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ユベルに貰った苺はたくさんあったので、草地にすわってユベルと一緒に食べようとしたら、そばにいた副団長のロジュもそれを目にしてやってきた。
「美味そう。俺も一ついいですか」
どうぞどうぞと俺が勧めると、副団長が俺の隣に腰を下ろす。向かいにすわるユベルが恨めしそうに副団長を睨んだ。
「あっちに生ってましたよ。ご自分で摘んできたらいかがですか」
「いいだろ、一つくらい」
副団長はニヤニヤしながら苺を口に入れる。食べてもその場を離れる様子はない。
「食べたなら、どっか行ってくださいよ」
「あー、聞こえんなあ」
旅の道中や宿での団員たちの様子を見ていると、ユベルに限らず他の団員も副団長にはこんな調子で遠慮がない。
「皆さん、仲がいいですよね」
「ええ。まあ、俺の人徳ですよね」
副団長がニヤリとする。すかさずユベルが口を挟む。
「副団長じゃなくて団長の人徳ですよ」
「それ、本気で言ってないよな?」
「もちろん本気ですよ。皆、団長に心酔してるんです。副団長だってそうでしょう。騎士団は団長がいるからまとまってるんです。ただ……団長の愛想のなさとか口数の少なさを、副団長が補ってくれているとは思ってますけど……」
「なんで最後は小声なんだよ。もっと声を大にして、自信をもって俺を褒めろ」
ユベルの言う通りで、団長はカリスマ性があるが、圧が強すぎるし愛想がない。それを副団長がほどよく緩和しており、バランスのよいコンビとなっている。
「私もそう思います。ロジュの団員への気配りは素晴らしいと思っています。今もこうして、嫌われ者の私にも声をかけてくださる」
ユベルがハッとした顔をする。
「嫌われ者なんて、そんな」
「あー。イヴォン様。わかっておいでと思いますが、団員たちは恐れ多くて、あなたに話しかけたくてもできないだけですからね。それに最近はけっこう、遠慮を忘れて話しかけるやつも増えたでしょう」
「しかし、私が金の亡者と呼ばれているのはご存じでしょう?」
副団長が頷く。
「そんな噂、今じゃ誰も信じちゃいません。団員は、旅のあいだにあなたの献身的な姿を間近で目にしていますからね。少なくともここにいる者たちはあなたを嫌うどころか敬意を抱いていますし、お近づきになる機会を窺っていますよ。ここにいるユベルのようにね」
「俺だけじゃなく、副団長もでしょう」
「否定はしない」
耳を赤らめて文句を言うユベルに、副団長はニヤリとする。
俺は控えめに微笑んでみせた。
「そうだったら嬉しいですけれど。団長の態度を見ると、とても警戒されていて。嫌われているのだなと思わざるを得ません」
副団長が笑って首を振る。
「いやいやいや。団長こそ、ですよ。わかりにくいでしょうけど、普段からあの人を見ている者からしたら明らかに、イヴォン様への態度が変わってますよ」
「そうでしょうか」
「ええ。表情とか、態度とか」
「そうですか……だったらいいのですけど。嫌いな相手と一緒にいるのは、団長も辛いでしょうから」
とぼけてみせたが、団長の態度が軟化してきていることは俺も気づいている。副団長の目にも態度の変化が認められていると確認し、今後の対応をどうするか考える。
「辛いわけない。あれは絶対、役得とか思ってる」
「……そこまでは、ないでしょうけれど」
「いいえ。だって宿も野営も、ずっとイヴォン様とのペアを譲らないでしょう。要警護対象はアオイだし、イヴォン様の警護だったら神殿騎士に任せればいいのに」
「それは私を警戒しているからだと」
「初めはそうだったかもしれませんが。今は絶対それだけじゃない。部屋割り、替われることなら替わりたいけども、団長は替わってくれないだろうなあ」
「あの、主教様」
ユベルが、ちょっと躊躇いを見せてから俺に尋ねた。
「俺はヒーラーなんで、主教様の魔力の様子がわかるんですが……治癒魔法使いまくってて、ほぼ毎日、魔力切れギリギリですよね。でも翌朝には戻っている。ものすごく回復が早くて驚いているんですが、あれって……」
「団長に魔力供給していただいています」
「……それは、もしかして、毎日?」
「ええ。お手間をかけて申しわけないことですが」
団長からの魔力供給は、カスカーベ以降も毎日受けていた。肯定すると、ユベルが固まり、副団長がマジかと呟いた。
「そういうことかよ……」
「……団長、ズルい」
