされたような気持ちになるのだった。
人も、街も、嫌いになってしまった。
一生この場所で生きていくなんて、幼いララーシャにはとても耐えられないことのように思えた。
どこか遠くへ行きたい。それか、父と母と同じ場所へ、と思うことが増えた頃、ララーシャは一人の不思議な少年と出会ったのだ。
「ごめんください。少しここで雨宿りさせてもらいたいんだけど、構わないかい?」
ノックの音にドアを開けば、彼は少し湿った空気を纏って立っていた。断る理由もなかったから、ララーシャは小さな声で「どうぞ」と言った。
急な雨の中、ララーシャの家の軒先に入って来た彼はベンヌと名乗った。歳の頃は、十五、六といったところか。
「僕、旅人でね。僕にピッタリな国を探して、旅をしているんだ」
「…安住の地を探してるってこと?」
「うーん、住む場所は探してるかな。そこを安住の地に出来るかは、僕らの仕事次第かなあ」
彼はそんな不思議なことを言って、止み始めた空を見上げた。シトシト勢いを失くして、そして静かになる。
「本当に直ぐ降って、直ぐ止むんだね!雨宿りさせてくれてありがとう、助かったよ」
そう言って去ろうとする背中を、ララーシャが追いかけたのは咄嗟のことだった。
「待って!」
叫ぶように言って、直ぐに言葉に詰まった。呼び止めて、どうしようと焦る。ララーシャは理由を用意していなかった。
ベンヌは不思議そうに振り返って、小さなララーシャを見下ろした。
「どうしたんだい?」
「えっ、と、あの…」
口籠もるララーシャに、ベンヌはその目線を合わせるように蹲み込んだ。
「…何か、僕に話したいことがあるんだね。分かったよ。君さえ良ければ、僕らが泊まってる宿においでよ。そこで話を聞く」
ベンヌに誘われて、ララーシャは反射的に頷く。どうしても、このまま別れる気になれなかった。
「僕らは砂漠を通ってこの国に来たんだけど、連れの具合が思わしくなくてね。宿で休んでもらってる間に、僕はこの国を見て回っていたのさ」
ベンヌは道中よく喋った。話に夢中になって、何度かララーシャを置き去りにして行きかけた。
途中で歩幅の差に気が付いたのか、ベンヌはララーシャの方を向きながらゆっくり歩き出した。ララーシャはそれにこそばゆい気持ちになりながら、可能な限り大股で歩いた。暮れかけた陽を背に、カラリと乾いた風を浴びながら。
幾度か角を曲がって暫く歩いた先、二人は青い屋根の建物の前で立ち止まる。
「ここだよ。部屋はこっち」
ベンヌに連れられて、ララーシャは二階の角部屋に向かった。
部屋は窓が閉められて暗かった。廊下から差し込む明かりに照らされて、ベッドから半身を起こした人影を浮かび上がらせている。
「グウ、ただいま。起きて大丈夫なの?」
「…んん、うん。だいぶ…」
ベンヌと同じ位の少年が、青い顔をしてこちらを向く。その目がララーシャを捉えて、数度瞬いた。
「…ベンヌ、その子は?」
「ララーシャだよ。街で会ったから連れて来た」
ベンヌが答えると、少年は体を勢い良く倒して気を失った。
「え。ちょっと、グウ?また寝ちゃったの?」
慌てて駆け寄ったベンヌが揺り起こすと、小さな唸り声が上がる。
グウは再び体を起こすと、頭が痛いとでも言うように額を手で擦って顔を顰めた。
「どこから連れて来たの?下手すると誘拐だぞ」
「雨宿りさせてもらったお家の子だよ。ダメだった?」
「ダメって言うか…」
「誘拐の心配はないわ。私、親いないもの」
そう言って、ララーシャは咄嗟に泣くのを堪えた。ハッと固まってララーシャを見る二人を、彼女はグッと手を握りしめて見返した。
「私、この国を出たいの。だから、二人に連れて行ってもらおうと思って来たのよ」
ララーシャは硬い声でそう言い切った。
困惑した顔をするグウに代わって、ベンヌが口を開く。
「どうして国を出ようだなんて思うんだい?」
「父が大きな事故を起こしたの。父は死んで、大勢の怪我人が出たわ…子供の私じゃ、償うこともできない。この国に私の居場所はないの」
