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余話
砂糖菓子の妄想
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砂糖菓子と殿下方の処遇が決まったそうだ。
そろって貴族社会から追放。追放といっても砂糖菓子以外は最低限の物品も金銭も与えられての事だけど。
それが甘いか厳しいかの判断は他の人に任せようと思う。義姉さんを悪く言っていた事には未だ腹が立つが、それでも僕は彼らを利用した立場だ。
まぁこれで砂糖菓子と彼らとの間に身分の差という障害はなくなったわけだから晴れて誰かと結ばれ……るなんて事はなかったらしい。
相変わらず全員侍らしているのかといえはそれも違う。
砂糖菓子は僕が迎えに来るのをずっと待っているという。
そこで僕が本命だったのかと思うほどおめでたければ、きっと僕も彼らの仲間入りをしていたことだろう。
彼らの中で元の立場が残っているのが僕だけだった、恐らく理由はそれだけ。
何が彼女にそこまでの執着をさせるのだろうと思う。
浅はかといえば元殿下方も浅はかだろう。
確かに砂糖菓子に貢げる余裕はなくなっただろうし、今は僕を好きだという砂糖菓子に愛想が尽きたとしてもしょうがないだろう。手遅れになる前に尽きていれば助かっただろうのにと殿下以外には思う。
けれどそれでも砂糖菓子には貴族ではない生活の経験がある。
殿下が慰問に行くような孤児院出身で、手袋を持ち続けられたようなので底辺を経験したわけではないだろうが、だからこそ独り立ちできるように最低限の知識は教わっているはずだ。恐らく知り合いもいるだろうし。
砂糖菓子にも悪評はあるだろうがそれは貴族間のもので、市井では具体的に知っている人は少ないらしく「貴族になじめなかった」とでもいえばおぼろげにしか知らない人と貴族に偏見を持っている人はむしろ同情すらしてくれるかもしれない。
元殿下方の醜聞の方が有名と聞く。
ただでさえ勝手が違うのに醜聞まみれの上、つてがありそうな砂糖菓子から離れるなんてどこまで愚かなのだろうと思う。
そういう意味では砂糖菓子は余計な荷物を背負わずにすんだとも言える。
砂糖菓子は一体どんな妄想をみたのだろう。
王妃の座だろうか。
それともちやほやされ続ける日々だろうか。
あるいは彼らを引きずり下ろしたかったのだろうか。
ただ浅はかなだけなのだろうか。
どちらにしろ、もう関わるつもりはない。
本当に僕を好きだったとしても、僕は彼女が嫌いだから。
利用したことに欠片も心が痛まないほど。
そろって貴族社会から追放。追放といっても砂糖菓子以外は最低限の物品も金銭も与えられての事だけど。
それが甘いか厳しいかの判断は他の人に任せようと思う。義姉さんを悪く言っていた事には未だ腹が立つが、それでも僕は彼らを利用した立場だ。
まぁこれで砂糖菓子と彼らとの間に身分の差という障害はなくなったわけだから晴れて誰かと結ばれ……るなんて事はなかったらしい。
相変わらず全員侍らしているのかといえはそれも違う。
砂糖菓子は僕が迎えに来るのをずっと待っているという。
そこで僕が本命だったのかと思うほどおめでたければ、きっと僕も彼らの仲間入りをしていたことだろう。
彼らの中で元の立場が残っているのが僕だけだった、恐らく理由はそれだけ。
何が彼女にそこまでの執着をさせるのだろうと思う。
浅はかといえば元殿下方も浅はかだろう。
確かに砂糖菓子に貢げる余裕はなくなっただろうし、今は僕を好きだという砂糖菓子に愛想が尽きたとしてもしょうがないだろう。手遅れになる前に尽きていれば助かっただろうのにと殿下以外には思う。
けれどそれでも砂糖菓子には貴族ではない生活の経験がある。
殿下が慰問に行くような孤児院出身で、手袋を持ち続けられたようなので底辺を経験したわけではないだろうが、だからこそ独り立ちできるように最低限の知識は教わっているはずだ。恐らく知り合いもいるだろうし。
砂糖菓子にも悪評はあるだろうがそれは貴族間のもので、市井では具体的に知っている人は少ないらしく「貴族になじめなかった」とでもいえばおぼろげにしか知らない人と貴族に偏見を持っている人はむしろ同情すらしてくれるかもしれない。
元殿下方の醜聞の方が有名と聞く。
ただでさえ勝手が違うのに醜聞まみれの上、つてがありそうな砂糖菓子から離れるなんてどこまで愚かなのだろうと思う。
そういう意味では砂糖菓子は余計な荷物を背負わずにすんだとも言える。
砂糖菓子は一体どんな妄想をみたのだろう。
王妃の座だろうか。
それともちやほやされ続ける日々だろうか。
あるいは彼らを引きずり下ろしたかったのだろうか。
ただ浅はかなだけなのだろうか。
どちらにしろ、もう関わるつもりはない。
本当に僕を好きだったとしても、僕は彼女が嫌いだから。
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