16 / 59
シナリオを変えようと婚約をしてみたけれど
-16-
しおりを挟む
「それと、わたくしにも矜持がございます」
人のことをいえる立場では確かにある意味ないでしょうが。
「親が決めた婚約者よりお好きな方がいる、そのこと自体は理解して下さる方はいらっしゃるでしょう。わたくしも王家に忠誠と親愛はもっておりますが、殿下自身に恋情を抱いている訳ではございません。別の方に恋をする可能性もあるでしょう」
今しているなどとは言いませんわ、殿下じゃあるまいし。
「なので解消自体は構いませんわ。けれどそれがいい加減な気持ちであるならばそれはわたくしを莫迦にするのと同じことです」
恐らく自分がモテていなかったことにショックを受けているらしき殿下を無視して続けます。
「……意味が分からないのだが」
「政略より愛を取った、それ自体は理解しました。けれどその愛が頻繁に移ろう程度のものなら、それに負けたわたくしをあまりにも軽んじているというもの」
……殿下? 意味通じてらっしゃいます?
「……つまり、わたくしとの婚約を破棄する以上、その好きなお相手とはきちんと添い遂げてくださいませ、と」
「当たり前だ」
いきなり殿下が立ち直り胸を張る。
…………えーっと、お相手と心通じてらっしゃいます? というか、実在してらっしゃいますか?
本当にこんな不安感しか与えない方が王太子殿下で大丈夫なのでしょうか?
添い遂げるといった場合正妃にするということだと理解してらっしゃいます? 形式上側妃は正妃の下につきますのよ?
ちらりとお付きの方に視線を向けると勢いよく首を振って下さいましたので、きっと説明して下さるのでしょう。
「ならば先ほども言ったとおり解消は王家の方からしか出来ませんから頑張って陛下を説得してくださいませ」
「もちろんだ」
そのお好きな方との幸せな結婚生活でも妄想したのか、暇の挨拶もそこそこに殿下は立ちさりました。
お付きの方が一礼して慌ててそれを追いかけます。……あなたを無礼ととがめるつもりはございませんからご安心くださいませ。むしろ出せるものなら報償でも出したい気分ですわ。
……これで、側妃ルートは潰れましたわね。
人のことをいえる立場では確かにある意味ないでしょうが。
「親が決めた婚約者よりお好きな方がいる、そのこと自体は理解して下さる方はいらっしゃるでしょう。わたくしも王家に忠誠と親愛はもっておりますが、殿下自身に恋情を抱いている訳ではございません。別の方に恋をする可能性もあるでしょう」
今しているなどとは言いませんわ、殿下じゃあるまいし。
「なので解消自体は構いませんわ。けれどそれがいい加減な気持ちであるならばそれはわたくしを莫迦にするのと同じことです」
恐らく自分がモテていなかったことにショックを受けているらしき殿下を無視して続けます。
「……意味が分からないのだが」
「政略より愛を取った、それ自体は理解しました。けれどその愛が頻繁に移ろう程度のものなら、それに負けたわたくしをあまりにも軽んじているというもの」
……殿下? 意味通じてらっしゃいます?
「……つまり、わたくしとの婚約を破棄する以上、その好きなお相手とはきちんと添い遂げてくださいませ、と」
「当たり前だ」
いきなり殿下が立ち直り胸を張る。
…………えーっと、お相手と心通じてらっしゃいます? というか、実在してらっしゃいますか?
本当にこんな不安感しか与えない方が王太子殿下で大丈夫なのでしょうか?
添い遂げるといった場合正妃にするということだと理解してらっしゃいます? 形式上側妃は正妃の下につきますのよ?
ちらりとお付きの方に視線を向けると勢いよく首を振って下さいましたので、きっと説明して下さるのでしょう。
「ならば先ほども言ったとおり解消は王家の方からしか出来ませんから頑張って陛下を説得してくださいませ」
「もちろんだ」
そのお好きな方との幸せな結婚生活でも妄想したのか、暇の挨拶もそこそこに殿下は立ちさりました。
お付きの方が一礼して慌ててそれを追いかけます。……あなたを無礼ととがめるつもりはございませんからご安心くださいませ。むしろ出せるものなら報償でも出したい気分ですわ。
……これで、側妃ルートは潰れましたわね。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
380
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる