13 / 14
エリンバ王国
落描き
しおりを挟む
遥side
「みなさん、こんにちは。オルディス・ケルンゲルと申します。今日から皆さんの講師を務めさせていただきます。オルディと呼んで下さい」
城の二階、日が空の中央で輝いてる頃、召喚の間の部屋より少し広い部屋に俺ら変わり者四人組は集められた。休憩も終わり今から俺らはこの世界を学ぶらしい。
目の前には穏やかに笑っている男の先生。この人が勉強を教える人だそうだ。ちっ、んだよ、女じゃないのかよ。
女の人じゃないことに少し悪態を吐きながら目の前の先生の容姿を目で確認する。
青色に少しグレーがかった艶っとした綺麗な長めの髪を一つ結びにして右肩の前に出している。顔はにっくきイケメンサマである。これは酷い。目付きは鋭いのに笑ったらそれが垂れるっていうね。睫毛長いな、鼻も高め。嬉しくない設定だなぁ。身長は俺らよりも高い。はい、完璧完璧。
「………なんだろう、遥くん。僕は君にバカにされてる気がするのだが」
「勘違いですよぉー。そんなこと俺がするわけないじゃないですかー(棒)」
したんじゃないよ、考えていただけだよ。
+++++++
「じゃあ、今日はこの世界について知ってもらおうか。そんなに難しくないから大丈夫だよ」
俺らに笑いかけながら俺らの前にある黒板に向かいチョークを使ってこの世界について書いていく先生。変わり者四人組はその姿をまじまじと見ながらも黒板の内容を頭の中に入れていく。スゴいな、この世界。黒板やチョークが普通にあるんだ。あー、でも黒板やチョークも多分前の召喚された人が教えたやつなんだろうなぁ、一応感謝しとこー。
ていうか、何気にこの四人で勉強するの初めてだな。中学校の時は三クラスあってクラスが全員バラバラで、一緒だったのはなっさんと阿部ちゃんの二人だけだった。
なっさんと阿部ちゃんが一組。
久保ちゃんが二組で、俺が三組だったな。
まぁ、んなことどうでもいいんだけど。
「で、この黒板に書いてある通り、この世界はダルンという名前の世界で七人の神様の加護の元に成り立ってい「なっさん絵描いたらダメだって!この世界については真面目にやっとこうよ!」……えーと、阿部くん?田中くん?何をしているの?」
「や、え、えと……」
「何もしてませーん!!」
授業が一旦止められ、先生は変わらない笑顔で阿部ちゃんとなっさんの方へ顔を向ける。阿部ちゃんは先生の方を見るが直ぐに反らし、なっさんは笑顔を先生に向けて大きな声で元気に返事をする。先生は不思議に思いながらも話を続ける。
俺からは久保ちゃんで阿部ちゃんとなっさんの姿はあまりよく見えないが、多分これは……
「なっさん……落描きしちゃだめだってば」
「別に先生気づいてないしいーじゃん」
「だめだってば」
先生に渡された紙とペン(前の召喚者さんが(ry)を使って田中さんが落描きしてますね。
先生が黒板に向き合った途端に小声で話始める二人。久保さんは我関せずを貫いて、一人だけメモをとり続けている。
あぁ、座ってる順番は
田中 阿部 久保 俺
と、なっているから久保ちゃんも分かっている筈なんだけどなぁ。関わったら駄目だと思っているんだろうなぁ。
「ネコ耳描けた」
「獣人だー!この世界にもいるのかなぁ?一回は会ってみたいなぁ、可愛いし」
「ちょ、色ぬりたい。色鉛筆とかないの?」
「さすがにそれは無いんじゃないの?」
「いいや、これとっとこう。あ、待って。これ頑張って黒だけでぬってみるわ!」
「おー……頑張れ」
……阿部ちゃんがのまれてしまった。あの人のまれやすいからなぁ、なんだろ、この授業、真面目にやってるやつが一人しかいないな。あ、俺?落描きしてますね。いや、勉強とかつまらないって。金が貰えるなら別だけどもね?貰えないなら意味なくない?
「阿部ちゃん、先生の話を真面目に聞こうよ」
「見て、久保ちゃん。この絵スゴくね?この世界もこんな可愛い獣人がいればいいなぁ」
「可愛いー。相変わらずなっさん絵がめっちゃ上手いねー」
注意しようとしていた久保ちゃんまでもがのまれていく。はい、結局これで誰一人として聞いていないことになるね!なんだろう先生が凄く可愛そうだ。
まぁな、前の世界では勉強するのが当たり前だったからな。今は学生じゃなくて勇者だし勉強しなくてもいいもんね。
暖かい(鬱陶しい)夏の光を窓越しに浴びながら俺らは絵を描いていった。
++++++
「はい、ここまで。今日の授業は終わりです。よく覚えていてくださいね?」
「「「「……はい」」」」
先生から目を全力で反らして小さく返事をする四人。あれからずっと落描きしていたせいでなに一つ話を聞いていなかった。
この世界について知らなくたって生きていけるさ!
「みなさん、こんにちは。オルディス・ケルンゲルと申します。今日から皆さんの講師を務めさせていただきます。オルディと呼んで下さい」
城の二階、日が空の中央で輝いてる頃、召喚の間の部屋より少し広い部屋に俺ら変わり者四人組は集められた。休憩も終わり今から俺らはこの世界を学ぶらしい。
目の前には穏やかに笑っている男の先生。この人が勉強を教える人だそうだ。ちっ、んだよ、女じゃないのかよ。
女の人じゃないことに少し悪態を吐きながら目の前の先生の容姿を目で確認する。
青色に少しグレーがかった艶っとした綺麗な長めの髪を一つ結びにして右肩の前に出している。顔はにっくきイケメンサマである。これは酷い。目付きは鋭いのに笑ったらそれが垂れるっていうね。睫毛長いな、鼻も高め。嬉しくない設定だなぁ。身長は俺らよりも高い。はい、完璧完璧。
「………なんだろう、遥くん。僕は君にバカにされてる気がするのだが」
「勘違いですよぉー。そんなこと俺がするわけないじゃないですかー(棒)」
したんじゃないよ、考えていただけだよ。
+++++++
「じゃあ、今日はこの世界について知ってもらおうか。そんなに難しくないから大丈夫だよ」
俺らに笑いかけながら俺らの前にある黒板に向かいチョークを使ってこの世界について書いていく先生。変わり者四人組はその姿をまじまじと見ながらも黒板の内容を頭の中に入れていく。スゴいな、この世界。黒板やチョークが普通にあるんだ。あー、でも黒板やチョークも多分前の召喚された人が教えたやつなんだろうなぁ、一応感謝しとこー。
ていうか、何気にこの四人で勉強するの初めてだな。中学校の時は三クラスあってクラスが全員バラバラで、一緒だったのはなっさんと阿部ちゃんの二人だけだった。
なっさんと阿部ちゃんが一組。
久保ちゃんが二組で、俺が三組だったな。
まぁ、んなことどうでもいいんだけど。
「で、この黒板に書いてある通り、この世界はダルンという名前の世界で七人の神様の加護の元に成り立ってい「なっさん絵描いたらダメだって!この世界については真面目にやっとこうよ!」……えーと、阿部くん?田中くん?何をしているの?」
「や、え、えと……」
「何もしてませーん!!」
授業が一旦止められ、先生は変わらない笑顔で阿部ちゃんとなっさんの方へ顔を向ける。阿部ちゃんは先生の方を見るが直ぐに反らし、なっさんは笑顔を先生に向けて大きな声で元気に返事をする。先生は不思議に思いながらも話を続ける。
俺からは久保ちゃんで阿部ちゃんとなっさんの姿はあまりよく見えないが、多分これは……
「なっさん……落描きしちゃだめだってば」
「別に先生気づいてないしいーじゃん」
「だめだってば」
先生に渡された紙とペン(前の召喚者さんが(ry)を使って田中さんが落描きしてますね。
先生が黒板に向き合った途端に小声で話始める二人。久保さんは我関せずを貫いて、一人だけメモをとり続けている。
あぁ、座ってる順番は
田中 阿部 久保 俺
と、なっているから久保ちゃんも分かっている筈なんだけどなぁ。関わったら駄目だと思っているんだろうなぁ。
「ネコ耳描けた」
「獣人だー!この世界にもいるのかなぁ?一回は会ってみたいなぁ、可愛いし」
「ちょ、色ぬりたい。色鉛筆とかないの?」
「さすがにそれは無いんじゃないの?」
「いいや、これとっとこう。あ、待って。これ頑張って黒だけでぬってみるわ!」
「おー……頑張れ」
……阿部ちゃんがのまれてしまった。あの人のまれやすいからなぁ、なんだろ、この授業、真面目にやってるやつが一人しかいないな。あ、俺?落描きしてますね。いや、勉強とかつまらないって。金が貰えるなら別だけどもね?貰えないなら意味なくない?
「阿部ちゃん、先生の話を真面目に聞こうよ」
「見て、久保ちゃん。この絵スゴくね?この世界もこんな可愛い獣人がいればいいなぁ」
「可愛いー。相変わらずなっさん絵がめっちゃ上手いねー」
注意しようとしていた久保ちゃんまでもがのまれていく。はい、結局これで誰一人として聞いていないことになるね!なんだろう先生が凄く可愛そうだ。
まぁな、前の世界では勉強するのが当たり前だったからな。今は学生じゃなくて勇者だし勉強しなくてもいいもんね。
暖かい(鬱陶しい)夏の光を窓越しに浴びながら俺らは絵を描いていった。
++++++
「はい、ここまで。今日の授業は終わりです。よく覚えていてくださいね?」
「「「「……はい」」」」
先生から目を全力で反らして小さく返事をする四人。あれからずっと落描きしていたせいでなに一つ話を聞いていなかった。
この世界について知らなくたって生きていけるさ!
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
シーラカンスと黒い翼
石谷 落果
ファンタジー
人類に自然を支配する能力をもたらした災害『風壊』から約120年後。特別な力を持って生まれた人間たちは、それぞれの信念に基づいて支配能力を使い続けていた。利己的に、利他的に、世界を壊さないようにバランスを取りながら、力を持たない人類と共存していた。
支配能力を持つ少年ウツミ・ルイは、日常の退屈感と支配能力のリソース意識に飢えていた。唯一の楽しみは幼馴染みのミクモ・エノと遊ぶことと、父の雑貨屋の店番くらいだった。しかし、そんなノーマルな日々は、金色の少女と出会から目まぐるしく変化し始める。湖の異変、幻子生命体と呼ばれる支配能力を持つ生物、そして合理的な母との親子関係。
人生にもう一度なんてない。生まれ落ちた環境で必死にもがく。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
ベル先生と混人生徒たち
清水裕
ファンタジー
この世界には3つの国があった。
只人の国『ゴールドソウル』
獣人の国『アイアンボディ』
妖人の国『シルバーハート』
しかし、3つの種族以外に4つ目の種族は居た。
……忌むべき存在、混ざりものである――混人。
混人は3つの種族にとっての禁忌の象徴とされ、忌むべき存在であった。
その結果、混人は排他され……彼らに人権などはなかった。
だが勇者の愚行とも言える行動のお陰で混人は人として扱われるようになった。……ただし奴隷以下の存在として。
だから、混人でありながら魔王討伐の英雄のひとりでもある賢者は決めた。
「だったら、創りましょう。混人のための国を……、彼らが安らかに穏やかに暮らせる国を」
――これは、賢者と彼女の弟子となった混人の子供たちの物語である。
※一部変更となる可能性があります。
R-15は念のため。
H29.4.13 タイトル一部変更
H29.7.24 あらすじ少し改良
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる