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エリンバ王国
スライムVS乱花
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「…………まぁ、アイツの戦い方は悪くはなかった」
遥のスライム対処法を見て一言感想を述べるカンナさん。真面目な顔して言っているのに悪いけど、遥さんはどれだけ相手の心をボキボキに折れるか、しか考えていない野郎ですからね。
遥は剣に付着した青と緑色のヌメヌメする液体を軽く振って落とすと、笑顔でこっちに走って帰ってきた。
「俺、凄かっただろー?いやー考えてたんだよ!こうすればスライムの心が折れるかなーって!」
ほらな。
+++
「じゃあ、次は乱花!お前がいけ」
「えぇ!?ぼ、僕ですか?」
「そうだ。この中で一番マトモに戦えるだろう?」
「………まぁ」
そこ肯定したら駄目だろよ。
遥が戦い終わった後、次は乱花さんがカンナさんに選ばれた。あれ?遥さん自分から勝手に行ってましたけど?指名ありなんですか?
乱花さんは怯えながらも立ち上がり、魔法に特化しているからか剣の代わりに杖をカンナさんから受け取った後にスライムの方へ向かって行った。
「どっこいせー」
「おー、遥お疲れー。楽しそうだったなー」
「めっちゃ楽しかったわー。スライムって可愛いよねー!あれ、次は乱花さんなの?」
笑いながら額を流れる汗を拭き、僕と話始める遥。スライム可愛いよねって言ってるなぁ、これホントに思ってるんだろーなぁ。
残酷だなぁ。
僕は苦笑しながらも「そうだよ」と短く返しておく。あ、ちなみに夏生さんは後ろでバテたままです。
「乱花さんは生き物に酷いことするの遥みたいに慣れていないからなー。ほら、若干、手が震えてるし」
「だねぇー。…………お、始まりそーだね」
杖の先をスライムの方にゆっくりと向けて、静かに深呼吸を繰り返す乱花。初めての魔法に緊張しているのか一つ一つの動作が遅いな。まぁ、スライムも遅いのだけどもね。
「何も学んでいないのに魔法って使えるんですかー?」
乱花の動きを見ながらそもそも魔法を使えるのかどうかを疑問に思う。僕が読んでたファンタジー系の小説では基本的な魔法の使い方を学んでから使っていたのだけど、乱花さんは魔法の使い方を教えてもらっていない。
「アイツのステータスならば教えなくても勝手に体が動くし、理解も出来るだろう」
「そんな大雑把でいいのか………」
+++++++
乱花side
怖い、ゲームとかでスライムは最初に出てくる弱い敵だというのは知っているけれど、実際に見たらゲームで見るよりも大きいしべとべとしてるし。
遥の倒しかたは僕に向いていない方法だということは分かってる。
どうしよう。どうしようどうしようどうしよう。
カタカタと腕の震えが伝わり杖が揺れる。魔法の使い方何て分からない。
「乱花さぁーーん!!体!地球との違い、体の変化ないー!?あれ、体に血液以外の何かがめぐってるとかー!!それ多分魔力の元でーーす!!」
「……魔力の元?」
この四人の中で一番大きな声の阿部ちゃんの声が聞こえた。この世界を四人の中で一番知っている阿部ちゃんのアドバイスだ。
半信半疑で僕の体に意識を向けてみる。スライムのことを考えると目を閉じるのは怖いけれど集中するために閉じてみる。
それから直ぐには分からなかったけれど何秒後かには血液以外に暖かい何かがあるのが分かった。
「それを手からぶっ放す!」
阿部ちゃんに、言われるまま右手を前に突きだし、オーラを手に集めるように意識してそれをおもいっきり
「放つっ!!」
黄色と桃色が混じった暖かい靄のようなものが体から手に移り、そのままスライムに飛んでいく。
そしてスライムはそのまま消滅したように消えていた。
+++++
「………アドバイスしたけどなぁ、スライムさん遥さんの倒し方見たせいで動けてなかったよ?」
「知らね」
乱花さんのスライム対処法
真面目に倒す
遥のスライム対処法を見て一言感想を述べるカンナさん。真面目な顔して言っているのに悪いけど、遥さんはどれだけ相手の心をボキボキに折れるか、しか考えていない野郎ですからね。
遥は剣に付着した青と緑色のヌメヌメする液体を軽く振って落とすと、笑顔でこっちに走って帰ってきた。
「俺、凄かっただろー?いやー考えてたんだよ!こうすればスライムの心が折れるかなーって!」
ほらな。
+++
「じゃあ、次は乱花!お前がいけ」
「えぇ!?ぼ、僕ですか?」
「そうだ。この中で一番マトモに戦えるだろう?」
「………まぁ」
そこ肯定したら駄目だろよ。
遥が戦い終わった後、次は乱花さんがカンナさんに選ばれた。あれ?遥さん自分から勝手に行ってましたけど?指名ありなんですか?
