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後編 if
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おじさん、令嬢に転生して初めて分かったんだけど、令嬢って一人になる時間ものすごく少ないんだよ。
もしかしたら嫌がったのに結局王子様の婚約者にされたせいもあるかもしれないけど、お風呂すら一人で入れないとかさぁ。
羞恥心? ……いや、その辺は将来は介護施設入らなきゃかなぁとか考えてたせいか思ったよりなかった。つーか、女の子になった事に比べたら些末すぎる。
……とにかく、それくらい自由がないものだから、楽に死ぬどころか、飛び降りるとかも無理だろこれ。
振り切ろうにも身体は若返った分軽くなったものの、その分ドレスか重い。かけてもいいが、この世界の社交が出来る令嬢は絶対か弱くない。ジャージ着せて運動させたら多分凄い記録出すと思う。
死ぬだけならマジで処刑される方が簡単なんじゃないか?
けどそれはやっぱり避けたい。
とりあえず魔法の勉強だけは出来るので、それにかけよう。学校に行くようになれば試す時間もさすがに出来るだろうし。
「お父さんっ」
「な、何ですのあなた!?」
とっさに出るのが女言葉な辺りおじさん頑張ったなぁ、うん。……マナーの先生はいい精神年齢してうなされるほど恐いけど。
だからって、驚いてない訳じゃないんだ。同世代の見知らぬ女性徒に父親と呼ばれ抱きつかれてる訳だから。
いやけど、どっかで見たような……。
あ、プレイヤーキャラだ。結構画面に出るタイプのゲームだったから悪役令嬢のことより容姿はよっぽどよく覚えてる。手の痣なかったら気づかなかったレベルだから比べる方が間違ってるだろうが。……意外と重要視してたんだな、痣。
てことは強制力は着々と仕事してる訳だ、王子様と婚約させられたときも思ったが。
って、それがお父さんと呼ばれる理由になる訳ないよねぇ。
「あなたに『お父さん』と呼ばれる覚えはなくってよ」
娘の彼氏に向かって「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」って言ってみたかったなぁ、昔。
それはとにかく、性別から年齢から記憶からどこをどう考えてもおじさんが父親になれるはずはないわけで。
だいたい、おじさんの娘は前世に一人だけ……。
いや、ちょっと待って。
おじさんが転生してるんだから他にも転生者がいないとは限らないけど、限らないけど、限らないけど。
未だ抱きついたままの少女を見つめる。
容姿……はこちらほどじゃないけど当然別人。
けど、なんかしがみつき方が似てる気がしてきた、体格が違うんだから気のせいでしかないんだろうけど。
やっぱり前世に未練があったのかね?
……考えたら、処刑とはいえたかがイラストを取り上げておきながら。
首を吊った自分の死体を、成長したとはいえそんなものを見せたくなかった娘に見せたかもしれない。
いや、さすがに自宅で首とか吊ってないけどさぁ、価値下がるし、売れなきゃ重荷になるし。
けど延々行方不明も負担になるから、昼間ならば人が通りかかる可能性のある場所ではあったわけで。
さすがに現場見てはいないにしろ、腐る前に発見されたなら死に顔くらいは見たかもしれない。
ゲームを取り上げたのは正しいとそれでも思うけど。
……自殺は、間違いだったかもしれない。
そんな風に娘と再会したのは入学前に緊張のあまり見た夢だったんだがな。
プレイヤーキャラの女の子は存在していたが、特にこちらに何かを現状以上の物を感じることはなかったようだし、おじさんも多少重ねはしなくもないが娘当人だとは思わなかった。
転生だとしたら娘も亡くなったことになるから、時差があったり、別の場所だったり、分からないだけでいずれはそういうことも起こるかもしれないが、それは知らない方が幸いというものだろう。
そしておじさん、今は自分が娘の立場である事を気づいてしまったわけで。
前世みたいな親子関係ではないものの、情が欠片も湧かないという事もない。
そんな人たちを残して自殺する事だけを考えてただなんてどうかしてたね。
強制力とやらがどうなってるか分からないけれど。
とりあえず自分から死ぬのはやめてみるよ。
もしかしたら嫌がったのに結局王子様の婚約者にされたせいもあるかもしれないけど、お風呂すら一人で入れないとかさぁ。
羞恥心? ……いや、その辺は将来は介護施設入らなきゃかなぁとか考えてたせいか思ったよりなかった。つーか、女の子になった事に比べたら些末すぎる。
……とにかく、それくらい自由がないものだから、楽に死ぬどころか、飛び降りるとかも無理だろこれ。
振り切ろうにも身体は若返った分軽くなったものの、その分ドレスか重い。かけてもいいが、この世界の社交が出来る令嬢は絶対か弱くない。ジャージ着せて運動させたら多分凄い記録出すと思う。
死ぬだけならマジで処刑される方が簡単なんじゃないか?
けどそれはやっぱり避けたい。
とりあえず魔法の勉強だけは出来るので、それにかけよう。学校に行くようになれば試す時間もさすがに出来るだろうし。
「お父さんっ」
「な、何ですのあなた!?」
とっさに出るのが女言葉な辺りおじさん頑張ったなぁ、うん。……マナーの先生はいい精神年齢してうなされるほど恐いけど。
だからって、驚いてない訳じゃないんだ。同世代の見知らぬ女性徒に父親と呼ばれ抱きつかれてる訳だから。
いやけど、どっかで見たような……。
あ、プレイヤーキャラだ。結構画面に出るタイプのゲームだったから悪役令嬢のことより容姿はよっぽどよく覚えてる。手の痣なかったら気づかなかったレベルだから比べる方が間違ってるだろうが。……意外と重要視してたんだな、痣。
てことは強制力は着々と仕事してる訳だ、王子様と婚約させられたときも思ったが。
って、それがお父さんと呼ばれる理由になる訳ないよねぇ。
「あなたに『お父さん』と呼ばれる覚えはなくってよ」
娘の彼氏に向かって「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」って言ってみたかったなぁ、昔。
それはとにかく、性別から年齢から記憶からどこをどう考えてもおじさんが父親になれるはずはないわけで。
だいたい、おじさんの娘は前世に一人だけ……。
いや、ちょっと待って。
おじさんが転生してるんだから他にも転生者がいないとは限らないけど、限らないけど、限らないけど。
未だ抱きついたままの少女を見つめる。
容姿……はこちらほどじゃないけど当然別人。
けど、なんかしがみつき方が似てる気がしてきた、体格が違うんだから気のせいでしかないんだろうけど。
やっぱり前世に未練があったのかね?
……考えたら、処刑とはいえたかがイラストを取り上げておきながら。
首を吊った自分の死体を、成長したとはいえそんなものを見せたくなかった娘に見せたかもしれない。
いや、さすがに自宅で首とか吊ってないけどさぁ、価値下がるし、売れなきゃ重荷になるし。
けど延々行方不明も負担になるから、昼間ならば人が通りかかる可能性のある場所ではあったわけで。
さすがに現場見てはいないにしろ、腐る前に発見されたなら死に顔くらいは見たかもしれない。
ゲームを取り上げたのは正しいとそれでも思うけど。
……自殺は、間違いだったかもしれない。
そんな風に娘と再会したのは入学前に緊張のあまり見た夢だったんだがな。
プレイヤーキャラの女の子は存在していたが、特にこちらに何かを現状以上の物を感じることはなかったようだし、おじさんも多少重ねはしなくもないが娘当人だとは思わなかった。
転生だとしたら娘も亡くなったことになるから、時差があったり、別の場所だったり、分からないだけでいずれはそういうことも起こるかもしれないが、それは知らない方が幸いというものだろう。
そしておじさん、今は自分が娘の立場である事を気づいてしまったわけで。
前世みたいな親子関係ではないものの、情が欠片も湧かないという事もない。
そんな人たちを残して自殺する事だけを考えてただなんてどうかしてたね。
強制力とやらがどうなってるか分からないけれど。
とりあえず自分から死ぬのはやめてみるよ。
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