ララーシャは瞬きをしないようにして、ベンヌの問いに答えた。泣いてはいけない。その一心だった。
「…それは、国を捨てるってことだぞ。流浪の民になるってことだ。流浪の民は、その大半が罪人だ。一度国を捨てれば、一生そういう目で見られる。よく考えなよ」
「私は罪人の娘よ。それくらい、ちゃんと覚悟してるわ」
グウに冷たく諭されても、ララーシャは意固地な姿勢を崩さなかった。
流浪の民とは国に属さず、定住しない者達だ。その大半が罪を犯して国を出なければならなかった者であり、身分を証明する物を持たず、他者との交流を避けて生きる。故に、表立って迫害されることはなくとも、歓迎されない存在なのである。
それはララーシャとて知らない訳ではない。それでも、やはりララーシャはそれしかないと思った。彼女なりに考えた答えだった。
暗い部屋の中、二人が睨み合う。
「あのな…」
「まあまあ、二人とも少し落ち着いて!ハラウェが戻って来るまで、まだ時間もあることだしさ」
グウが口を開きかけたところで、ベンヌが間に入る。彼は部屋の明かりを点けて、ララーシャを見た。
「ここは良い国だ。清潔で豊かで活気があって…でも、それだけじゃダメな時もある。君が考えて出した答えだ、僕らもよく考えてみるよ。だから、少し時間を貰いたいな」
「ベンヌ、俺は絶対反対だからな!」
「まあまあ、考えるだけ考えてみようよ!ね!」
腕を組んで反対を主張するグウの背を、ベンヌはトンと叩いた。そして、ララーシャをチラと見てひっそりとウインクした。任せろということらしい。
ララーシャは久しぶりに明るい気持ちになる。やっと味方と出会えたと思った。
「ありがとう…お礼に何かご馳走出来たら良いんだけど…」
「ああ!そんな、気を遣わなくて大丈夫。グウは病み上がりで粥しか食べられそうにないし、僕は人間じゃないから食事は必要じゃないんだよ」
「ええっ、人間じゃない?どういうこと?」
明るい調子で言うベンヌに、ララーシャは目を見開いて驚いた。
グウはやれやれと上を向いて、苦々しく呟いた。
「まあ、色々事情があるんだ…」
そんなことは気にも留めないで、ベンヌはニッと明るく笑った。
「まあ、それは追い追い、詳しく話すよ。僕ら、事情があってハラウェって奴を待っててね。彼が来たら、この国を出るんだ。だから、その前に一度、君の家を訪ねるよ」
「…そう、なの。とりあえず分かったわ」
凡そ理解が及ばなかったが、ララーシャはとりあえずはここらで引き下がることにした。追い追い、全て説明してもらうこととして。
「僕、そろそろララーシャを送ってくるよ」
「うん…気を付けてな」
窓の外の闇を見れば、空には星が瞬いている。その下、見送りに出てきたグウに背を向けて、すっかり乾いた道を二人は歩き出した。
不意にララーシャはクルリとグウを振り返る。
「またね、グウ」
ララーシャはそう言って、今度は振り返らずにスタスタと歩き去った。それに少し遅れて並んだベンヌはフフと笑った。
ハラウェが城に戻って五日後のことだった。グウとベンヌ宛に電報が届いたのだ。
『フツカゴ モドル』
差出人はハラウェだった。
窓辺から雨の国特有の驟雨を見ながら、二人はその二日をダラダラして過ごした。
電報が届くまでは砂漠で集めた鉄屑や動物の骨や皮を路銀に変えたり、日雇いの仕事をしたりしていたから、グウの体力を考えてのことだった。
食料品や日用品を買い足す以外の外出は控えた二日間を過ごして、朝方ハラウェは訪れた。
トントントンとノックの音で目が覚めたグウの代わりに、夜通し読書をしていたベンヌがパッとドアを開ける。奇妙な仮面を被ったままのハラウェは、黙って部屋に入るなり固く拳を握ってベンヌを殴った。
勢いよく倒れたベンヌをグウが呆然と見ていると、ハラウェが徐に仮面を脱ぐ。
「オレは面倒を起こすなと言ったはずだが?」