乱花さんは怯えながらも立ち上がり、魔法に特化しているからか剣の代わりに杖をカンナさんから受け取った後にスライムの方へ向かって行った。
「どっこいせー」
「おー、遥お疲れー。楽しそうだったなー」
「めっちゃ楽しかったわー。スライムって可愛いよねー!あれ、次は乱花さんなの?」
笑いながら額を流れる汗を拭き、僕と話始める遥。スライム可愛いよねって言ってるなぁ、これホントに思ってるんだろーなぁ。
残酷だなぁ。
僕は苦笑しながらも「そうだよ」と短く返しておく。あ、ちなみに夏生さんは後ろでバテたままです。
「乱花さんは生き物に酷いことするの遥みたいに慣れていないからなー。ほら、若干、手が震えてるし」
「だねぇー。…………お、始まりそーだね」
杖の先をスライムの方にゆっくりと向けて、静かに深呼吸を繰り返す乱花。初めての魔法に緊張しているのか一つ一つの動作が遅いな。まぁ、スライムも遅いのだけどもね。
「何も学んでいないのに魔法って使えるんですかー?」
乱花の動きを見ながらそもそも魔法を使えるのかどうかを疑問に思う。僕が読んでたファンタジー系の小説では基本的な魔法の使い方を学んでから使っていたのだけど、乱花さんは魔法の使い方を教えてもらっていない。
「アイツのステータスならば教えなくても勝手に体が動くし、理解も出来るだろう」
「そんな大雑把でいいのか………」
+++++++
乱花side
怖い、ゲームとかでスライムは最初に出てくる弱い敵だというのは知っているけれど、実際に見たらゲームで見るよりも大きいしべとべとしてるし。
遥の倒しかたは僕に向いていない方法だということは分かってる。
どうしよう。どうしようどうしようどうしよう。
カタカタと腕の震えが伝わり杖が揺れる。魔法の使い方何て分からない。
「乱花さぁーーん!!体!地球との違い、体の変化ないー!?あれ、体に血液以外の何かがめぐってるとかー!!それ多分魔力の元でーーす!!」
「……魔力の元?」
この四人の中で一番大きな声の阿部ちゃんの声が聞こえた。この世界を四人の中で一番知っている阿部ちゃんのアドバイスだ。
半信半疑で僕の体に意識を向けてみる。スライムのことを考えると目を閉じるのは怖いけれど集中するために閉じてみる。
それから直ぐには分からなかったけれど何秒後かには血液以外に暖かい何かがあるのが分かった。
「それを手からぶっ放す!」
阿部ちゃんに、言われるまま右手を前に突きだし、オーラを手に集めるように意識してそれをおもいっきり
「放つっ!!」
黄色と桃色が混じった暖かい靄のようなものが体から手に移り、そのままスライムに飛んでいく。
そしてスライムはそのまま消滅したように消えていた。
+++++
「………アドバイスしたけどなぁ、スライムさん遥さんの倒し方見たせいで動けてなかったよ?」
「知らね」
乱花さんのスライム対処法
真面目に倒す
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