「だな。だがこれも役得ってやつなんだろうなチクショウ。悔しかったら俺たちも団長になるしかないな」
「いえ、私のほうこそ申しわけない。団長を慕う者から恨まれそうです」
「いやまあ、団長もモテるけれども」
「そういう目で団長を見るやつ、今は団員にはいないですよね」
「いるだろ。第一部隊からは俺が排除したが、他の隊には大勢いる」
第一部隊にいないということは、この討伐騎士団にもいないということだ。よかった。毎日キスしているのがばれて嫌がらせされたら嫌だ。
「大勢いるんですね」
「いますねえ」
「団長は男女問わずというか、むしろ男のほうに人気かもしれません」
そうだろうと思う。
俺から見たら、俺よりも団長のほうがモテるだろうと思う。恐ろしく強いのに気品ある立ち居振る舞い。顔も身体つきも文句なくよく、男の色気が漂う。女遊びもせず誠実な性格。家柄も申し分なく、国王の信も篤い。こんな上等な男は他に知らない。
「浮いた話とか聞いたことがありませんね」
「剣馬鹿ですからね。ちゃんとした恋人ってのはいたことないんじゃないかな。今は侯爵家当主ですしね。浮ついたことは控えてるのかな。魔物討伐の問題も抱えてるし、忙しくて余計なことをしている暇はないんでしょう」
副団長の話を聞いていると、ユベルがじっと俺を見つめていることに気づいた。ニコリと微笑んで言ってやる。
「ユベルも格好いいから、モテそうですね」
ユベルが目を見開いた。その顔がてきめんに赤くなる。
「あ。もちろんロジュも格好いいです」
「とってつけた感! 気を遣った言い方は逆に傷つくんですけどー」
「ごめんなさい。でも本当ですよ」
俺は笑って苺を口に運んだ。
「うん、美味しいですね。どうもありがとうユベル。ユベルも召し上がってください。ロジュも、一つと言わずどうぞ」
俺がもう一つ苺を口に入れると、ユベルが俺の口元を凝視して、喉仏を動かした。ロジュもチラリと見て、ユベルのほうへ視線を逸らす。
「おい、ユベル。見過ぎだ」
「あ……失礼しました」
ユベルが慌てて俺から目を逸らし、苺を摘まむ。
食べている姿を凝視されることはよくある。ごく普通に食べているし、特別エロ臭い食べ方をしているわけではないのだが。俺に気がある者はそういう傾向にある。
これ以上ユベルに粉をかけると、本気にさせてしまうかもしれない。俺のミッションは、アオイよりも関心を引ければいいのだ。本気にさせて襲われたり口説かれたりしたら厄介なので、今後は少し距離をとるべきだろう。
野営地の設営の諸々がまだ残っているとかで、ユベルと副団長が離れていった。俺は暇だったので、自分の天幕へ戻り、その途中で目に入った黒馬へ近づいた。
団長の愛馬、ローガーだ。
「ローガー、こんにちは。いや、こんばんはかな。触ってもいいですか」
声をかけてから首を撫でる。
馬には興味なかったが、触れあうようになったら可愛く思えるようになった。大きくて優しい瞳がチャーミングだ。手を離すと、もっと撫でろというように鼻面を寄せてくる。懐いてくれたのかなと思うと自然と笑みが零れた。
「きみは主と違って、私に警戒しないのですか。優しくて大きな目も主とは違いますね。でも凛々しくて格好いいところは主そっくりですよ。あ、苺、食べるかな」
ユベルに貰った苺の残りがあったので、包んでいた布を広げたら、声がかかった。
「人の馬に勝手にものを食べさせないでくれないか」
びっくりして声のほうを振り返ると、団長がいた。
天幕の影で気づかなかった。今喋っていたのは聞かれていただろうか。
あ、ちょっと目を逸らされてる。聞かれていたっぽいな……。凛々しくて格好いいところが主そっくりとか言ってしまったよ。うわあ。
「……すみません、つい」
「食べさせてはいけないものもあるから気をつけてくれ。苺なら大丈夫だ」
「あげてもいいですか。あ、団長もいかがですか。美味しいですよ」
団長にも勧めると、彼はなにか言いたげに俺の顔をじっと見つめてきた。
なんだろう。馬にあげようとしていたものを人に勧めるって失礼だっただろうか。団長は気にしないと思っていたが。
「苺、苦手でした?」
「いや、そうじゃなく」
彼は少しだけ目を逸らし、呟くように言った。
「さっき、ローガーに笑いかけていただろう。あなたは……いつも、あんな風に笑うといいのにと…いや…」
え。なんだそれ。
なに言ってるんだ団長。
いまどき乙女もときめかないベタなセリフを言いかけたよな? 言う相手を間違ってないか? こういうシーンがゲームにあったか?
