【本編完結】まさか、クズ恋人に捨てられた不憫主人公(後からヒーローに溺愛される)の小説に出てくる当て馬悪役王妃になってました。

本編1

中編１

　エミュー領の領主館に住んで3ヶ月すぎた所へ僕宛に誰か尋ねてきた。僕の知り合いつまり、王侯貴族の友人が、お忍びで来るかもしれないと思ったので、館の人達には、その人物だけを部屋に案内するようにお願いした。もちろん何が起こるか分からないので、見えない所に護衛さん達を配置してもらって

　コンコンとノック音がしたので、僕が入室を許可するとドアが開き入ってくる人物を見て驚いた。
　その人物は、予想してた方じゃなく

「オウヒサマーあ、今は元あるね。お体大丈夫あるか？」

「えっ！？ノガン何でここに？」

「ロードナさまの主治医はワタシあるから、お城の医者はやめたよ。だから、こっちに来たあるよ～エミュー領でも宜しくある」

「えぇっ！？」

　まさか、王宮に勤めていたノガン
　彼は、こんな口調だけど優秀な人だ。特にお産関係は彼に聞けば、すぐに解決すると言われてるぐらいだ。


「ロードナさまは、ここに来たのは正解あるよ。もう王さま、あの新しいお后さまが大好きすぎて大変だったのよ。あの后が少しでも落ち込んだり、食欲がなくて食事ちょっぴりだけだと、そのたびワタシよんでウザウザだったよ。あとロードナさまがお城にいたら、色々と巻き込まれて大変だったと思うよ」

　うわあ、めちゃくちゃ、ノガンがストレス溜まってる。予想通り、主人公すごく大事にされてるねえ、自分が王妃をしてる時と大違いだ。

「ノガン、僕もそう思よ」

「ワタシもここに来た理由のひとつにアレよ。あのままお城にいたらワタシも消される所だったのよ～」

「はあ！！消されるって、ノガン、もしかしてククルー様のお子を誰の子か調べちゃったの！？」

「ロードナさま、ワタシ道具なくても、誰の子か分かるスキル持ちなのよ。嫌でも診察中わかってしまったのよ。そのことヲ知ってる上司にひと月前に、オマエは病気になったから仕事をやめて空気のいい所で養生するとヨロシいって言われたから、バレないうちにエミューに来たわけある」


　ひえええっ
　ノガンも危機一髪だったのか、ノガンの上司さんもグッジョブ！それにしても、原作ではそんなスキル持ちのノガンが王宮にいた事は書かれてなかった。もし、原作の悪役王妃もノガンが登場していたら、処刑されなかったんじゃ……あー何か、すごく嫌な憶測が出てきたよ、きっと原作の王妃様も誰かに嵌められたかもしれない。その誰かなんて、あの人しかいないよねえ……けど、こっちの僕は助かったから、もう考えるの止めよう。タラレバより今からの生活が大事だ～！！

　コンコン。
　ドアをノックする音が聞こえたので、僕が
「はい、どうぞ」と返事すると

「失礼する、ロードナ様、貴方の主治医だったノガン殿がこちらに来られ……る！？もう、いらしていたのか」

　手に書簡を持って部屋に入ってきたのはエミュー卿こと、トウワ・エミュー様だ。

「トワ様、その書簡いつ来ましたか？もしかして……ノガン、王都内に送る感覚で書簡だしちゃったの？」

　そう、王都なら遅くて１週間以内には、すでに届いてる先ぶれの書簡、けどエミュー領に出すなら速達の魔法を使える運送会社に頼まないと、すぐには届かないのだ。

「ああ、ロードナ様の言うとおり、先ほど、届いたばかりです。消印を見たら、2週間前になってますね。エミュー領に届く書簡は、早くても2週間以上かかる事が多い。ノガン殿が知らなくても仕方ないかと」

「アイヤー、エミュー卿。ワタシうっかりしてたヨ、申し訳ないあるね、久しぶりにロードナ様に会えると思っていたカラ、普通に王都にいるみたい出してしまったね」
　 
　あれ？けど書簡が2週間前に送っていて今日届いてるのに、ノガン本人は、今日着いてる？ん？

「ノガン、それだったら王都から出した書簡と同じ2週間でエミュー領地に到着してるよね？もしかして、王都から早馬で来たの！？えっ体は大丈夫なのかい！？」

　体を鍛えた人でも、早馬で来るのは大変なのに、ケロッとしてるノガンに、どうやってエミュー領地に来たのか尋ねると

「ロードナさま、ワタシ、馬車も馬も酔うから、コレで来たあるよ！ほらコレッ昔、ロードナ様がくれた3回まで使える転移用スクロールお１人様用を使ったあるよ」

　あ～っなるほど！マリー様から頂いたスリースクロールか！確かにコレを使えば馬車を使わないで来れるね。

　そう、ノガンが使用した転移用スクロールは、僕と同じ異世界転生者で今世は、ハーゼルナッツ帝国のマリー女王陛下が「ローちゃんは私と一緒(前世の国が)よ～嬉しいっ」と言って僕と仲良くしてくれてるのだ。
　そして「うちの国の天才魔術師ちゃんが作ったからあげるねっ♡」と普通は1回しか使用できない魔法のスクロールを、3回まで使えるようにしたスリースクロールを同じ転生仲間の僕にもポンと箱いっぱいくれたのだった。

　沢山あるから、僕の大事な人にも、お裾分けしてねとお手紙つきで、それで王宮にいたお世話になっていた人達に渡していた事を思い出した。

　スクロールあげていて良かったあ。改めて、マリー様にスクロールのお礼の手紙と、あとはエミュー領で、採れた美味しい物たちと一緒に送って差し上げようっと！