ずっと傍にいる

こうやさい

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それもまた運命なのか

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 今回、彼女はまだ結婚していない。
 なので何らかの理由をつけ離れなければならない。
 自分から離れようと考える事は、好きな相手が出来たと聞かされるより辛いことだと初めて知った。
 いやそちらも辛いのだが、ある意味で既に慣れてしまったというか、無駄に延ばして余計に辛くなることはなかった。他の人も関わることだし。
 ……それでも彼女に気味悪がられたくはない。

 けれどもう少し持つのではないか?
 少しくらいなら気味悪がられる方が離れるより辛くないのではないか。
 ちょっと長く一緒に居すぎたのかそんな踏ん切りの悪いことを考える。
 考えてみればの彼女とは前世も含めて一番長く一緒に居る気がする。


 少しずつ準備はしつつ。
 それでもいつまで大丈夫だろうかと、彼女の態度と彼女に自分がどう見えるかを観察していたせいだろう。

 その朝、自分の体が再び時を刻み始めていた事に気づいた。

 多少は精神状態などに調子は左右されるし、格好を年齢が分かりにくい、あるいは歳を取っているように見せることはある。
 けれど明らかにそれは違った。
 それでも最初は気のせいかと思った。
 それくらい些細な変化だったが。

 あまりにも久しぶりすぎで実感は湧かなかったが。
 それで感じたものは喜びではなく恐怖だった。

 僕が普通に歳を取って死ねるならそれは朗報だろう。
 けれど彼女はどうなるのだろうか?

 彼女もこの呪い、あるいは祝福から抜け出せているのならそれでいい。
 けれどもしまだ死んで若返る状態が続いているなら。
 今後、若返った彼女を誰が引き取り育てるのだろう?

 棺の中で若返ってまた死んで蘇って。
 いつか誰かに見つかって騒がれて。
 また殺されるか、殺しきれなくて隔離されるか。
 そんな目にそれでも遭わせたい訳ではない。

 けれどそれを確かめる事は出来ないのだろう。
 事故や事情がなければきっと彼女は僕より後で死ぬ。
 仮に先に死んだとしても、もし若返ってしまったらその時もう僕に育てる余力はないだろう。
 たとえあったとしても何時までもくり返せるものではない。

 歳を取るようになったといっても、一時的な事や、通常よりゆっくりな可能性もある。
 それでも続くと思っていたことに限界があると分かったことが恐くてたまらない。
 あるいは明日にも死んでしまうかもしれない。

 疎んでいたはずなのに、いつの間にかこんなに必要としていたとは。

 根底に関わる変化は恐ろしい。
 それ以上に。
 彼女をまた取り残していくことが恐ろしかった。
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