団長らしからぬセリフに、ポカンとする俺。
団長のほうは、つい口が滑ったとでも言いたげに口元を片手で覆っていた。言ったことを後悔したような、ばつの悪い顔をしている。
「苺は、ローガーに食べさせてやってくれ」
団長はたぶんローガーに用があって来たのだろう。しかしいたたまれなくなったか、踵を返して去ってしまった。
なんか、申しわけない。
それにしても。
「ええと……つまり…私の営業スマイルは不評なんですかね…」
団長の前で営業スマイルは、やめてみようか。
俺は己の戸惑いを整理するためにローガーに話しかけ、首を撫でてやった。
「美味そう。俺も一ついいですか」
どうぞどうぞと俺が勧めると、副団長が俺の隣に腰を下ろす。向かいにすわるユベルが恨めしそうに副団長を睨んだ。
「あっちに生ってましたよ。ご自分で摘んできたらいかがですか」
「いいだろ、一つくらい」
副団長はニヤニヤしながら苺を口に入れる。食べてもその場を離れる様子はない。
「食べたなら、どっか行ってくださいよ」
「あー、聞こえんなあ」
旅の道中や宿での団員たちの様子を見ていると、ユベルに限らず他の団員も副団長にはこんな調子で遠慮がない。
「皆さん、仲がいいですよね」
「ええ。まあ、俺の人徳ですよね」
副団長がニヤリとする。すかさずユベルが口を挟む。
「副団長じゃなくて団長の人徳ですよ」
「それ、本気で言ってないよな?」
「もちろん本気ですよ。皆、団長に心酔してるんです。副団長だってそうでしょう。騎士団は団長がいるからまとまってるんです。ただ……団長の愛想のなさとか口数の少なさを、副団長が補ってくれているとは思ってますけど……」
「なんで最後は小声なんだよ。もっと声を大にして、自信をもって俺を褒めろ」
ユベルの言う通りで、団長はカリスマ性があるが、圧が強すぎるし愛想がない。それを副団長がほどよく緩和しており、バランスのよいコンビとなっている。
「私もそう思います。ロジュの団員への気配りは素晴らしいと思っています。今もこうして、嫌われ者の私にも声をかけてくださる」
ユベルがハッとした顔をする。
「嫌われ者なんて、そんな」
「あー。イヴォン様。わかっておいでと思いますが、団員たちは恐れ多くて、あなたに話しかけたくてもできないだけですからね。それに最近はけっこう、遠慮を忘れて話しかけるやつも増えたでしょう」
「しかし、私が金の亡者と呼ばれているのはご存じでしょう?」
副団長が頷く。
「そんな噂、今じゃ誰も信じちゃいません。団員は、旅のあいだにあなたの献身的な姿を間近で目にしていますからね。少なくともここにいる者たちはあなたを嫌うどころか敬意を抱いていますし、お近づきになる機会を窺っていますよ。ここにいるユベルのようにね」
「俺だけじゃなく、副団長もでしょう」
「否定はしない」
耳を赤らめて文句を言うユベルに、副団長はニヤリとする。
俺は控えめに微笑んでみせた。
「そうだったら嬉しいですけれど。団長の態度を見ると、とても警戒されていて。嫌われているのだなと思わざるを得ません」
副団長が笑って首を振る。
「いやいやいや。団長こそ、ですよ。わかりにくいでしょうけど、普段からあの人を見ている者からしたら明らかに、イヴォン様への態度が変わってますよ」
「そうでしょうか」
「ええ。表情とか、態度とか」
「そうですか……だったらいいのですけど。嫌いな相手と一緒にいるのは、団長も辛いでしょうから」
とぼけてみせたが、団長の態度が軟化してきていることは俺も気づいている。副団長の目にも態度の変化が認められていると確認し、今後の対応をどうするか考える。
