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何故かは分からないけれど
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「リーゼ!? 大丈夫!?」
「お義兄さま」
よりにもよってというか、有り難いことにというか真っ先に来るなんて。
子供らしい体つきと服装をしたお義兄さまは、何のためらいもなくこちらに駆け寄ってくる。
ゲームでも見上げるほど高い位置にある顔を今は違う意味で見上げる。
銀髪青眼、ゲーム時には伸びて後ろで結んでいる髪も今は長めのボブ程度で、顔をのぞき込もうとされるものだからもう少しで触れそうになる。
反射的にドキリとする。
幼い顔立ちだけれども、そしてスチルで見たことはないけれど、面影を色濃く宿している。
「ど、どうしたんだ!?」
焦ったような表情がにじんでいく。
悲しいと思ったつもりもないのに涙があふれていた。
これは今までのリーゼロッテの感情?
それとも今までの前世の感情?
それらが交じった今の感情?
「……本当は」
そう言いながら嘘をつく。
「怖い夢を見たことを思い出したの」
この年齢にしても幼すぎるいいわけだろう、それまでは普通にしてたわけだし。
けれどこれまでのリーゼロッテにとっては嘘ではないのかもしれない。
「それで部屋から出るのが怖くなったの」
まだ知らなくてもいいことを知ってしまったのだから。
瞬きとともに雫が転げ落ちる。
「ごめんなさい」
いろいろな想いを込めてそうつぶやく。
「大丈夫」
お義兄さまが微笑う。
「僕が守るから」
そうして伸ばされた手に。
胸を痛めたのは一体誰だったのだろう?
「お義兄さま」
よりにもよってというか、有り難いことにというか真っ先に来るなんて。
子供らしい体つきと服装をしたお義兄さまは、何のためらいもなくこちらに駆け寄ってくる。
ゲームでも見上げるほど高い位置にある顔を今は違う意味で見上げる。
銀髪青眼、ゲーム時には伸びて後ろで結んでいる髪も今は長めのボブ程度で、顔をのぞき込もうとされるものだからもう少しで触れそうになる。
反射的にドキリとする。
幼い顔立ちだけれども、そしてスチルで見たことはないけれど、面影を色濃く宿している。
「ど、どうしたんだ!?」
焦ったような表情がにじんでいく。
悲しいと思ったつもりもないのに涙があふれていた。
これは今までのリーゼロッテの感情?
それとも今までの前世の感情?
それらが交じった今の感情?
「……本当は」
そう言いながら嘘をつく。
「怖い夢を見たことを思い出したの」
この年齢にしても幼すぎるいいわけだろう、それまでは普通にしてたわけだし。
けれどこれまでのリーゼロッテにとっては嘘ではないのかもしれない。
「それで部屋から出るのが怖くなったの」
まだ知らなくてもいいことを知ってしまったのだから。
瞬きとともに雫が転げ落ちる。
「ごめんなさい」
いろいろな想いを込めてそうつぶやく。
「大丈夫」
お義兄さまが微笑う。
「僕が守るから」
そうして伸ばされた手に。
胸を痛めたのは一体誰だったのだろう?
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