雷鳴が導くままに ~とあるさがし物探す鳴神月れいめいの冒険譚~

鳴神月れいめい

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「私の声を聴き逃さないで。どうか…どうかあなただけは生きて。私の大切な……」
「××××様!お願いです。この国には××××様の力がまだ必要なんです」

 また同じ夢。僕は気がついたらこの国で倒れていたところを助けられた。記憶はあのやりとりだけが薄く残っていた。声の主の名前は愚か顔すら思い出せない。
「今日はいつもの依頼の日か」
 毎週医の日は孤児たちの学習の場である冒険者養成学校で授業がある。闘と創と冥の日はギルドで依頼をこなす。魔と地と海の日は休み兼依頼の予備日や準備に使っている。残りの天の日は僕のスキル「雷鳴ノ声アストララレオ」が大きく共鳴する。この日は決まってあの声の主を探す旅に出る。

「やべもうこんな時間!早く行かなきゃ子どもたちに怒られちゃうな。よし準備オッケー。ライト転移」
「先生ー!おそーい!」
「先生が遅刻してるじゃん!」
 案の定子どもたちに注意された。この声を聞くと医の日の1日が始まる感じがして不思議と心地よい。

「ごめんごめん!早速授業はじめるぞー」
 今日は戦闘訓練をすることにした。僕の得意な属性を基本的に教えることにした。
この世界では空間、聖、闇、火、土、水、雷、風の属性がある。先天的な得意属性は必ず1人1つある。かと言って他の属性が使えないわけではなく、威力が上がらなかったり生活魔法程度しか取得できない。後天的なものはほとんどが神からの寵愛だ。
「先生は雷が得意だから雷を重点的に教えるぞー!」
あっという間に授業の時間は終わり、放課後子どもたちに囲まれていた。そこに1通の手紙が届く。
「先生の恋人?かわいい?かっこいい?強い?」
 恋人からの連絡ならどれほど良かったか。嫌な予感しかないギルド本部総合ギルドマスターからの呼び出しだ。もっとも恋人なんていないのだが。

 神域戦争。多くの人や自然、亜神すらも失った神と神ならざる者の戦い。そしてこの国リベルタスは唯一の8神全てを信仰し、多種族共生国家である。8神。創造を司る神々の頂点主神、命の守護者医神、魂の管理者冥神、魔力の指導者魔神、大地の聖母地神、紺碧の支配者海神、太虚の傍観者天神、攻戦の軍旗闘神の8人。
 神域戦争は神すらも疲弊させた。その中でも天神は治療に専念のため天神の席を退いた。その席は数千年経つ今現在も空席である。この1席を巡って大きな渦に飲まれることとなる青年とその友人の物語である。
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