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これはもしや莫迦なのか?

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 学院で俺に近づいてくるといえば将来の王妃あるいは場合によっては存在する側妃の座を射止めたいと当人あるいは関係者が思っているご令嬢か、将来の側近の座や出世を当人あるいは関係者が思っている人達も多い。
 側近はある程度の能力と人格があり不都合な裏がなければどこまで近くに来るかにもよるが、少しは自由に選んでいいらしい。
 だったら王妃も選ばせろと言いたいが、王妃は一人だけしかなれないので条件が更に厳しくなるし、順番に世代交代をさせることが出来ないのでダメらしい。だから婚約を早々にさせるのだと。
 今がどれだけ特殊で危うい状況なのかよく分かる。

 その、側近志望であろうすり寄ってきた中に婚約者殿の義兄を見つけた。確か三学年に在籍中だったか。
 俺の将来の義兄とかって浮かれるつもりはないぞ、縁を切らせたいと思ってるとこだし。それでなくとも外戚がもめる元になる事なんてよくあるんだし。
 ……そもそもまだ結婚出来る保証ないし。

 その義兄曰く、義妹を利用し親しくなりたいとのこと。……いやさすがにそのまんまは言ってないけど要約すると。
 じゃあ婚約を解消したら切り捨てても構わないんだなとこれまた遠回しに返してやった。解消する気はないし、切り捨てる以前に関わりたくない。
 そうしたら働きの結果をご覧の上お決め下さいと言いやがる……いい度胸だな。
 秘密は守れる方かと聞いてやる。
 何か重要な事でも打ち明けられるとでも思ったのかヤツの目が輝く。……この時点で守れないのは分かった。
 肯定したので、ならば家人にその方法を教えてやれと言って話を打ち切った。

 こちらが精鋭をそろえているというだけで、別に使用人の質がそこまで悪いというわけではない。間諜はこちらが潜り込ませたし。
 ただそちらが婚約者殿にやっている事を知っていると言っただけだ。
 意味が通じるならそれでよし。通じないなら……どうしてやろうか。
 最低限の恥は知っていることを祈っているよ。
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