ずっと傍にいる

こうやさい

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出会うための

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 少なくとも子供の頃は、僕は自分を人間だと思っていた。
 両親がいて、兄弟がいて、村には友達もいて。
 誰より魔法を使えることだって、そこまで珍しいことはなかった。
 なのに何時からか僕の外見は変わらなくなった。

 同世代の皆が老化し始めた時、最初は若々しいで済んだ。
 次に不思議がられ、そのうち気味悪がれ始めた。
 それ以上を知りたくなくて村を出た。

 それからも見た目は年は取らず、どこかに定住しようにもそれが理由で長くは居られず、当てもなくさまよった。
 自殺しようにも今まで思いつく限りの方法ではどうにもならなかった。弱りすらしない。

 若木が大木になるほどの時が経ち、誘惑に負け故郷の村に行ったことがある。
 僕が知っている人も僕自身を知っている人も当たり前だがもう誰も居なかったが、年を取らない化け物の話が伝承として伝わっていた。
 どうやら僕はすでに人間ではなかったらしい。
 嗤いそうになるのを堪え、村を出る。


 そして、どこまでも行かないうちに泣いている幼い女の子に出会った。


 化け物といえど幼子を放置するわけにもいかず、しばらくは迎えが来ないかと一緒に待っていたが、暗くなってきたのでどうせ出てきた村の子供だろうと送っていった。
 ところが誰もその子供を知らないという。
 結局その日は僕もその子も村に泊まった。
 けれど翌日もその翌日も子供が迷子になったなんて話は聞かず、遠くの誰かが子供を捨てたのではないかとの話になった。

 その年はちょうど実りが少なく、この辺りでは誰もが飢えていた。
 既に誰にも覚えられていない、いかにもよそ者の僕が即座に追い出されなかったのは、無駄に魔法収納に食料を溜めていて、それを分けたからに過ぎない。
 けれどそれにも限界がある。
 その子供が労働力になる男なら村で引き取ってくれる可能性もあったが、小さな女の子ではそうはいかない。
 結果、一緒に村から出て行くことになった。

 彼女とは引き取り手があればそこで別れるつもりだった。
 けれども食糧難というのは必ずしも翌年の作物が実れば回復するという代物ではない。
 僕たちはため込んでいた食物と、自然の恵みを魔法で他の人が取れないところのまで採取出来ることと、他の人が食べられないと思っているものの食べ方を知っていたことと……そして最悪僕は食べなくとも弱りも死にもしないため、飢えることはなかったが、皆は他人に構う余裕がなかったらしい。
 彼女を引き取ってくれるどころが、娘を買ってくれないかと人買い扱いされたことすらあった。そんな事はやっていない。


 そんな理由で想定よりも長く一緒に過ごしてしまった。
 彼女が恋を覚えるまでに成長したほど。
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