異世界に渡って妹を探します！

裏章 悪に導かれし者

裏1話 勇者を狩る者 1

「さっさと起きろ！起きて酒買ってこい！」

俺が寝ていると怒鳴り声で強制的に起こされた。

声の主は絵に書いたようなほどクズな父親だ。

「うっさいな、自分で買ってこいよ！クズが！」

俺はいつも反抗気味に言い返す。

そしていつもボコボコに殴られる。

何発かグーパンをもらいボロボロになりながら家を出てお酒を買いに行く。

屈したくはないが、俺には力がない。

とぼとぼ歩いて酒屋まで歩いた。

酒屋まで着くとお店の中に入って、1番安くて量が沢山あるお酒を買う。

それがいつもの流れだ。

この店は親父の行きつけなので、息子の俺が来ても店主は買わしてくれるのだ。

大人では軽くともまだ10歳の俺にはこの瓶は重たいのだ。

ゆっくりと少し引きずり気味に来た道を戻って行く。

「重たいか？」

ふと、どこからか俺をバカにするような声が聞こえて来た。

「重たいに決まってんだろ！」

「毎回こんな重いもん運ばせやがってよ！」

いつか痛い目に合わせてやると決めている。

10歳にしてこんな考えを持ってしまっていることに俺は自分に呆れていた。

「10歳にしては凄い憎しみを持っているなw」

「親を殺したいなんて、そんな力もないくせにw」

おれをバカにするような言葉が、また聞こえた。

周りを見渡しても人の気配はない。

「どこを見ても私はいませんよ。それにあなたにしか聞こえてませんからw」

俺は殴られすぎて、頭が狂ったんだろう。
そう思うぐらいおかしな事を体験している。

「勝手に本題に入るけど良いよな、あなたは親を殺すため力が欲しいだろ？」

「なら私があなたに力をあげよう。欲しいかい？」

唐突な話で話については行くのがやっとだった。

しかし俺はとっさに欲しいと言っていた。

「そうか欲しいか、なら受け取るが良い」

そう言われたので身構えていると、空から紫色の光が降ってきた。

つづく