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ごまかしでも身代わりでもなく 後編

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 ところがその後彼女にぱったり会えなくなった。
 もしかして避けられてるのだろうか?
 探しまわりたい衝動にかられるが、何もなかった場合違う意味で困ったことになるだろうし。
 ……もしかして、すでに上手くいったと思われてる?
 考えたら従兄弟はそれでも姉付きですでに特例なのだから、ある程度はすでに受け入れられてると思ってるのかもしれないし、その姉の結婚相手は兵士で家柄的にはぶっちゃけ従兄弟より低い。それが認められているのだから、母上に言った時点で上手くいくとみなされたのかもしれない。てかなんでそう思い込むの!?
 焦りだけが募っていく。


「彼女、今日お見合いだって」
 これ以上誤解されないようにとできるだけ避けていた従兄弟に呼び止められそう告げられる。
「は?」
 いや落ち着け、なんかものすごいまずいことを聞いた気がするけど、とりあえず落ち着け。
「……なんだって?」
「だからあんたの想い人が今日お見合いするって」
 お、落ち着け、落ち着け。
「なんでそんなこと知ってるの?」
「手紙が来たの。要するに『ほかの人と結婚するので私のことは気にしないで下さい』って意思表示ね、そう直接的に書いてるわけじゃないけど。多分本当は終わってから届くようにするつもりだったんでしょうね、過去形で書いてあるから」
 それ、見合いは形式で結果すでに決まってるってこと!?

「その上相手がねー」
「評判が悪いとか?」
 いや、重要なのはそこじゃない。
「特に悪い評判とかは聞かないけど、見合いって政略的な理由じゃなければ最初の方はそれでも環境とかある程度は似通った人とするものなのに、ちょっと違いすぎるのよね」
 意味がわからない。
「あんたに捨てられたって話にはなってないみたいだから、多分今後あんたに会う機会を持たなくていい相手を望んだんだと思うわ」
「だからなんで!?」
「あんたがはっきりと言わなかったからでしょう?」
 怒っているような口調で言われる。
「もしホントにあたしたちができてて、恋人であるあんたに秘密を共有するような異性の友人がいれば不安材料になるとでも思ったんでしょう? だから身を引いたのよ。あんたに排除されるのもいやだっただろうしね」
 それはあらゆる意味で推測に過ぎないんだろうけど。

「ちょっと行ってくる」
 今を逃せば彼女が遠くに行ってしまうということはわかる。
 そんな状況をそれでも待つつもりはない。
 僕が好きなのは彼女なのだから。
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