「辛いわけない。あれは絶対、役得とか思ってる」
「……そこまでは、ないでしょうけれど」
「いいえ。だって宿も野営も、ずっとイヴォン様とのペアを譲らないでしょう。要警護対象はアオイだし、イヴォン様の警護だったら神殿騎士に任せればいいのに」
「それは私を警戒しているからだと」
「初めはそうだったかもしれませんが。今は絶対それだけじゃない。部屋割り、替われることなら替わりたいけども、団長は替わってくれないだろうなあ」
「あの、主教様」
ユベルが、ちょっと躊躇いを見せてから俺に尋ねた。
「俺はヒーラーなんで、主教様の魔力の様子がわかるんですが……治癒魔法使いまくってて、ほぼ毎日、魔力切れギリギリですよね。でも翌朝には戻っている。ものすごく回復が早くて驚いているんですが、あれって……」
「団長に魔力供給していただいています」
「……それは、もしかして、毎日?」
「ええ。お手間をかけて申しわけないことですが」
団長からの魔力供給は、カスカーベ以降も毎日受けていた。肯定すると、ユベルが固まり、副団長がマジかと呟いた。
「そういうことかよ……」
「……団長、ズルい」
「だな。だがこれも役得ってやつなんだろうなチクショウ。悔しかったら俺たちも団長になるしかないな」
「いえ、私のほうこそ申しわけない。団長を慕う者から恨まれそうです」
「いやまあ、団長もモテるけれども」
「そういう目で団長を見るやつ、今は団員にはいないですよね」
「いるだろ。第一部隊からは俺が排除したが、他の隊には大勢いる」
第一部隊にいないということは、この討伐騎士団にもいないということだ。よかった。毎日キスしているのがばれて嫌がらせされたら嫌だ。
「大勢いるんですね」
「いますねえ」
「団長は男女問わずというか、むしろ男のほうに人気かもしれません」
そうだろうと思う。
俺から見たら、俺よりも団長のほうがモテるだろうと思う。恐ろしく強いのに気品ある立ち居振る舞い。顔も身体つきも文句なくよく、男の色気が漂う。女遊びもせず誠実な性格。家柄も申し分なく、国王の信も篤い。こんな上等な男は他に知らない。
「浮いた話とか聞いたことがありませんね」
「剣馬鹿ですからね。ちゃんとした恋人ってのはいたことないんじゃないかな。今は侯爵家当主ですしね。浮ついたことは控えてるのかな。魔物討伐の問題も抱えてるし、忙しくて余計なことをしている暇はないんでしょう」
副団長の話を聞いていると、ユベルがじっと俺を見つめていることに気づいた。ニコリと微笑んで言ってやる。
「ユベルも格好いいから、モテそうですね」
ユベルが目を見開いた。その顔がてきめんに赤くなる。
「あ。もちろんロジュも格好いいです」
「とってつけた感! 気を遣った言い方は逆に傷つくんですけどー」
「ごめんなさい。でも本当ですよ」
俺は笑って苺を口に運んだ。
「うん、美味しいですね。どうもありがとうユベル。ユベルも召し上がってください。ロジュも、一つと言わずどうぞ」
俺がもう一つ苺を口に入れると、ユベルが俺の口元を凝視して、喉仏を動かした。ロジュもチラリと見て、ユベルのほうへ視線を逸らす。
「おい、ユベル。見過ぎだ」
「あ……失礼しました」
ユベルが慌てて俺から目を逸らし、苺を摘まむ。
食べている姿を凝視されることはよくある。ごく普通に食べているし、特別エロ臭い食べ方をしているわけではないのだが。俺に気がある者はそういう傾向にある。
これ以上ユベルに粉をかけると、本気にさせてしまうかもしれない。俺のミッションは、アオイよりも関心を引ければいいのだ。本気にさせて襲われたり口説かれたりしたら厄介なので、今後は少し距離をとるべきだろう。
野営地の設営の諸々がまだ残っているとかで、ユベルと副団長が離れていった。俺は暇だったので、自分の天幕へ戻り、その途中で目に入った黒馬へ近づいた。
団長の愛馬、ローガーだ。
「ローガー、こんにちは。いや、こんばんはかな。触ってもいいですか」
声をかけてから首を撫でる。
馬には興味なかったが、触れあうようになったら可愛く思えるようになった。大きくて優しい瞳がチャーミングだ。手を離すと、もっと撫でろというように鼻面を寄せてくる。懐いてくれたのかなと思うと自然と笑みが零れた。
「きみは主と違って、私に警戒しないのですか。優しくて大きな目も主とは違いますね。でも凛々しくて格好いいところは主そっくりですよ。あ、苺、食べるかな」
ユベルに貰った苺の残りがあったので、包んでいた布を広げたら、声がかかった。
「人の馬に勝手にものを食べさせないでくれないか」
びっくりして声のほうを振り返ると、団長がいた。
天幕の影で気づかなかった。今喋っていたのは聞かれていただろうか。
あ、ちょっと目を逸らされてる。聞かれていたっぽいな……。凛々しくて格好いいところが主そっくりとか言ってしまったよ。うわあ。
「……すみません、つい」
「食べさせてはいけないものもあるから気をつけてくれ。苺なら大丈夫だ」
「あげてもいいですか。あ、団長もいかがですか。美味しいですよ」
団長にも勧めると、彼はなにか言いたげに俺の顔をじっと見つめてきた。
なんだろう。馬にあげようとしていたものを人に勧めるって失礼だっただろうか。団長は気にしないと思っていたが。
「苺、苦手でした?」
「いや、そうじゃなく」
彼は少しだけ目を逸らし、呟くように言った。
「さっき、ローガーに笑いかけていただろう。あなたは……いつも、あんな風に笑うといいのにと…いや…」
え。なんだそれ。
なに言ってるんだ団長。
いまどき乙女もときめかないベタなセリフを言いかけたよな? 言う相手を間違ってないか? こういうシーンがゲームにあったか?
団長らしからぬセリフに、ポカンとする俺。
団長のほうは、つい口が滑ったとでも言いたげに口元を片手で覆っていた。言ったことを後悔したような、ばつの悪い顔をしている。
「苺は、ローガーに食べさせてやってくれ」
団長はたぶんローガーに用があって来たのだろう。しかしいたたまれなくなったか、踵を返して去ってしまった。
なんか、申しわけない。
それにしても。
「ええと……つまり…私の営業スマイルは不評なんですかね…」
団長の前で営業スマイルは、やめてみようか。
俺は己の戸惑いを整理するためにローガーに話しかけ、首を撫でてやった。
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めちゃくちゃ面白いです!!素敵な作品をありがとうございます!
団長カッコイイです〜!これから更にどう主人公にアプローチしていくのか、ドキドキ楽しみにしています💕
主人公も美人で、また計算高く賢いのに鈍感な部分もあってとっても可愛いです(*´`)
連載頑張ってください🥰毎日楽しみしています!
よみせんさん、感想をありがとうございます!
素敵な作品とおっしゃっていただけて嬉しいです!
主人公たちもお気に召していただけたようで、ホッとしています。
今後の展開も、よみせんさんのご期待に沿えることを願っています…!
連投ですみません、、
隣国が大量生産する事に心血を注ぐ苺って、とちおとめ…?
気づいてブハッとなりましたw
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