ハラウェは低い声でそう言って、恐ろしく冷たい顔をした。彼曰く、この国の王の耳目から大体の事情を把握しているらしい。
「正直、すまんかった」
「…まあ、いい。それで?結局、あの子供は連れて行くのか?」
グウがビクビクしながら謝れば、ハラウェは意外にもあっさりと気を鎮めた。
「ええ…この国の民だろ。アンタ達はどうなんだ?いいのか、勝手に連れて行って」
ベンヌを引き起こしながらグウが訊ねれば、ハラウェは少し黙って深く息を吐いた。
「この国には孤児を保護する施設も、支援する制度もある。だから、今から手続きすれば、最低限の生活は保証される。しかし、彼女の心は完全にこの国から離れてしまった」
やるせない顔で、ハラウェは俯いた。
「どんなに国の制度や環境を整えても、不慮の事故や病で民は死ぬ。それで傷ついた心は救いきれない。加害者側となると特にな…王はあの子の心のままにと仰ったよ」
そう言ったハラウェの声に、いつもの覇気はない。
グウはかける言葉もなく、その下がった肩を見つめた。
「じゃあ、僕らが引き取っていいんだね?」
「…すまない。こんな…押し付けるようなことになって…」
「ううん、そんな悪い言い方しないでよ。彼女の行く末は明るい。僕らの旅の途中か、その終着で、あの子はきっと幸せになるんだから」
肩を落とすハラウェに、ベンヌは励ますような声でそう言った。そして、明るい顔でグウを振り返る。
「彼女の心は疲れていて、ここの気候が少し合わなくなっただけ。だから、これから気晴らしに旅をするだけなんだ。ねえ、グウ!僕らならきっと素敵な旅になるよ」
一体、どんな未来を想像しているのか。瞳を輝かせるベンヌに、グウは小さく頷いた。
「ハラウェ、俺たち、ララーシャを連れて行く。そして、きっと安住の地を見つけるよ」
「…ああ、頼んだ」
グウが差し出した手を、ハラウェは祈るように両手で握り返す。その時のハラウェは人間と見分けがつかない程、人間味が滲み出ているようにグウは思った。
少しして窓から聞こえる雨音を聞きながら、三人はテーブルを囲んで向かい合っていた。
テーブルには巻かれた洋紙と木の札が三枚置かれている。
「ここら東へ向かったところに河がある。そこの船で海へ出ろ。船にはそのまま北へ進むように言ってある、黙っていても勝手に出会す」
「出会す?何に?」
「海を動き回る『碧の国』。国自体が巨大な船だから、予め航路の確認をする必要があってな。そこの王とドールに話を通すので時間がかかった」
「へえ、面白い国だね。僕、船は初めてだよ」
ハラウェの話にウキウキしだすベンヌを余所に、グウは木の札を手に取る。
「これは何?」
「通行証だ。一人一枚、肌身離さず持ってろよ。それがお前達の身分証にもなるんだから」
「なるほど…こっちの紙は?」
「碧の国王に渡す書状だ。入国して直ぐ、あっちのドールが迎えに来るから、忘れずに渡すように。ドールの名前はソフロシネだ」
ハラウェの言葉に、グウとベンヌは神妙な顔で頷いた。ハラウェと雨の国王は、三人の旅が円滑に進むように、随分と手を尽くしてくれたらしい。
「ハラウェ、何から何までありがとう」
「本当にありがとうな」
ベンヌとグウが礼を言うと、ハラウェはフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「別に。王が同胞には慈悲をと言うから従ったまでだ。さ、明日の早朝には出てもらわんといかん。今から荷物でも纏めるんだな」
「ありがとう、そうするよ」
素直じゃないハラウェに、ベンヌはフフと笑って頷いた。
「ララーシャにも、今日の内に声をかけておこうか」
「だね。僕、後でララーシャの家に行ってくるよ」
グウの提案にベンヌが頷く横で、ハラウェは黙って奇妙な仮面を着ける。
「ハラウェ、帰るのかい?」
「ああ。オレは明日の見送りには行かん。だから、お前達ともこれきりだ」
ベンヌにそう返す声は素っ気なかった。最後の最後までと眉を下げるグウだったが、ベンヌは明るい顔でハラウェの手を握った。
