悪役令嬢が攻略対象の幸せを願っては駄目ですか？

始まったはずの何かと現実の

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　こうなったら、黙秘権。黙秘権を行使します。あるかどうか知りませんけれど。
　そうしたら殿下関係なく婚約が嫌だったのかと聞かれ……もしかしてこの時期の令嬢の反抗理由あるあるなんでしょうか？
　分からなくもないですわ。小さい頃の親が連れて行ってくれたところに同い年くらいの子がいた場合男女関係なく一緒に子守されましたし。そうして子供を連れて行ける付き合いというものは立場が同程度の者の間で行われるもの。当人同士の友情が強固でも、子供の些細な喧嘩が問題になる可能性を考えれば無理に立場がややこしくなるところに連れて行こうとはしないでしょう。
　そうして同い年くらいと言いつつ女の子は早熟で男の子はやんちゃです。貴族といえど子供は子供。宝物と称する虫を見せられれば悲鳴の一つもあげたくなるもの。わたくしは、お義兄さまも一緒のことが多かったですから、そんな目には遭いませんでしたけど。年上とはいえしっかりしすぎていたことを考えるとやはりお義兄さまは苦労していたのでしょう……と他人事のように言える立場でもないですが。
　そのまま過ごせば印象を訂正する機会もあるのでしょうが、その前にマナーを習いお茶会など女性だけの社交に連れて行かれるようになり、そこで知り合った女性同士で遊び始め、つながり方によってはその機会が失われる事も多いでしょう。
　そして、決められる婚約。身分や年齢が釣り合う相手として挙がったのはいい思い出のない殿方。……その印象を引きずったまま一緒に暮らす将来を想像すれば嫌がるのも当然ですわよね。
　自分一人だけが幸せな将来を想像できるのとどちらがマシかしら？　……相手を嫌っているのなら考えるまでもないでしょうか。