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お友達には恵まれましたので周りは騒いでくださいましたけれど、正直もうどうでも良くなったので早々に引っ込みましたわ。
引っ込んだついでに修道院に入りました。
もともと神の愛し子たるわたくしが生家でもない特定の家に関わっていた方がおかしいのです。
その分世界に優しくすればいいと教えてくださったのは神様です。
子供にも分かるように平坦な言葉でおっしゃるんですもの……神様にも甘やかされてますわねわたくし。
それでもできる限り普通の子供と同じように扱ってくれる両親の気持ちが嬉しくてついずるずると過ごしてまいりましたか。
もっと早くこうするべきでしたわ。
一応愛し子であるわたくしも治癒の力が使えます。
治癒の力というのは一般的に怪我には効くけれど病にはさほど効かないそうです。
力を受けるのが早ければ早いほど患部が小さければ小さいほど簡単に治るそうなので一説では時間を戻しているのではないかといわれているとか。
確かにそれでしたら大きな怪我や病ですと見える部分だけを戻せば治るとは限りませんし、原因が分かりやすくなくなったかどうか分かりませんもの。ごく子供の頃が原因で病になることもあるそうで。
ではたまにある力を使って傷を悪化させる場合は傷の時間を戻し切れていないということかしら?
話が逸れましたわね。
つまり普通は薬と養生以外取る手段がほぼない病を癒やせるために修道院でも大事にされていますの。
本当に甘やかされている人生ですこと。
けれどこの治癒の力にはどうも欠点があるようで。
効果が感情に左右されますの。
他の方にも多少はみられますけれど、わたくしはそれが顕著だとか。
能力の把握や安定しているかどうかを見るために植物の葉や茎を折ってそれを治すということをしますの。
もっともこれで分かるのは怪我が治せるかどうかで病は関係ないはずなのですけど。
人為的に病を起こすなんてさすがに教義に反しますし、病になっていると分かるものを意図的に放置するのも反します。
それは傷つけるのもそうですが、さすがにいきなり人に試すわけには参りませんので、折衷案として収穫直前のものを折って治っても治らなくてもその後で収穫し、いずれは食事として頂きくこととなっております。さすがに日々のささやかな食事までは言われませんもの。
もっとも神様に直接教義がどうと言われた記憶はありませんけれど。
……それで、お恥ずかしい話ですけど、わたくし食物の好き嫌いがありまして。
他の植物は治ったり折る前より色艶が良くなったり大きくなったりするんですけれど。
……わたくしの嫌いな食物は治らないか下手をすれば悪化します。
それだけでしたら好みではなく能力との反発でそれを分かりやすく食の好き嫌いとして認識しているとか、相性が悪いとか、他の可能性もまだありますけど。
以前見慣れない料理をごちそうになったとき、嫌いな食材をそれと知らずに食べてしまいまして……言われるまで気づかなかったどころかおいしかったです。
たまたまそれがおいしかっただけで、やっぱり嫌いには違いないんですけど。
あれ以外少なくとも悪化することはなくなりました。
…………やっぱりわがままかもしれませんわね。
とはいえ、それが今のところ人相手に発揮されたことはありません。
なにせ甘やかされているものであまり人を恨んだ記憶がありませんもの。
もちろんいい人ばかりではないとは思い知りましたけれど。
いる場所が基本修道院で。
いらっしゃるのは基本治癒の力を求めに来る方ですから。
普段の生活でそこまでの負荷を受けることがございません。
わたくしの治癒は特殊ですから、守ってくださってもいるのでしょう。
引っ込んだついでに修道院に入りました。
もともと神の愛し子たるわたくしが生家でもない特定の家に関わっていた方がおかしいのです。
その分世界に優しくすればいいと教えてくださったのは神様です。
子供にも分かるように平坦な言葉でおっしゃるんですもの……神様にも甘やかされてますわねわたくし。
それでもできる限り普通の子供と同じように扱ってくれる両親の気持ちが嬉しくてついずるずると過ごしてまいりましたか。
もっと早くこうするべきでしたわ。
一応愛し子であるわたくしも治癒の力が使えます。
治癒の力というのは一般的に怪我には効くけれど病にはさほど効かないそうです。
力を受けるのが早ければ早いほど患部が小さければ小さいほど簡単に治るそうなので一説では時間を戻しているのではないかといわれているとか。
確かにそれでしたら大きな怪我や病ですと見える部分だけを戻せば治るとは限りませんし、原因が分かりやすくなくなったかどうか分かりませんもの。ごく子供の頃が原因で病になることもあるそうで。
ではたまにある力を使って傷を悪化させる場合は傷の時間を戻し切れていないということかしら?
話が逸れましたわね。
つまり普通は薬と養生以外取る手段がほぼない病を癒やせるために修道院でも大事にされていますの。
本当に甘やかされている人生ですこと。
けれどこの治癒の力にはどうも欠点があるようで。
効果が感情に左右されますの。
他の方にも多少はみられますけれど、わたくしはそれが顕著だとか。
能力の把握や安定しているかどうかを見るために植物の葉や茎を折ってそれを治すということをしますの。
もっともこれで分かるのは怪我が治せるかどうかで病は関係ないはずなのですけど。
人為的に病を起こすなんてさすがに教義に反しますし、病になっていると分かるものを意図的に放置するのも反します。
それは傷つけるのもそうですが、さすがにいきなり人に試すわけには参りませんので、折衷案として収穫直前のものを折って治っても治らなくてもその後で収穫し、いずれは食事として頂きくこととなっております。さすがに日々のささやかな食事までは言われませんもの。
もっとも神様に直接教義がどうと言われた記憶はありませんけれど。
……それで、お恥ずかしい話ですけど、わたくし食物の好き嫌いがありまして。
他の植物は治ったり折る前より色艶が良くなったり大きくなったりするんですけれど。
……わたくしの嫌いな食物は治らないか下手をすれば悪化します。
それだけでしたら好みではなく能力との反発でそれを分かりやすく食の好き嫌いとして認識しているとか、相性が悪いとか、他の可能性もまだありますけど。
以前見慣れない料理をごちそうになったとき、嫌いな食材をそれと知らずに食べてしまいまして……言われるまで気づかなかったどころかおいしかったです。
たまたまそれがおいしかっただけで、やっぱり嫌いには違いないんですけど。
あれ以外少なくとも悪化することはなくなりました。
…………やっぱりわがままかもしれませんわね。
とはいえ、それが今のところ人相手に発揮されたことはありません。
なにせ甘やかされているものであまり人を恨んだ記憶がありませんもの。
もちろんいい人ばかりではないとは思い知りましたけれど。
いる場所が基本修道院で。
いらっしゃるのは基本治癒の力を求めに来る方ですから。
普段の生活でそこまでの負荷を受けることがございません。
わたくしの治癒は特殊ですから、守ってくださってもいるのでしょう。
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