「殿下、婚約を解消しましょう」

もしかしたらの結末

-3-

　殿下の口添えもあり、婚約、結婚は滞りなくなされた。

　殿下とヒロインも順調に愛を育み、周りを認めさせ、結婚した。
　殿下は本当にうれしそうに笑い、一目惚れしたスチルも超えたという感じだったけど、去来するのは穏やかな感情だけだった。
　なのに少し心配そうに様子をうかがってくる夫が少しおかしかった。
　完全に割り切れている訳ではなかったらしい。
　それがうれしいと思うようになる日が来るなんて思った事もなかった。

　ヒロインとは友達になった。
　こんな仲良くなったのは異世界から聖女が襲来してきたとき以上ではなかろうか。
　警戒しているだけなのか、本当に知らないのか、彼女はこの世界がゲームだということや、何度も繰り返しているということは匂わせもしない。
　あたしも言わない。
　だから中身は違う人だったりするのか、あたしの記憶を持っているのかどうかは分からなかったけれど。
　気が合う友達が出来た、それでいいと思う。