「きっと良い国にするから、そしたらまた会おうね」
「…せいぜい、頑張るんだな」
ハラウェは仮面を少し持ち上げて、ニヤリと口元で笑うと部屋を出て行った。
雨の国は建国百五十年だという。その国のドールと再び会い見えることは、一体どれ程先の約束になるのだろうか。それでも、ベンヌの顔には悲愴の翳りは見当たらなかった。
グウはそのベンヌの顔を見て、こっそり微笑んだ。どこまでも人間らしいな、と思った。
雨が止んだ頃合いで、ベンヌはララーシャを宿に連れて来た。
どこか興奮しているらしいララーシャは、グウの顔を見るなりその体にヒシと抱き付いた。
「ありがとう、グウ」
顔を上げたララーシャの瞳の輝きに、グウは一瞬言葉に詰まった。その瞳は、これから故郷を捨てる者の目にはない希望が垣間見えたから。
「今夜はここに泊まって、日が昇る前に一緒に出立しよう」
ベンヌの提案に頷いて、グウとララーシャは明日に備えてそうそうに眠りに就いた。
寝息を立てる二人を尻目に、ベンヌはカンテラの灯りで本を読む。街へ出た時に偶然見つけた貸本屋の老主人が、厚意で譲ってくれたものだった。
ベンヌは人間ではないから眠る必要がない。だから、この長い夜を本を読むことで過ごしていた。
ドールはある程度の知識と感情が備わった状態で産まれてくる。しかし、そこに経験は伴っていない。だから、グウと共に旅をする間に気が付いた自身の経験不足を補う為に、ベンヌは本を読むことを習慣としていた。
共に旅をするのなら、分かり合っていたいと思う。ベンヌが痛みや温度を感じられない分、グウとは他のものを共有したいのだ。
新しく増えた仲間の少女も含めて、寄り添う存在でありたいと思った。
翌日、日が昇る前。三人は宿を発った。
東へ向かって歩く足取りは軽い。
「水の音がする!」
そう言って駆け出したベンヌを追った先、登り始めた朝日を浴びてキラリと光る水面を見た。水は滔滔として、大河の岸辺には何艘かの船が繋がれている。
その内の一つから、大きな体躯の男がこちらに手を振っている。三人が駆け寄れば、男は日に焼けた顔でニッと笑った。白い歯が覗く。
「通行証はあるか?」
「は、はい」
ガッシリと大きな手にグウは木の札を差し出した。
男はジッとその札を見て大きく頷く。
「うん、確かに!さ、乗りな。直ぐ出るからな」
「うん!これから世話になるよ。よろしく!」
ベンヌがピカピカの笑顔で言う横で、ララーシャとグウもペコリと頭を下げる。そして、漸く船に乗り込んだ。
「錨を上げろ!」
男の野太い声が響いて、いよいよ抜錨の時が来た。船は飛沫を上げて動き出す。
三人は慌ただしく動く船員達の合間を縫って甲板へ出た。向かいから吹く風が、ブワリと髪を持ち上げる。
岸から遠ざかり、船が目指すは広い海だ。
「動いてる!」
「私達、これから海に出るのね!」
興奮しているベンヌとララーシャの横で、グウは声も無く前を見据えた。初めての海路への不安と期待を噛みしめながら、未だ見ぬ国へと思いを馳せた。
「おおい!雨が降るぞ!中に入りな!」
甲板に出ていた三人に船長が声をかける。見れば確かに、空は翳り出していた。
ここはまだ雨の国だ。しかし、直に抜けるだろう。
降り出した驟雨の音を聞きながら、ララーシャは少し瞳を潤ませた。薄暗い船内でそれに気が付きながらも、ベンヌもグウも何も言わなかった。
暫くの沈黙の後、遠ざかる故郷を背に彼女はクッと顎を引いて背筋を伸ばした。ララーシャは強い眼差しで、ジッと前を見据える。
オッという様子で片眉を上げたグウは、ベンヌと顔を見合わせて笑った。小さな背中が振り返らないのを見て、その決意を肯定する笑みだった。
これから先は、振り返れど簡単には戻れない。だから、誰も彼も前を向いているしかないのだ。その先に、晴れ間があると信じて。
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